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番外編:ロドリック 侵略後 ※

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「そこ、だぁッ!吸うな、って……!」

「大丈夫だ、見えないところだから」

「あっ、らめ、アッ、つよ、い……っ!!」

「ここか?」

「あ"ッ、ひぃーーーーッ!!」


 綺麗に反り返った首筋を、やわらかく喰む。そのまま強く吸うと、白い肌にパッと綺麗な印が付いた。


「あっ、も、また……!」

「『愛している』の印だ。悪い虫が寄ってこないように」

「……はぁっ、あ、んんっ……!」


 レイは汗すら甘い。搾り取るように畝る内壁は、『そこが弱点です』と教えてくれている。私は褒美を与えるかのように、大量の精を注いだ。


 だが、まだまだ足りない。もっとむさぼりたい。


 くったりとしたレイの艶かしい脚を抱き抱え、壁へ押し付けるように折りたたむ。腰を最奥へと進めると、レイは逃げ場所を求めてあがいていた。

 もちろん、そんな抵抗は可愛いものだが。


「も、う……とけ、るぅ……っ」

「っぐ……、また、可愛いことを」


 私の首の後ろに腕を回したレイ。泣きそうな程に潤んだ空色の瞳は美しい。長い銀の睫毛が涙で束になり、一種の宝飾品のよう。

 汗ばみ、桃色に熱った頬へ銀髪が張り付いて、ゾクゾクするほど色っぽく、私の愚息が再び元気になってしまうのも致し方ないこと。


「ひゃっ、やめ、ロディ!も、む、りっ……てば!」

「いけるだろう?君は私に次ぐ、次席なんだから」

「体格、がッ……んぁぁああッ!!」


 レイはがくがくと腰を揺らしてまた絶頂する。なんてエロい景色。いつも飄々として余裕そうなレイが、必死に私にしがみ付いて鳴くのがたまらない。

 波打つ薄い腹をなぞって、私の逸物がちゃんと埋め込まれているのを確認した。


 ふむ。しっかり、繋がっている。


 ぴくぴくと動く体は小動物をいじめているようだが、私は一切手を緩めない。硬く張り詰めた男根でばちゅばちゅと突き上げると、軽い体はその度に精液を漏らしながら浮いた。


「あっ、へぇ……、アンッ、やぁっ、も、もう」


「だめじゃない。気持ちいい、だろう?」





 ~小一時間後~





「あうぅ、あんっ、あっ、しょこ、ぎもぢぃいい!!」

「ここか。教えてくれていい子だ」

「あっ、また、またイクッ!イッ、~~~!」


 出せるものも無くなったレイは、全身を釣られたように反って痙攣していた。いや、さっきからずっと痙攣しているかもしれない。

 イキすぎて訳も分かってないのだろう、ぽやんとしたレイはどこか幼く、可愛さが天元突破している。


 力を失ったレイをベッドに横たえると、幼児が親に抱っこをせがむように両腕を伸ばされた。誘われるままに近付くと、私の耳元に囁かれる。


「ろでぃ、おれも、ろでぃがすき……だ、」


 パタリと落ちる腕。


「……っ!?」



 そんなことを言って逃げるなんて……!



「君は、本当に私を翻弄する……」


 意識のないレイの中へ、再び抽送する。これは仕方ないだろう、焚き付けるだけ焚き付けておいて。

 時折『あうっ』や『んむぅ』と寝言。寝ていても感じる敏感な身体は、私が育てたもの。吸い付くような肌と肉壺は唸るほど気持ちよく、何度果てたとして飽きるどころかさらに貪欲に欲してしまう。


