19 / 19
番外編
あとがき&登場人物紹介
しおりを挟む 課長のもと、5日間指導を受けただけだったが、元々課長は管理職でありながら成績トップの営業マンでもあった為、そろそろ本来の職に戻したいと、今日の朝礼で部長からお達しがあった。
「私は今日から外回りだ。鈴原、分からない事があったら小川さんに聞いて。それでも解決しない時は私に電話して。」
「…はい。承知しました。」
「…どうした?不安か。」
「…はい、正直言って不安です…。」
「鈴原、5日間しかお前を見ていないが、大丈夫だと思うぞ。自信を持てよ。」
「…え?」
「何回も言わすなよ。鈴原、分からないければ聞けばいいんだ。自信を持ってやれ。」
「課長…。はい!」
優しく微笑んで…はくれなかったが、自信を持てと励ましてくれた。課長の貴重な時間を5日間も貰って勉強したのだ。期待に応える為にやってみよう、と頷いた。
・・・
課長は、外回りに出るともう、その日に成果を持ってきた。大口の運送業者の新規契約だ。
(すごい…。前から追っていたにしても。)
私は、というと、電話応対や見積書の作成、会議の資料作りに、一日奮闘する事になった。
これはどうだったっけ、と思い、ノートを見ると、的確な回答が自分の字で書き込んであった。そういう事が何度かあり、実践に役立つ事を教えてくれていたのだな…と感嘆した。
(スーパーマンみたいな人だな…。面接の時みたいにまた笑いかけて欲しいよ。)
ふぅ。と伸びをしてデスクを片付けた。
・・・
独り立ちして数日たち、いつもの業務をこなしていると、電話が鳴った。
「お電話ありがとうございます。岡崎コーポレーションの鈴原でございます。」
「もしもし?今アウディで事故っちゃってさ、うちの担当、誰だっけ?電話するように言って?」
「かしこまりました。大変でございましたね。それではお電話番号を…」「頼むね。」
ガチャ。ツーツーツー…
「お客様?…お客様?」
自分の顔色がサーっと青くなるのを感じた。ナンバーディスプレイには電話番号の表示はない。
(どうしようー?お客様の名前も担当者の名前も何も分からない…。)
小川さんに事情を話してはみたが、何も分からないのではお手上げだと言う。お客様は待っているというのに。
怒られそうだが、課長に指示を仰ぐ事にした。
「お疲れ様です、課長、今お電話大丈夫ですか?」
「ああ、平気だが?」
「実はアウディで事故を起こしたと電話が入ったのですが、担当者の名前もお客様の名前も仰らず切ってしまわれて…。どうしたらいいでしょう?」
「…。鈴原?アウディでって言ったのか?」
「はい。それだけしか…。」
「もしかしたら、向田運送の向田社長かもしれない。1年前に私から神谷に担当をかえたから神谷に連絡するように伝えてみる。少しそのまま待っていてくれ。」
「課長…、ありがとうございます。」
「いや、切るぞ。」
待っている時間は1時間にも2時間にも感じたが、実際は25分程で、神谷さんから電話が入った。
「鈴原さん、さっきの電話、向田社長で間違いなかった。近くにいたから顔を出したら、すぐ来てくれたって感謝されたよ。」
「本当ですかっ?〰️〰️、良かったですぅ。」
へにゃっと力が抜けてホッとした。地獄で仏、課長さま様、本当に助かりました。
以前の担当の顧客とはいえ、アウディだけでピンとくるなんて、どれだけ頭に入ってるんですか…!
…だけど、これ以上素敵な所を見せないで欲しいです…本当に。私に恋愛脳は、禁止なんですから。
「私は今日から外回りだ。鈴原、分からない事があったら小川さんに聞いて。それでも解決しない時は私に電話して。」
「…はい。承知しました。」
「…どうした?不安か。」
「…はい、正直言って不安です…。」
「鈴原、5日間しかお前を見ていないが、大丈夫だと思うぞ。自信を持てよ。」
「…え?」
「何回も言わすなよ。鈴原、分からないければ聞けばいいんだ。自信を持ってやれ。」
「課長…。はい!」
優しく微笑んで…はくれなかったが、自信を持てと励ましてくれた。課長の貴重な時間を5日間も貰って勉強したのだ。期待に応える為にやってみよう、と頷いた。
・・・
課長は、外回りに出るともう、その日に成果を持ってきた。大口の運送業者の新規契約だ。
(すごい…。前から追っていたにしても。)
私は、というと、電話応対や見積書の作成、会議の資料作りに、一日奮闘する事になった。
これはどうだったっけ、と思い、ノートを見ると、的確な回答が自分の字で書き込んであった。そういう事が何度かあり、実践に役立つ事を教えてくれていたのだな…と感嘆した。
(スーパーマンみたいな人だな…。面接の時みたいにまた笑いかけて欲しいよ。)
ふぅ。と伸びをしてデスクを片付けた。
・・・
独り立ちして数日たち、いつもの業務をこなしていると、電話が鳴った。
「お電話ありがとうございます。岡崎コーポレーションの鈴原でございます。」
「もしもし?今アウディで事故っちゃってさ、うちの担当、誰だっけ?電話するように言って?」
「かしこまりました。大変でございましたね。それではお電話番号を…」「頼むね。」
ガチャ。ツーツーツー…
「お客様?…お客様?」
自分の顔色がサーっと青くなるのを感じた。ナンバーディスプレイには電話番号の表示はない。
(どうしようー?お客様の名前も担当者の名前も何も分からない…。)
小川さんに事情を話してはみたが、何も分からないのではお手上げだと言う。お客様は待っているというのに。
怒られそうだが、課長に指示を仰ぐ事にした。
「お疲れ様です、課長、今お電話大丈夫ですか?」
「ああ、平気だが?」
「実はアウディで事故を起こしたと電話が入ったのですが、担当者の名前もお客様の名前も仰らず切ってしまわれて…。どうしたらいいでしょう?」
「…。鈴原?アウディでって言ったのか?」
「はい。それだけしか…。」
「もしかしたら、向田運送の向田社長かもしれない。1年前に私から神谷に担当をかえたから神谷に連絡するように伝えてみる。少しそのまま待っていてくれ。」
「課長…、ありがとうございます。」
「いや、切るぞ。」
待っている時間は1時間にも2時間にも感じたが、実際は25分程で、神谷さんから電話が入った。
「鈴原さん、さっきの電話、向田社長で間違いなかった。近くにいたから顔を出したら、すぐ来てくれたって感謝されたよ。」
「本当ですかっ?〰️〰️、良かったですぅ。」
へにゃっと力が抜けてホッとした。地獄で仏、課長さま様、本当に助かりました。
以前の担当の顧客とはいえ、アウディだけでピンとくるなんて、どれだけ頭に入ってるんですか…!
…だけど、これ以上素敵な所を見せないで欲しいです…本当に。私に恋愛脳は、禁止なんですから。
360
お気に入りに追加
2,614
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(37件)
あなたにおすすめの小説
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
僕の策略は婚約者に通じるか
藍
BL
侯爵令息✕伯爵令息。大好きな婚約者が「我慢、無駄、仮面」と話しているところを聞いてしまった。ああそれなら僕はいなくならねば。婚約は解消してもらって彼を自由にしてあげないと。すべてを忘れて逃げようと画策する話。
フリードリヒ・リーネント✕ユストゥス・バルテン
※他サイト投稿済です
※攻視点があります

そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。


婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
「君と番になるつもりはない」と言われたのに記憶喪失の夫から愛情フェロモンが溢れてきます
grotta
BL
【フェロモン過多の記憶喪失アルファ×自己肯定感低め深窓の令息オメガ】
オスカー・ブラントは皇太子との縁談が立ち消えになり別の相手――帝国陸軍近衛騎兵隊長ヘルムート・クラッセン侯爵へ嫁ぐことになる。
以前一度助けてもらった彼にオスカーは好感を持っており、新婚生活に期待を抱く。
しかし結婚早々夫から「つがいにはならない」と宣言されてしまった。
予想外の冷遇に落ち込むオスカーだったが、ある日夫が頭に怪我をして記憶喪失に。
すると今まで抑えられていたαのフェロモンが溢れ、夫に触れると「愛しい」という感情まで漏れ聞こえるように…。
彼の突然の変化に戸惑うが、徐々にヘルムートに惹かれて心を開いていくオスカー。しかし彼の記憶が戻ってまた冷たくされるのが怖くなる。
ある日寝ぼけた夫の口から知らぬ女性の名前が出る。彼には心に秘めた相手がいるのだと悟り、記憶喪失の彼から与えられていたのが偽りの愛だと悟る。
夫とすれ違う中、皇太子がオスカーに強引に復縁を迫ってきて…?
夫ヘルムートが隠している秘密とはなんなのか。傷ついたオスカーは皇太子と夫どちらを選ぶのか?
※以前ショートで書いた話を改変しオメガバースにして公募に出したものになります。(結末や設定は全然違います)
※3万8千字程度の短編です

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
キース様、感想ありがとうございます!
変なヒーローですみません笑 ココルを善良と言って頂きありがとうございます。仰る通り性悪ではないので、不幸には出来ませんでした……。゚(゚´Д`゚)゚。
毛玉様、感想ありがとうございます!
アシリス、なんだかんだタフですね!(´∀`;)お尻ごとの溺愛!!その通りですね(*´艸`*)
登場人物を可愛がって下さり嬉しいです!ありがとうございます〜!
もくれん様、感想ありがとうございます!
お気に召して頂けて嬉しいです!ちょっとおバカな主人公、憎めないですよね〜🤗✨
こちらこそ目に留めて頂きありがとうございます!