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繋がる身体
しおりを挟むこれで希臘、否、欧羅巴に来るのも最後だろう。日本とは違う海の色。雪とは違う砂浜の感触。
「佐川さん、あなたは今まで男性に優しく接してもらうということがなかった。ですから、勘違いなさっているだけです」
何も言うまい。おそらく嫁ぎ先の事情が周囲に知れているだけだ。
『捕まえた』
「!!」
空耳かと思った。しかし、肩から前へと伸ばされた手は間違いなく。
「リチャード様……」
『あんな顔されたら、見送り出来ない』
今にも泣きそうな顔をしていたとリチャードは言った。
『と、いうわけで』
するりとりのを抱え上げ、当たり前のように桟橋へと向かっていく。
「リチャード様っ」
『リノがね、笑顔で船に乗るなら諦めたんだけどね』
船から降りれば、いつにも増して早すぎる英語でマイルズと話を始め、リノには全く聞き取れなかった。
少しばかり人気の少ないところで、リチャードはりのをおろした。
『往生際が悪いって言われそうだけど、リノには笑顔でいて欲しい。
そして、その笑顔が一番最初に目にするのは僕であって欲しい』
だからね、僕の傍にいて。
そう言ってリチャードはりのの前に跪いて手を取った。むずがゆくなりながら、りのは「Yes」と答えていた。
「まるで騎士が愛を乞うようだった」と称したのは英吉利大使夫妻だった。つまり見られていた。それを後日知ったりのは顔を真っ赤にして、部屋に引きこもったという。
りのの承諾をとったリチャードは、再度抱き上げホテルへと向かった。
……誰かに引き留められるというのは、もう勘弁願いたい。それが本音だった。
『もう我慢できそうにない』
そう言うなり腕の中にいたりのへと口づけをする。
ぽふぽふ、というりのの抵抗があった。
『リノ?』
顔を赤くし、涙をためたりのの顔に理性が一瞬にして飛んだ。
ベッドへとりのをおろし、押し倒すような形で再度口づけをする。少しばかり開いた口の中へ舌を侵入させていく。
「!!」
びくん、りのの身体が反応していた。舌を絡ませるような口づけはあまりにも心地よく、貪ぼっていた。
ぽふぽふ、という抵抗から、ぽかぽかという抵抗へ。どうしたのだろうと思えば、先ほどよりも息の荒いりのが涙目で睨んでいた。
『駄目、そそられる』
『そ、そういう、問題では、なくて』
息が出来なくて苦しい。その苦情に、日本人はディープな口づけをしない民族なのだと見当をつけた。
『鼻で息をすれば問題ないよ』
何を変なことを気にしているのか。リチャードはそんなことを思いながら、また口づけをする。
リチャードが贈ったワンピースドレスはたくし上げられ、りのの太ももをさらけ出していた。
いつもは着物に隠れて見えない足も魅力的すぎた。
そして、昨日の痴態を思い出す。あ、良かった。下着をつけている。ほっとしたのもつかの間、どうやらその下着もリチャードが贈ったもののようだ。
嬉しすぎる。この服でのりのを堪能しよう。そう思っていたはずが、全部狂った。
「リチャード様っ」
するりとファスナーをおろし、服はウエスト部分にのみ残っていた。
りのの足の間に己の足を挟み、足を閉じれないようにしたまま胸へと口を落とす。
膨らみの上にある小さな赤い頂を口に含む。
「り……リチャード様っ!!」
何故ここまで慌てているのかが分からない。
『リノ、綺麗だ』
涙目のりのは、色香を漂わせ、リチャードから理性というものを奪って行く。
『もう、我慢しない』
それだけ言って、右手を胸から臍へ。臍から股へと移動させていく。
「あっ……」
己に感じていてくれている。それだけが嬉しい。
割れ目は閉じてあり、しばらく誰の手も触れていないのが分かった。
「りちゃーどさまっ……そこはそのようにするばしょではっ!!」
割れ目に舌を這わせると、りのは慌てたようにリチャードの頭をぺちぺちと叩き始めた。
そんな手は、片手であっという間に抑えることが出来るほど細く、あまりにも華奢だった。
『リノ……』
そのまま割れ目の上にある蕾を口に含む。
「そのようなっ!」
りのの言葉を無視して執拗に舐めていく。元夫がただ挿入するだけの行為しかしていないと思ったのだ。
りのが日本語でなにやら言いながら喘いでいた。今少し日本語を勉強しないと理解できない。
ただ、己の欲望を満たすためだけに、割れ目と蕾へ舌と指を這わせていく。
「あっ……あっ……あぁ」
先ほどまで腕に入っていた力は抜け、ぐったりとしていた。四肢を投げ出すようにしているりのも色香があり、リチャードの雄を刺激していく。
服を脱げば、己の雄が存在を主張していた。
「リ……リチャード様」
そそり立つ雄を見たりのがベッドの上を後ずさっていた。
その様子で、りのの元夫よりは貧相でないというのが分かり、優越感に浸ってしまう。
「リノ、チカラ、ヌイテ」
己の身体をつかい、りのの股をはっきりと見る。なんとも綺麗だと思ってしまう。
「あっ……ああっ……」
雄の侵入を拒むかのような狭さ。まるですべてを知らぬ乙女のようだ。
そして、りのが処女であったことにやっと気が付いた。
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