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出会いから恋人に至るまで
名前を覚えた貰えた!
しおりを挟む「真貴」
「あら。桐生」
さらりと色んな人間と名刺を交換しつつ、接触を図った。
「どう?」
「危機感よりも、食欲優先。俺の名前も覚えてもらってない」
「相変わらず。そんなんだから可愛いのよ。適当にあしらって、一人飲みしたいからって酒とか貰っていけば?」
「つまみは」
「コンビニよ、馬鹿ね」
そんな方法を思いつかなかった。
「あたしが買ってくるから、あとで落ち合いましょ。酒はあんたで確保しなさい」
凄まじい指令を受け、桐生は会場をあとにした。
「お待たせ」
とりあえず大荷物になりながらも、部屋に戻った。
「……ここってお高いですよね?」
次に気にするのはそこらしい。
「大丈夫だよ。俺も用事があって取ってる部屋だし。そっちのベッドを使うといい。俺はこっちを使うから」
「……ありがとうございます」
「気分悪かっただろうから、飲みなおししようか」
目の前に地ビールを差し出せば、美冬の瞳がキラキラし始めた。
「地ビールってやっぱり個性出ますよね。大企業のビールも美味しいですけど、どういう酵母使ってるか分かりませんが、結構違いますよね」
既に地ビールの飲み比べと化している。
「一応ね、海外のビールもあるんだ。ラガー系がどうしても主流だけど、エールも美味しいよ」
珍しくちびりちびりと飲む美冬に、桐生は色々と勧めた。
「ギネスもいいですよね」
そう言いながらも、どちらかと言えば食のほうが進んでいた。
「あのさ、これから、時々でいいから、一緒に呑まない?」
真貴や時任が聞いたら「ヘタレ!」と言われそうだが、まずは一緒にいる時間を取ることが優先だと思った。
「ほえ?」
「あの時も見てて思ったけど、俺好みの飲み方してたからさ。どうせなら、時間が合うときいお酒の話しながら一緒に呑みたいなって思った」
「飲み友、ですか」
「そう。どうせなら、真貴とか巻き込んでさ……」
自分がどこまでもヘタレになっていくのが分かった。
「そうですねぇ……。う~~ん。出社したら聞いてみます」
「真貴のアドレスは俺が知ってるから、今聞いてみるよ」
入れて間もなく、今度は美冬のスマホが鳴り、笑っていた。
「先輩はオッケーだそうです。じゃあ、お互い時間があったときにでも」
そして、桐生のスマホには「ヘタレ」とだけ入っていた。
ヘタレだろうが何だろうが、とりあえず「『古時計』の人」から「飲み友」に昇格しただけよしと思った。
「あ、覚えていないみたいだから、もう一度名乗っておくね。俺は桐生。よろしく美冬ちゃん」
「あれ? 私名乗りましたっけ?」
「真貴が紹介してくれたよ。見事にから揚げとお酒に気を取られていたみたいだけど」
「えっと……桐生さん」
名前で呼んでもらえて、桐生は浮かれてしまっていた。
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