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本編
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それから僕とルイはノーランド辺境伯領で静養する設定のため、移動を開始した。
王都から聞こえてくる噂では、キール殿下の婚約者がすげ替えられてから、殿下の評判は転がり落ちているらしい。
なんでも、ココルがあまりに可愛いからと、次々と買い与え、散財しているとか。
ココルを王子妃にするために家庭教師をつけたが、初歩的な所で躓きっ放しだとか。
陛下はもう、キール殿下ではなくその弟、第二王子殿下を王太子にするべく動いているとか。
そんな事が耳に入ってくると、殿下がまたこちらに接触してきそうだから、僕たちは急いだ。
なるべく真っ直ぐに向かう為、野営もしているのだけど――。
「はぁっ、はぁっ……」
「る、ルイ、同時は、だっ……!ア"ァ――っ」
狭い馬車の中で、我慢できなくなったルイに後ろから貫かれていた。
中途半端に脱がされたシャツの隙間から、乳首を指先で弄られる。すっかり快感を教え込まれた僕の身体は、容易にナカで達してしまった。
「ひ……――――――ッ」
ぶるぶると震えて、絶頂する。足が浮くけど、ルイの逞しい腕に抱かれて落ちることはない。
ぱた、ぱたと、座席の皮に汗か涎か、ナニかが飛ぶ。肉壺の中にもたっぷりと出されて、どろどろしたものが太ももを伝って落ちていた。
「はぁっ、あー、ああ――っ、だめ、もう、らめ……っ」
「もう一度だけ」
「くふ、ううっ、あ~ッ!」
ルイもイッたはずなのに、回復力が凄まじい!
恐怖を覚えるほどに瞬時に蘇った陰茎に、何度となく貫かれて、僕はまた意識を失った。
野営するということは、周りには護衛騎士がぞろぞろとついている訳でして。
闇魔法:消音をかけてはいても、馬車が揺れることは誤魔化せなかった。揺れて見えないように闇魔法:幻影を使うことも出来るけど、そうすると今度は消音出来ないから音が丸聞こえになってしまう。
それよりはマシでもね、無音で激しく揺れる馬車を、誰もが目撃している訳だ。暗いから誤魔化せ……たと願いたい。
翌朝も当然、移動をする。サッと視線を配ると、なんとなく騎士さんたちのお顔が赤い気がする。……ごめんなさい。ルイが童貞卒業したばっかりに。僕も男のコなものだから気持ちよさに抗えず、申し訳ない。
ようやっと辺境伯領に着いたら、美しい自然や開発しがいのある街に、僕は完全に元気を取り戻した。僕の13年の頑張りを、今度はこの領地のために使えるんだ!
僕たちの到着と同時に、陛下から『完全降伏』を彷彿とさせるようなお手紙と贈り物が届いていた。多額の慰謝料と、伝説級の魔道具や宝剣まで。
要約すると、『愚息には必ず報いを受けさせるので、どうか王家を見限らないでくれ』と。どうやら僕を再利用しようとしたこともバレていて、謝罪の文から陛下の丸くなった肩が見えたような気がした。
実のところ、僕には闇魔法:使い魔という、諜報に大変便利な魔法がある。使い手の十分の一程度の知性を上限として、小さな蜘蛛を量産したり、鴉を忍ばせて証拠を取ってこさせたり。気付かれる確率はほぼゼロで、万が一捕まったり殺されても、僕の身体に魔力や記憶として還ってくるだけだ。
それを使えることは秘密。だって後ろ暗い事をしている人達から命を狙われてしまうからね。殿下の公務をお手伝いするのに少しばかり使ったのを、陛下が察しているとしたら、このやたら下手に出ている文言も納得だ。
「頭を下げに来いと言いたい所だが、アシリスと会わせたくない。謝罪をするから王城に来いと言われても腹が立つから、この謝罪を受け入れるしかないな……」
「うん、いいじゃないか。面倒くさくない、いい謝罪だと思う。僕ももう殿下には会いたくないし、今頃陛下にたっぷり叱られていると思うし」
「そう願おう」
ふふ、陛下がそう言うのなら、安心だ。
僕は陛下のことも好きだったし、これからも貴族でいるのなら良好な関係でい続ける必要があるものね。
結婚式まであと少し。けれど事実上の夫婦とばかりに、僕とルイは愛と肉欲と欲望の毎日を送っていた。……ん?つまり、セックスしかしていない?
