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同居初日から問題発生
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わたくし、水速 麻帆佳・十八歳は本日を持ちまして厳原 麻帆佳になりました。
旦那様はちょうど二十歳年上の方です。
旦那様はロリコンじゃないですよ? よくある政略結婚みたいなやつです。
私の親は小学生の頃に亡くなり、今までは父方の叔父夫婦のところに居候しておりました。叔父夫婦は小さな会社を営んでおりまして……まぁ俗にいう経営の危機というやつです。
何というかテンプレ? そんなことを思っちゃいましたよ。うん、本当に。
で、会社へ支援してもらう代わりに嫁を出せと。一応叔父夫婦の子供は男二人に女一人。でもそのいとこが嫌がったんだそうです。そんなに年上に嫁ぎたくない、と。
ってかさ、叔父夫婦が贅沢しなきゃいいんですよ。毎年毎年海外に旅行に行って、ブランド品買いあさって。それで「会社が~~」って。家だって一等地に立つ豪邸ですよ。
会社の大きさがどれくらいか分かりませんが。
私は無駄飯食らいの居候だそうです。そこまで言うならバイトして小さなアパート借りたかったんですが、却下されました。……何で? ってやつですね。
でも、バイトだけはさせてもらってます。うふふ。そこの賄まかないがとっても美味しく、毎日が楽しみですよ。
話はそれましたが、そんなわけで私はこのたび二十歳年上の旦那様と書類上は夫婦となりました。
挙式とかは私が高校を卒業してかららしいですよ? どうでもいいですけど。
新居は高層賃貸マンションの一室です。ってかお家賃いくら?? ってな物件ですよ。四LDKのウォークインクローゼット付き。しかも上の方。ベランダとバルコニー両方あり、やたら広い!! バルコニー一つだけでも私が使っていた部屋よりも広いです!! びっくりです。
ここなら昔みたいに色んな家庭菜園……いえベランダ菜園が出来ます! やっほうい。
……旦那様が帰って来るまでまだ時間がありますのでちょっと探検したいのですが、ベランダで日向ぼっこをしましょう。
「……て。……きて」
ふぇ? 何やら声が。
「……起きて。風邪ひく」
いけません、ベランダでうたた寝していたようです。
「お帰りなさいませ」
何度か顔を合わせてますが、旦那様は相変わらず無駄に色気のある男性です。
「……ただいま。感心しない」
「すみません」
怖いです! はっきり言います! この方無表情だと怖いです。ってかこんなところで寝ていた私が悪いのでしょうけど。
だって、ただでさえ整った顔の美丈夫ですよ!? 目つきもきりっとしているし! そんな方に不機嫌そうに言われたら、誰だってひるみますって!
「部屋は気に入りましたか?」
「はいっ! 見晴らしよくって、ベランダ菜園出来そうです!」
「いえ、あなたの部屋です」
はい? え? ここ私一人で住むの!? 無理無理!! そんなことを思っていますと、顔に出ていたのでしょう。旦那様が少し大きめのため息をつかれました。
え? あ、すみません。私の部屋ですね。まだ見てません。ここに一人で住むわけないよねーー。さすがに。うん、早とちりでした。
「ここがあなたの部屋です。勉強机とベッドは入れてあります。足りないものは?」
「と……特には」
「そうですか。それからここは二十四時間いつでもクリーニングに出せますので」
「え? 洗濯機は!?」
「そんなもの必要ないですよ」
要りますから!! クリーニングに出す服なんてそうそうないです!! この方の金銭感覚が分かりませんよ、本当に。
だから金持ちというのは嫌なんですよ。すいません、僻みです。はい。
「その様子だと見ていないようなので色々案内しますよ。ここがバスルーム」
ほうほう、室内乾燥も出来るのですね。ベランダに干せば大丈夫だから使わない機能っと。
「ここがキッチン。ケトルはありますのでお湯はいつでも沸かせます。こちらが浄水器」
え? ちょっと待ってください。ケトル以外は? そして冷蔵庫小さすぎやしません??
「あの、すいません」
「何でしょう?」
「ケトル以外は?」
「は? 料理しないのに要りません」
「私がします」
「じゃあ、あなたが使いやすいのを揃えましょう」
何が「じゃあ」なんですか!! まったく、外食とかデリバリーとかばっかりなんですね。
「料理されるようですし新しいのを買いましょう。これは私の部屋へ持っていきますから」
え゛!? 冷蔵庫の中身はお酒と氷だけですか。あ、お部屋で飲まれるんですね、じゃあ持ってってください。で、隣の箱は何なんでしょう?
「これはワインセラーですね。これも私の部屋へ移します」
そーですねぇ。私に必要ないですし。お願いします。あ、私の小さな冷蔵庫もあったっけ。私があの家から持ってきた荷物ってどこでしょう?
もうさっきから疑問しかわきませんね。
「明日にでも外商に来てもらいます。あなたのものを揃えなくては」
「私のもの……ですか?」
「えぇ。入用のものはそこで」
「つかぬことをお聞きしますが」
一体私の何を買うとおっしゃるのでしょうか。それに今までの持ち物だって大量にあるわけですよ。
「携帯電話は新しいものに替えていただきます。それからPCなどはあるのですか?」
「そりゃありませんけど、スマホがあれば十分です」
いやさ、スマホで十分調べられますし、問題ありません。というか無駄遣い反対です!
「いえ、何かとPCは使えるようになっていたほうがいいので、一つ購入します。それからあなたの荷物とおっしゃいましたが、それこそ私が聞きたいことですよ」
ちょっと待ってください。私、叔父に「荷物は嫁ぎ先に渡した」っていわれたんですけどぉぉぉ!?
