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天高く陰謀巡る秋
色々爆弾発言飛び交います
しおりを挟む皆さんお茶を頼んで、さっそくお話合いです。とりあえずボイスレコーダー、上に置きますね。
ついでに、すぐに旦那様にこのお話が伝わることをお知らせしておきます。
「……麻帆佳ちゃんは、本当に出来た子ね」
お義母様、何そんなにしんみりと。
とりあえず、本題に入りましょうか。
「龍雅のことなんだが……」
どうやら、旦那様が担当していた案件の殆どが滞っているのだそうです。知りませんがな。
中には旦那様が窓口じゃないとやらないという業者や、海外法人もあるらしく、慌てたそうです。そのあたりが旦那様の人徳というやつだと思われますが。
「でも、旦那様は『厳原の名前がないと何もできない穀潰し』らしいのですが」
私の言葉に、お義父様、お義母様二人揃ってため息をついております。
「警察や官僚に伝手がほぼないのは、確かなんだが……」
いえ、あると思います。明日さん経由とか。あ、自分の伝手じゃないと駄目なんですね。
「龍雅は二十代の頃、ほとんどを海外で過ごしているし……」
なるほど。だから英語とかが得意なんですね。いきなりスラング言われたとき吃驚しましたよ。
「親父、お袋。龍雅の海外暮らしが長かったのは厳原の都合だろ? その上で人脈作ってきた奴にいう言葉じゃないぞ」
「そうだけど……」
「もう、いいだろ。これで何度目だよ、会社辞めるって言って、親父たちが無理やり留めておくのは」
そういえばそんな話ありましたね。
「今まで龍雅君が騙されながらも仕事辞めなかったのにも、理由があるんだけどね」
ぼそりと明日さんが呟きました。ほうほう、理由あったんですか。初耳です。
「今の龍雅君にその枷がないから、グループ上層部が止めようったって無理なのよ」
「……それは分かってるんだけどね。君もその口だろう?」
「あら、私とのかかわりを切ったのは厳原でしょう? 龍雅君だから、私は協力しているだけ」
ひょっとして、明日さんはお義兄様とも知り合いで?
「まぁ、ね」
どうやら口にも出したくないご様子ですので、スルーします。
それよりも問題は、旦那様がまだ会社を退職していないとされていることについてです!
一応、社内外共に旦那様は「病気療養中」で、明日さんと藤城さんはその看病だとか。私も「病弱」なので一緒に看てもらっているというところまで組み込んでいるそうです。
えっと、色々突っ込みたいんですが。
「言いたいことは分かるわよ。あれだけ騒ぎ起こしておいて、『病弱』なんて無理ね。そして今、龍雅君が休んでいるということ自体、奴らの『性病説』に信ぴょう性を持たせちゃうわ」
ですよねーー。間違いなく。思わずうんうんと頷く私に対して、皆さん顔から血の気が。そこまで思い至りませんでしたね? さっさと辞表受理しちゃってくださいな。
今旦那様に辞められると、取引がなくなるところもあるらしく、それは避けたいご様子。
何としてでも戻ってきて欲しいお義父様と、ここまで拗れたら一度自由にさせて、戻りたいときに帰る場所になればいいというお義兄様。
「龍雅君が戻りたいと思った時まで、厳原グループがあればいいけどね」
さらりと明日さんが爆弾発言をかましました。
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