いやいや、そんなことはない。ルイは約束通り、僕の好きなようにさせてくれた。薬師との共同開発だって進み、この領地でしか取れない魔物の素材を使った商会を立ち上げたりだとかね。
運動がてら、領地の魔物を討伐しに行くこともあった。僕は剣術は得意でないので、闇魔法で。ルイは長剣で。これがまた、格好いいんだ。
ただし夜は、毎晩のように愛し合う。僕はすっかりルイの虜になり、ルイも今まで以上に僕を大切に愛でてくれるようになった。もちろんお尻だけじゃなく、ね。
もう、童貞だと罵ることも出来ないくらい、僕を快感の渦に叩き落としてくれる。
「ありがとう、ルイ。……幸せだよ、僕」
「そうなら嬉しい。俺もこれ以上なく幸せ者だ。アシリスを貰えたのだから」
こうして、事後、しっとり抱き合っていちゃいちゃする時間が……とっても幸せ。
ルイによって愛されて自信のついた僕は、辺境伯領を大いに富ませ、ルイと共に、優秀で仲睦まじい番夫婦として名を馳せたのだった。
End
番外編(別視点)に続く
王都から聞こえてくる噂では、キール殿下の婚約者がすげ替えられてから、殿下の評判は転がり落ちているらしい。
なんでも、ココルがあまりに可愛いからと、次々と買い与え、散財しているとか。
ココルを王子妃にするために家庭教師をつけたが、初歩的な所で躓きっ放しだとか。
陛下はもう、キール殿下ではなくその弟、第二王子殿下を王太子にするべく動いているとか。
そんな事が耳に入ってくると、殿下がまたこちらに接触してきそうだから、僕たちは急いだ。
なるべく真っ直ぐに向かう為、野営もしているのだけど――。
「はぁっ、はぁっ……」
「る、ルイ、同時は、だっ……!ア"ァ――っ」
狭い馬車の中で、我慢できなくなったルイに後ろから貫かれていた。
中途半端に脱がされたシャツの隙間から、乳首を指先で弄られる。すっかり快感を教え込まれた僕の身体は、容易にナカで達してしまった。
「ひ……――――――ッ」
ぶるぶると震えて、絶頂する。足が浮くけど、ルイの逞しい腕に抱かれて落ちることはない。
ぱた、ぱたと、座席の皮に汗か涎か、ナニかが飛ぶ。肉壺の中にもたっぷりと出されて、どろどろしたものが太ももを伝って落ちていた。
「はぁっ、あー、ああ――っ、だめ、もう、らめ……っ」
「もう一度だけ」
「くふ、ううっ、あ~ッ!」
ルイもイッたはずなのに、回復力が凄まじい!
恐怖を覚えるほどに瞬時に蘇った陰茎に、何度となく貫かれて、僕はまた意識を失った。
野営するということは、周りには護衛騎士がぞろぞろとついている訳でして。
闇魔法:消音をかけてはいても、馬車が揺れることは誤魔化せなかった。揺れて見えないように闇魔法:幻影を使うことも出来るけど、そうすると今度は消音出来ないから音が丸聞こえになってしまう。
それよりはマシでもね、無音で激しく揺れる馬車を、誰もが目撃している訳だ。暗いから誤魔化せ……たと願いたい。
翌朝も当然、移動をする。サッと視線を配ると、なんとなく騎士さんたちのお顔が赤い気がする。……ごめんなさい。ルイが童貞卒業したばっかりに。僕も男のコなものだから気持ちよさに抗えず、申し訳ない。
ようやっと辺境伯領に着いたら、美しい自然や開発しがいのある街に、僕は完全に元気を取り戻した。僕の13年の頑張りを、今度はこの領地のために使えるんだ!
僕たちの到着と同時に、陛下から『完全降伏』を彷彿とさせるようなお手紙と贈り物が届いていた。多額の慰謝料と、伝説級の魔道具や宝剣まで。
要約すると、『愚息には必ず報いを受けさせるので、どうか王家を見限らないでくれ』と。どうやら僕を再利用しようとしたこともバレていて、謝罪の文から陛下の丸くなった肩が見えたような気がした。
実のところ、僕には闇魔法:使い魔という、諜報に大変便利な魔法がある。使い手の十分の一程度の知性を上限として、小さな蜘蛛を量産したり、鴉を忍ばせて証拠を取ってこさせたり。気付かれる確率はほぼゼロで、万が一捕まったり殺されても、僕の身体に魔力や記憶として還ってくるだけだ。
それを使えることは秘密。だって後ろ暗い事をしている人達から命を狙われてしまうからね。殿下の公務をお手伝いするのに少しばかり使ったのを、陛下が察しているとしたら、このやたら下手に出ている文言も納得だ。
「頭を下げに来いと言いたい所だが、アシリスと会わせたくない。謝罪をするから王城に来いと言われても腹が立つから、この謝罪を受け入れるしかないな……」
「うん、いいじゃないか。面倒くさくない、いい謝罪だと思う。僕ももう殿下には会いたくないし、今頃陛下にたっぷり叱られていると思うし」
「そう願おう」
ふふ、陛下がそう言うのなら、安心だ。
僕は陛下のことも好きだったし、これからも貴族でいるのなら良好な関係でい続ける必要があるものね。
結婚式まであと少し。けれど事実上の夫婦とばかりに、僕とルイは愛と肉欲と欲望の毎日を送っていた。……ん?つまり、セックスしかしていない?
いやいや、そんなことはない。ルイは約束通り、僕の好きなようにさせてくれた。薬師との共同開発だって進み、この領地でしか取れない魔物の素材を使った商会を立ち上げたりだとかね。
運動がてら、領地の魔物を討伐しに行くこともあった。僕は剣術は得意でないので、闇魔法で。ルイは長剣で。これがまた、格好いいんだ。
ただし夜は、毎晩のように愛し合う。僕はすっかりルイの虜になり、ルイも今まで以上に僕を大切に愛でてくれるようになった。もちろんお尻だけじゃなく、ね。
もう、童貞だと罵ることも出来ないくらい、僕を快感の渦に叩き落としてくれる。
「ありがとう、ルイ。……幸せだよ、僕」
「そうなら嬉しい。俺もこれ以上なく幸せ者だ。アシリスを貰えたのだから」
こうして、事後、しっとり抱き合っていちゃいちゃする時間が……とっても幸せ。
ルイによって愛されて自信のついた僕は、辺境伯領を大いに富ませ、ルイと共に、優秀で仲睦まじい番夫婦として名を馳せたのだった。
End
番外編(別視点)に続く
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