旦那様はちょうど二十歳年上の方です。
旦那様はロリコンじゃないですよ? よくある政略結婚みたいなやつです。
私の親は小学生の頃に亡くなり、今までは父方の叔父夫婦のところに居候しておりました。叔父夫婦は小さな会社を営んでおりまして……まぁ俗にいう経営の危機というやつです。
何というかテンプレ? そんなことを思っちゃいましたよ。うん、本当に。
で、会社へ支援してもらう代わりに嫁を出せと。一応叔父夫婦の子供は男二人に女一人。でもそのいとこが嫌がったんだそうです。そんなに年上に嫁ぎたくない、と。
ってかさ、叔父夫婦が贅沢しなきゃいいんですよ。毎年毎年海外に旅行に行って、ブランド品買いあさって。それで「会社が~~」って。家だって一等地に立つ豪邸ですよ。
会社の大きさがどれくらいか分かりませんが。
私は無駄飯食らいの居候だそうです。そこまで言うならバイトして小さなアパート借りたかったんですが、却下されました。……何で? ってやつですね。
でも、バイトだけはさせてもらってます。うふふ。そこの賄まかないがとっても美味しく、毎日が楽しみですよ。
話はそれましたが、そんなわけで私はこのたび二十歳年上の旦那様と書類上は夫婦となりました。
挙式とかは私が高校を卒業してかららしいですよ? どうでもいいですけど。
新居は高層賃貸マンションの一室です。ってかお家賃いくら?? ってな物件ですよ。四LDKのウォークインクローゼット付き。しかも上の方。ベランダとバルコニー両方あり、やたら広い!! バルコニー一つだけでも私が使っていた部屋よりも広いです!! びっくりです。
ここなら昔みたいに色んな家庭菜園……いえベランダ菜園が出来ます! やっほうい。
……旦那様が帰って来るまでまだ時間がありますのでちょっと探検したいのですが、ベランダで日向ぼっこをしましょう。
「……て。……きて」
ふぇ? 何やら声が。
「……起きて。風邪ひく」
いけません、ベランダでうたた寝していたようです。
「お帰りなさいませ」
何度か顔を合わせてますが、旦那様は相変わらず無駄に色気のある男性です。
「……ただいま。感心しない」
「すみません」
怖いです! はっきり言います! この方無表情だと怖いです。ってかこんなところで寝ていた私が悪いのでしょうけど。
だって、ただでさえ整った顔の美丈夫ですよ!? 目つきもきりっとしているし! そんな方に不機嫌そうに言われたら、誰だってひるみますって!
「部屋は気に入りましたか?」
「はいっ! 見晴らしよくって、ベランダ菜園出来そうです!」
「いえ、あなたの部屋です」
はい? え? ここ私一人で住むの!? 無理無理!! そんなことを思っていますと、顔に出ていたのでしょう。旦那様が少し大きめのため息をつかれました。
え? あ、すみません。私の部屋ですね。まだ見てません。ここに一人で住むわけないよねーー。さすがに。うん、早とちりでした。
「ここがあなたの部屋です。勉強机とベッドは入れてあります。足りないものは?」
「と……特には」
「そうですか。それからここは二十四時間いつでもクリーニングに出せますので」
「え? 洗濯機は!?」
「そんなもの必要ないですよ」
要りますから!! クリーニングに出す服なんてそうそうないです!! この方の金銭感覚が分かりませんよ、本当に。
だから金持ちというのは嫌なんですよ。すいません、僻みです。はい。
「その様子だと見ていないようなので色々案内しますよ。ここがバスルーム」
ほうほう、室内乾燥も出来るのですね。ベランダに干せば大丈夫だから使わない機能っと。
「ここがキッチン。ケトルはありますのでお湯はいつでも沸かせます。こちらが浄水器」
え? ちょっと待ってください。ケトル以外は? そして冷蔵庫小さすぎやしません??
「あの、すいません」
「何でしょう?」
「ケトル以外は?」
「は? 料理しないのに要りません」
「私がします」
「じゃあ、あなたが使いやすいのを揃えましょう」
何が「じゃあ」なんですか!! まったく、外食とかデリバリーとかばっかりなんですね。
「料理されるようですし新しいのを買いましょう。これは私の部屋へ持っていきますから」
え゛!? 冷蔵庫の中身はお酒と氷だけですか。あ、お部屋で飲まれるんですね、じゃあ持ってってください。で、隣の箱は何なんでしょう?
「これはワインセラーですね。これも私の部屋へ移します」
そーですねぇ。私に必要ないですし。お願いします。あ、私の小さな冷蔵庫もあったっけ。私があの家から持ってきた荷物ってどこでしょう?
もうさっきから疑問しかわきませんね。
「明日にでも外商に来てもらいます。あなたのものを揃えなくては」
「私のもの……ですか?」
「えぇ。入用のものはそこで」
「つかぬことをお聞きしますが」
一体私の何を買うとおっしゃるのでしょうか。それに今までの持ち物だって大量にあるわけですよ。
「携帯電話は新しいものに替えていただきます。それからPCなどはあるのですか?」
「そりゃありませんけど、スマホがあれば十分です」
いやさ、スマホで十分調べられますし、問題ありません。というか無駄遣い反対です!
「いえ、何かとPCは使えるようになっていたほうがいいので、一つ購入します。それからあなたの荷物とおっしゃいましたが、それこそ私が聞きたいことですよ」
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