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第三章 三人の卒業、未来へ

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 間の悪い事に、なのか、良いのか分からないが、こんなタイミングでリスティアの発情期が来てしまった。

 二回目に戻ってからずっと来ていなかったそれは、キールズ侯爵家の客室で、アルバートとゆったりお茶を飲んでいる最中に起こったのだ。

 発情期は、心身の状態に大きく作用される。危険、恐怖によって与えられたストレスが、発情期を起こさせて、種の存続を望んだのか。

 ノエルは外出中だった。アルバートとノエルは交代で王城に出向いて何かをしていたため、必然的に、アルバートに最初に抱かれる事になった。

 これまでだって何度も解されて、広げられてきた。だから大丈夫だと言うのに、リスティアが何を言おうと、縋ろうとする両腕は一纏めに拘束されて徹底的に愛撫され尽くし、全身じゅくじゅくにとろけきって、指は四本も入れられても尚、まだだとお預けを食らっていた。


「はぁ、う……、あ、あ、」

「痛くないか……?もう少し、解そう」

「もう、我慢、無理、だめ、お願い……っ」

「く……っ、この、……ティアっ!」


 リスティアはどうしても、アルバートの顔が見たかった。アルバートは後ろの体勢の方が負担は少ないと教えてくれたが、そんなものはどうだって良かった。

(アルの顔を見て、したい……)

「はぁ、ん、はやく、来て、アル……っ!」

「…………――っ」


 ぐちっ。

 アルバートの剛直は、とても大きい。その亀頭ですら、リスティアのまだ慎ましい顔をした蕾を広げきるのに難儀していた。

 慎重なアルバートらしく、頭のおかしくなるくらい、ゆっくり、ゆっくりと腰を進めようとしていた。多分、殆ど入っていない。亀頭と後孔がぬちぬちとキスしている状態が続いて、何と言うか!

 それは自分の身体に考慮している、彼の優しさだと分かっている。けれど、それじゃ到底この疼きは治らない。もっと深く。もっと奥へと望んでいる。
 リスティアはとろんと溶けた瞳でアルバートを誘う。


「アル、くち……」

「くち……?っああ」


 覆い被さってきたアルバートに、口付けをもらいがてら、魔力を流した。発情に焦らされたあまり、繊細な制御ができず、ドンッといったかもしれない。
 そしてアルバートは、覚醒した。


「ひやぁああああああ!」


 ぐぷぷぷぷっ!
 噛み付くような口付けをしながら、一気に腰を進められた!
 ずっしりとした質量、熱、硬さに、一瞬息が止まる。
 串刺し。そんな自分が想像できた。

 ピリッとした痛みが走って、少し顔を顰めてしまう。しかしそれは、耐えられない程でもない痛みで、すぐに和らいでくる。


「痛い、か……っ?」

「んんっ……だ、だいじょ、ぶ……っ」

「ティア…………、くっ、なんて狭い……、」


 リスティアはそう言ったのに、やはり、アルバートの動きは止まってしまった。それでもキスで、舌で、リスティアに快感を与えてくれる。

 汗をかいたアルバートの身体は、彫刻のように美しい。胸も腹もお尻の奥まで全部、ぴったりくっついて、満ち足りている。

(アルで…いっぱいだ……)

 うっとりと陶酔するリスティアの一方、アルバートはおそらく動きたいのに、ひどく我慢をしているのだろう。唸るような声。細めた目。ぶるぶると震える筋肉。


「ある、ね、動いて。だんだん、ほら……馴染んできた、から、」

「……く……っ、わ、分かった……っ」

「アル……」


 可愛い。アルバートが待てをしている子犬みたいに見えて、ちゅっとキスをすると同時に腹の奥が勝手にキュンと疼いて……なにやら間違えたようだ。


「んぁ……っ!?」


 舌が咥内を弄び、唾液を絞るように舌を絡められながら、アルバートの巨根が、内壁を擦っていく。ズルリズルリと前後する動きは、速くはないのに一部の隙間もなく気持ちいい。

 両の手を指まで絡め取られているから、腰は浮いても逃げることもできない。ズックズックと律動に翻弄されるまま。

 見上げるアルバートの顔は、凛々しくも何か堪えているような表情。リスティアは不安になり、おずおずと、聞く。


「あ、ある……っ、き、気持ちい?」

「、……え?」

「ぼくの、な、か……ちゃんと、気持ち、いい……?」


 一瞬固まったアルバートは、天を仰いだかと思えば、『このひとは……』と呟き、熱烈に口付けを降らせてきた。


「愛している人と繋がっているんだ、気持ちいいに決まっている……!」

「う、わぁ、すっ……あっ、あっ、ああ……っ!」

「ティア……最高に、気持ちいい、な……っ、」

「うん、うん……っ、ある、好き、好き……っ!」

「………――――っ!」


 気持ちいい、熱い、気持ちいい……っ!

 肌がぴったりと重なって、汗や涙やなんやらでびちょびちょなのに、一切気にならない。アルバートから優しさを埋め込まれているような行為にひたすら喘ぎ、翻弄されていると、アルバートもやがて限界を迎えた。

 途端に注ぎ込まれる、熱い飛沫、そして魔力の奔流に、満たされていく――――。


「――――――――アッ――」


 ビクビクビクッ!
 あ……。
 フェロモンが、より一層濃くなって――。




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