達観した紫の上と、年上旦那様

番外

三人娘の卒業旅行！ 3

　翌朝も煩い方々が絡んでまいりまして。朝食もルームサービスでお願いしてよかったと思ったのですが。
「昨日の夜といいさ、どこで食べてたのさ」
　目障りだと思うのなら絡んでこなければいいと思うのは、私だけですかね。
　言おうが言うまいが、ぎゃいぎゃい騒ぐのですよ。

　ルームサービスをお願いしたと言えば、いつの間にやらお部屋に男性を連れ込んでいることになっているあたり、どういう変換をなさっているのか知りたいですよ。

「こういうのを『自己紹介乙』って言うんだっけ」
　聞き覚えのある声、と思ったら大志さんといちごさんが。いつの間に。
「昨日大志から急に電話が来てさ」
「俺は龍雅叔父さんからかな。麻帆佳さんを馬鹿にする奴がいるって。叔父さんが颯爽と助けたかったみたいだけど、時差がね」
　時差、ありがとうございます。旦那様の歯の浮くようなセリフにはどうやっても慣れれそうにないですから。

　そこまではぼそぼそと話していたのですが。
「あ、君らのことに関してもう調べはついているから。おめでとう、放校処分決定だってさ」
「はぁ！？」
　こんなところで大きな声を出しちゃいけませんって。気持ちは分かりますけど。
　放校処分とは、退学処分よりも重いはずでは。そしてこの人たち推薦枠で入学が決まってましたよね。

「当り前でしょう？　万引きの常習犯に、恐喝。あとは援助交際。叩けば埃がたくさん出てくるんじゃない？」
　大志さん、そこまで煽らなくてもいいのですよ。
「何の証拠があるってのよ！？」
「その言葉、そのまま返すね。麻帆佳さんに昨日から暴言吐いているでしょ。ホテルのスタッフもお客さんも見てる。名誉棄損で訴えることもできる内容だからね」
「こっちこそアンタらをメイヨキソンで訴えるわよ！」
「どうぞ？　こっちは証拠があるからね」
「ほんっと、あのヒトやればできるじゃん」
　大志さんの言葉に頷きながら言ういちごさん。……あのヒトって。
「勿論龍雅叔父さん。父さんにまで頼み込んで調べていたし。流石に叔父さんの繋がりだけじゃ調べられなかったらしくてさ。あの後叔父さんが父さんの携帯にかけてくるなんてなかったから、張りってたよ」
　要らん情報ありがとうございます。

「おかげで厳原うちの膿もだせたんだけどね」
「え」　
　変なことをぼそりと言わんでくださいな、大志さん。

　どうやらそれは事実なようで。
　某部長席にいるお方が絡んでいたようです。

　元クラスメイト、推薦で大学入学を決める
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　羽目を外して援助交際をする（元々昔からやっていたそうですが。ついでに万引きや恐喝もここからエスカレートだそうです）
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　元クラスメイトの客に厳原に勤める部長職の男性がいて、その客に大学入学のお祝いを強請る
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　その部長「夢の国パスポートとホテルを用意してあげよう」（忘年会に旦那様が景品として毎年出していたものですよ！　今回は偶然なくなったもの）
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　部下に命じて何としてでも夢の国パスポートを忘年会で入手できるよう指示（旦那様提供とは知らなかった模様。厳原の経営者は少なからず自費で出しているんだそうです）
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　今回の忘年会景品に夢の国パスポートがなかったことに憤慨
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　部下に八つ当たりし、購入させる
　　↓
　それで今回来た

　ということらしいです。

　ドン引きですよ。そして、その部長さんに関して密告が色々あったらしくて。というかあの老爺にかかわりのある人だったらしく、横柄だったんだそうです。

　それはともかく。
　そちらの方にも内偵入れいていたそうですが、まさかこんな繋がりが出てくるとは思わず。
　四月からその部長さん、栄転という名の左遷だそうです。一応、どこかの支店長にはなるらしいのですが、部下が一人もいないんだとか。そんな支店があることすら驚きですよ。

　勿論そのことが学校にも報告がいき、さすがに停学や退学で済まされるレベルではないと判断され、放校だそうです。

　……というか決定まで早くありません？