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懲りない麻帆佳

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 もう、何と言いますか。五時間ほどのお買い物で、甥っ子さんは魂が抜け出たようになりました。
……仕方ないと思いますけどね。甥っ子さんも振袖を着せられた上に、女性下着売り場にそのまま連れていかれ、危うく採寸からの試着へ流れ込む寸前でしたし。それを彼女さんは全く止めず、それどころか推奨する始末。寸前で止めていましたが、それもどうなんでしょうと言いたくなります。ちなみに、彼女さんは私の従兄と同い年でしたよ。「あ、知ってる。あのナルシストな男」から始まるけんもほろろな言葉に、否定の言葉すら思い浮かびませんでした。……事実ですから。
さて、帰ってきてもう一人男性が増えてますよ。と思ったら、もう一人の甥っ子さんだとか。今まで海外出張でやっと帰ってきたのだとか。
「……龍雅叔父さん、いくらなんでもこりゃないでしょ」
 もう一人の甥っ子さん――こちらは雅紀まさきさんとおっしゃるそうです。先ほどまで一緒にいた方は大志たいしさんだそうです――が、呆れております。
 そりゃそうでしょうよ。年下ちんちくりんが義叔母になるんですから。
「雅紀、お黙りなさい。麻帆佳ちゃんの素晴らしさも分からぬお馬鹿はもっと修行してもらいます」
 お義母様、言い過ぎです!
「いや、そうじゃなくてさ。叔父さんから聞いてた話だと……ごふっ」
 すごい勢いで旦那様の拳が雅紀さんの脇腹に入りましたよ! 男同士ってすごいですねぇ。
 そんなことをほのぼのと思っていると、いちごさんがいきなり肩を叩いてきました。
「思った以上に麻帆佳ちゃんは天然さんだ」
 天然とな!? 初めて言われましたよ。
「いや、違う。ただ単に鈍いだけ」
 大志さん酷すぎです! って、旦那様からまたブリザードが。はい、実家の方々と仲良くしちゃいけないんですね。仲良くしていいのはきっと愛人さんだけなんでしょう。

 そのまま仲良くご飯を食べました。やはり、和気藹々と食べるご飯はおいしいですね。まる。


 本日の宿題はいちごさんが見てくださるということで、嬉しいですよ! 現役女子大生らしいですし。

 ……だから毎度のことながら、どうしてこうなった。
 またしても旦那様に後ろからホールドされて勉強を見てもらっています。

 一度着物を脱ごうと思ったのですが、それを旦那様が止めまして。宿題するんだと説明したら、ブリザードです。
 きっと旦那様にブリザードは標準装備なんでしょうね。今度カイロでも用意しておきましょう。寒いですから。
 着物を脱ぐのを却下され、現在に至るわけです。

 宿題終わるまではおとなしくしていることにしたのですよ。
 せっかく女子大生に教えてもらえる貴重な時間を逃しちゃいました。
「……これでおしまいですね。明日の分は?」
「ありがとうございます。
 GW中の宿題はこれで終わりですけど、もうすぐ中間試験もありますので」
「そうですか。まぁ、この調子なら赤点は取らないのではないかと」
 取りたくないですよ。そんなもん。
 というか、着物脱ぎますから出てってもらえませんかね。

「きゃっ……」
「着物も捨てがたい。少し着崩れするだけで、すごく色香が増す」
 移動する様子がなかったので、私が別のところに移動しようとしたら、またしても掴まれ、挙句衿のところから手を入れてきやがりました。
 猶更着崩れするので、止めてください!!
「止めて欲しかったらどうしたらよかったんでしたっけ?」
「りゅ……龍雅さん止めてください」
「却下」
 え゛!? 私教えられた通りにしましたよね!?
「こんな時ばかりすぐ名前を呼ぶのは間違いだよ。いつも呼ばないと」
 ってか、私旦那様と話することほとんどないと思うんですけど!?
「麻帆佳、似合ってる」
「……アリガトウゴザイマス。……ひゃぁん」
 どっから手を入れてんですか! あ、八ツ口やつくちというんですか。って、そうじゃない!!
「乱れて、麻帆佳」
 無駄に色香のある声でとんでもない事を言われております。

 だ……誰か助けて!!
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