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本編
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しおりを挟む殿下が肩を落として帰っていった後、ルイは僕をぎゅっと抱きしめてくれていた。何も言わずに。
僕もなんだかぼーっとして、されるがまま。ルイのあったかい腕の中の心地良さに、浸っていた。
「……ありがとう。ルイ。僕、君が色々言ってくれたから、なんだかスッキリしたよ。嬉しかった……」
「そうか?俺はまだ言い足りない。クソがクソみたいなこと言ってたからな……」
「本当君って口悪いよね」
「お前こそそうだろ、そういうギャップも好きだ」
「……っ」
はぁ、夢のような心地だ。ドキドキするけど離れがたい。
13年。親と王家に用意された梯子を必死こいて登り続けて、『王子の婚約者』として周囲にも認められる程の高みに到達してから、梯子を外された。
ぽつんと残ったのは、僕一人。
ここからまた地上に降りるには、自分で梯子を作って降りなきゃいけない。それも、どこまで堕ちるのかわからない。
それならいっその事、飛び降りてそのまま消えてしまえばいいと思っていた。
けど、今はもう違う。ルイが迎えに来てくれて、別の道を指し示してくれたんだ。
「……ルイ……」
「アシリス……綺麗だ」
不思議なことに、殿下が来た事によって、もう殿下のことなどどうでもよくて、ルイのことしか考えていなかったことに気付いた。最初は一晩だけでいいや、と提案したのに、いつの間にかルイじゃなきゃ嫌だと、ルイだけを欲するようになっていた。
僕は殿下を好きだったのではなく、その立場や費やした年月に執着していただけだったのかもしれない。
だってもう、殿下なんかメじゃないくらい、圧倒的にルイの方が好きで、ドキドキして、幸せなんだもの。
ちゅ、ちゅう、と交わす口付けも。
大切な宝物に触れるように肌を撫でられるのも。
「ん、んんっ……」
ぐち、ぐち、と、ルイの指が、お尻ではなく蕾の内側を撫でている。覆い被さるルイの、鎧のようにおっきな身体にしがみついて、はしたなく漏れそうになる声を我慢しているのだけど、敏感になった内壁がそうさせてくれない。
「あぁっ、……っひ、う……っ」
「こら、唇を噛むな。傷が付く。……俺のもんなのに」
「うぅ、む、りぃ、……!」
ドクンッ!
ルイの指がしこりに触れて、脳が揺れる……っ!
「あ――ッ!アッ、ァア"ッ!」
ぴくんっ、ぴくんっ、と腰が跳ねた。き、気持ちいい!ひえぇ、なにこれ、自慰と違う……!
一度快感を味わったお尻は、もっともっとと強請るように愛液で濡れて、ルイの指は二本、三本と増え、じゅっぽじゅっぽと卑猥な音すら出すようになった。
「る、ルイぃぃっ!もう、ッァア!入れ――」
「う、俺も限界だ……っ!」
クッ、と唸ったルイが、屈強な体格に見合った凶悪なブツでお尻にキスをする。そして、息を止めて、ぬちぬちと入ってきた……!
待ち望んだ、あまりにもキツイ圧迫感。けどその矛は、空っぽな僕を満たしていく。僕の張子でだって、ここまで大きなモノは入れたことはない。
熱い。太い。硬いのに、僕を傷つけることはない弾力。
感動で泣きそうだ。息を浅く吐いて、じっと我慢する。
ゆっくりゆっくり、入ってきて、突如として、弾けた!えっ、早……。
「くぅぅっ……!」
「る、ルイ……?」
「はぁ、はぁ……」
ドンッ!ビュクビュクッ!びゅるる……
とんでもない量の飛沫が、注ぎ込まれていた。腹いっぱいに。ちょっと早かったけど、まぁ、いっか。アルファの精液……あったか気持ちいい……と満たされていると、悔しそうな顔のルイにぺろりと頬を舐められた。
「アシリス、俺を見くびるなよ……」
「だって、君、もう……って、え!?」
僕の中で、ルイのものは再び硬くなっていた。うわ、また、大きくなってる……!?いやいや、さっき確実に放っていたのに!?
「へっ、あぁっ、ちょっ……!ああっ……」
中がまだたっぷりと潤っているからか、ルイはなめらかに、腰を大きくグラインドさせた。見せつけるように、ゆっくりと……!
ルイは悪いニヤついた顔で、僕を焦らすように抽送を始めた。既にぷっくりと赤く腫れた乳首を舐め、コリコリと転がし、鎖骨も耳も、肌が薄くて弱いところを全部味わい尽くしながら。
「ん……美味い。お前の味は俺をおかしくさせるな……」
「そ、んなっ、……んっ!元から、おかしぃ、だ、ろ……ッ!あ、ひぁ、やぁっ……!」
先程よりも大きく、硬くすら感じる。完全復活したルイの切先は、もう僕の良い所を見つけたようで、そのしこりを擦られる度、電気が走ったように快感を与えられた。びくびく、ぴくぴくと身体が跳ねる。
それだけで十分気持ちいいのに、ルイときたら、めちゃくちゃ雄の顔で僕を見つめ、食べるような勢いで口付けをしてくるものだから。あらぬ所がキュンキュンしてしまう……!
あ、ヤバい。マズイ。
ギュッと締めつけているその一番奥を、長大な陰茎に貫かれた。パンッと頭が弾けたような感覚と共に、腰が浮き、脚が伸びる。
「イくっ……~~っ!」
ぴゅっ、ぴゅっ……。ルイと比べると可愛らしいほど僅かな白濁が溢れていく。
気持ちいい、気持ちいいけど、もうお腹の真ん中がキツイ。快感を感じる度にぎゅうぎゅうとルイを締め付ける謎の筋肉が、疲弊してきている。
「あ、だめ、待って、まだ、イ"ッ――」
「無理」
どちゅっ!またも貫かれると、僕の身体はいよいよ悲鳴を上げた。快感しか拾えない!
「い……っ、イ"ッでる"、からぁ……っ!やぁーーッ!」
両脚を抱え込まれて、逃げられない。丸くなったような形で腕もなにもかも放り出して、ただただ揺さぶられる。そのルイの動きの全てが、僕を翻弄し、いつしか射精もしていないのにイキ狂って、絶叫していたと、思う。たぶん。
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