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価値観の相違に関して

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 会計となり、鞄を見て呆然です。財布忘れてきました。

 どこかで買い物していれば気づいたのでしょうが、ここで気づくあたりどうしようもないです。
「財布忘れてきた」
「あんたは阿呆か!」
 二人の声がはもってます。せっかくお礼代わりに奮発しようと思ってたのに、残念無念です。
「若奥様、いかがなさいました?」
「!!」
 三人揃って叫ばなかったのを褒めてください。

 後ろからいきなり声をかけてくるの勘弁してください! 園田さん!

「……お財布を忘れたと」
 園田さんの確認に、頷くしかありません。事実ですから。
「若奥様、買い物は当家と懇意にしている外商をお使いください。御自らお買い物など……」
 説教の大半はそっちですか!? 財布忘れて呆れて持ってきてくれたわけじゃないんですね。
 正直言いますと、そういうの嫌です。本当は現物を見て買い物したいんです。今回苗木だって本当は許可さえもらえれば、花音たちと一緒に選びに行く予定でした。
 それにキッチン用品だって全部、カタログ選びです。持ってみないと分かんないものってあるんです。
 お野菜の鮮度とか、大根の葉っぱがどれくらいついているかとかも然りです。
 そんなことを切々と説明しましたが、園田さんは頷きません。

 とりあえず、篭ごとカウンターにお願いして、外で話すことにしました。

 せめて日々の食料品だけでもと懇願しましたが、なおさらしかめっ面になりやがります。
「龍雅様もお口にされることを考えると、産地も選んでいただきたく……」
 よかったです。スーパー出てきて。こんな話、店員さんには聞かせられません。
「何のためのベランダ菜園ですか? 食べるために決まってるじゃないですか。それに旦那様は家で食べないでしょうから、私の分だけです」
「それはあり得ません! ですから……」
「自炊している様子すらないのにですか?」
 ってか、このまま外で食べてたら私が破産します!

 それに料理したいんです! 自分で選んだもので作りたいんです! これだけは譲れません。

 私と園田さんの話し合いが平行線を辿ること三十分。園田さんが折れてくれました。
「……かしこまりました。お買い物はこちらのカードで」
 えっと……MAHOKA IZUHARAって、私のカードですか?
「龍雅様の家族カードとなります。引き落とし等は龍雅様の口座から……」
 扶養家族ですしねーー。なんて思って受け取ると、花音の顔が引きつってます。
「麻帆佳。そのカードブラックカードだからね」
 へ? クレジットカードではなく、ブラックカードですか。え゛!? 超VIPカードですかぁぁぁ!? そんなカード怖くて使えません! やっぱり支払いはにこにこ現金支払いじゃないと。

 受け取り拒否は出来ませんでした。普段使いに出来ないのならと、園田さんが「毎月十万お渡しします」なんてのたまうもんで、そちらは拒否しました。
 カード受け取る代わりにバイト継続は認めてもらいました。私GJ!
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