 全て食べてしまいたい。全部私のものにしたい。


 これほどまでに彼を追い込んでいるのは、私の醜い嫉妬心に他ならなかった。















 レイと晴れて身も心も結ばれ、婚約し、安心……は、出来なかった。


「おっ、それ最新の『リュクラスシリーズ』のしかもレアカードじゃん!すげぇ!」

「でしょう、すっごい苦労してゲットした」

「うっわー、カッコいいな!ちょっと見せてくれ!」

「もちろん」


 イライラする。理由は簡単、レイがバルカスと戯れているからだ。


 子爵家の次男坊であるバルカスは、面倒見が良い。末っ子のレイと相性が良いからか、良く一緒にいるのを見かける。


 奴はレイの隣を常に陣取っていた。


 レアカードと呼ばれるキラキラした何かを餌にして、レイの興味を引くとは……、くっ、なぜそんなものを用意しているんだ、こすい奴め。


 バルカスは十中八九、レイを性的な意味で好きだ。優しいふりをした狼とは奴のこと。ただ度胸がなく手をこまねいているので、私が掻っ攫ってやった。

 あんな奴に配慮する必要はないし、警戒する必要もない。


……しかし、ちょっと距離が近すぎないか?


 レイがカードを前のめりで眺めている。その背中にバルカスが腕を回した。ここから見れば触れているように見える。しかし横から見れば違うのかもしれない。どちらにしても、恋人である私の目の前で、よくやれるな?喧嘩を売っているのか?


 レイの纏う空気を吸い込んだ罪は、重い。


 目を細めながら近付くと、バルカスはいち早く気づいて体を離した。離したところで許すわけではない。
 そこでバルカスが、レイの後ろを見て何かに気付く。


「……あれっ、レイ、そこ……」

「ん?なんだ」

「首の後ろに、赤いのが……って、うわ!」


 バルカスは気付いたらしい。私がレイに残した跡を。急いで声をかけた。


「バルカス、レイ」

「シルファ様。今日もお昼ですね?」

「……ああ」

「食べよう食べよう!あ、バルカス、俺の後ろになんかついてるか?」

「君、気付いてないの?……ほら」


 バルカスはそっと手鏡を差し出した。私が止める間もなく、なんとか角度を調整したレイは、自身の首の後ろに残った赤い印を発見してしまった。


「なんだこれ。虫刺されか?痒くはねーけど」


 バルカスは私を見た。しいっ、と唇に指を当てる。それはまだ教えていないんだ。

 ……だが、バルカスはわずかに笑っていた。

 あろうことか、その秘密を言ってしまったのだ。あの野郎……!


「それ……キスマークだよ、レイジーン」

「なにそれ?」

「その、ほら、えっちな事する時、つけられたんじゃない?別名所有痕って言って、『こいつはオレのものだぜ』って示すために付けるやつだよ」

「……………………ロドリック?おい、まさか、」


「……」


「ま、ま、まさかこれ、ずっと付けてた!?俺!?嘘だろ……!?嘘だと言ってくれ!」


 私は沈黙した。レイの首に付いたささやかな私の印は、他の令息を牽制するのにうってつけだ。それを見て何を想像したのか顔を赤らめる者どもは多かったが、私のレイだと示せる、大事なもの。

 レイは首の後ろを押さえて、赤くなったり青くなったりしていた。


「はっ!で、でも、これがどんな意味か分からねぇやつだっているよな?な?」

「……」

「黙るなよッ!えっ、俺、破廉恥丸出しじゃねぇか……!どうしてくれる、ロドリック!」

「シルファ様、本人の気持ちを置いてけぼりですねぇ……」

「そーだそーだっ!」


 バルカスの尻馬に乗ったレイは、私に敵対するようにバルカスの背中に隠れて、ぎゅうと……盾にしていた。

 なんだそれは。可愛いじゃないか。私にやらずに、バルカスに?殺気が溢れて、臆病な優男を直撃した。


「う、わ!お、お二人でよくお話合いくださ~~いっ!」



 ビビって逃げたバルカス。残されたレイはぽかんとし、ギギギとぎこちない動きで私を見た。


 もちろんその後、冒頭のように話し合い、丸め込んだのは言うまでもない。






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