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実家から戻ってきてから、ベルフィーナが変装してポーションを納品しても、騎士団員の姿は見かけなかった。
ダグラスとレイヴィスは余程忙しいらしい。
それでも数日置きに、二人それぞれから短いメッセージ付きの花が届いていて、忙しい中でも気をかけてくれる気持ちにほっこりとしていた。
その間に、薬師としての知識は着々と増えていく。
相変わらず薬草を採取がてら魔物を狩りに行ったり、ヒルデと構想を練ったりと、忙しくも穏やかな日々をすごしていた。
一方、王城の騎士達は、王女の嫁入りのために大詰めの段階。過酷なまでに忙しく働いており、皆が皆心に余裕など全くない状態。
ついに王女の旅立つ日の前日。
予定では、昼には王都で華々しくパレードを行い、その後公爵家まで騎士団が護送する。
勿論全員ではないが、精鋭達を選んで、王女のドレスやら嫁入り道具やら侍女やらをパンパンに詰めた馬車を守る。
大所帯のゆっくりとした移動のため、数週間かけた旅になる。道中寄る街では、金を落とし経済を活性化することも任務に入っている。
護送隊員にはレイヴィスやダグラスも入っていて、ベルフィーナに早く会いたいとは思いつつも、任務のために早めに就寝する予定だった。
のだが。
深夜になってドタバタと慌ただしい城内に気付き、レイヴィスは目を覚ました。
手早く隊服を身につけたところで飛び込んできたのは、王女の夜勤護衛に付いていた女騎士だった。
その真っ青な顔を見て、事態を察知する。
「……それで?何故私を?」
夜明け前にも関わらず叩き起こされ、拉致に近い状態でベルフィーナは王城へと連れて来られていた。
使者が泣きそうなコリンでなければ、危うく狼藉者として排除しかけていた所だ。人選は正解だった。
寝起きの状態なのでドすっぴんではあるが、ベルフィーナの美貌にあまり変化はない。むしろメイクをした状態の方がキツく見られるタイプの顔である。
取り敢えず冒険者の服を装備してきたが、どうやら正解だったらしい。
「王女が攫われました。どうか空間収納の使い手として奪還に協力をして欲しいのです」
そう言ったのは、レイヴィスやダグラスと共にいた金髪の美少年。
彼は王太子の息子であり、王女とは姉弟。
姉とはいえ、王女の不審な動きに対して前々から独自に調査していたらしい。12歳にして、もう姉を見限っていた。
あえて名乗らないということは、王家からの依頼だとは隠したい、もしくは、断る選択肢も用意しているという誠意だと、ベルフィーナは察する。
レイヴィスは静かに、美少年の後ろに控えていた。
「恐らく姉の自作自演だと思います。前々から闇ギルドとの関わりが噂されていて。わざわざ騎士団長を指名しているのも、レイヴィスと既成事実を作れなかったから、何か計画しているんだろうと推測しています」
「私の役割は何でしょう?」
「王女を見つけたら結界の部屋に閉じ込めて、そのまま公爵家で待っている婚約者へ引き渡してもらいたいのです。なにがあろうとも。余力が有れば誘拐犯の護送も」
「……騎士団にも空間収納員がいらっしゃいますが、彼では?」
「彼は自分の周り一メートルしか結界を張れない。ベル殿。貴女が盗賊を討伐し、引き渡した時に結界の部屋に閉じ込めていたことを冒険者ギルド経由で知っていました。王女を縛らず、檻にも入れず、抵抗させずに嫁入りさせるにはそれしか無くて……」
美少年の疲れ果てて澱んだ瞳に同情する。
しかしその依頼を承諾したのはそれだけが理由ではない。
高額な報酬と、騎士団へ多大な貢献をしたとして、上級冒険者の『一ツ星』――冒険者の信頼を示す勲章のようなもの――を進呈してくれるらしい。
今後の活動でも大きく信用の得られるもの。逃すわけにはいかない。
レイヴィスも疲れたように眉頭を押さえていた。
事情を聞くと、深夜、『明日は嫁入りの日だから一人で物思いに耽りたい』という王女に、護衛の女騎士二人は部屋から追い出されたらしい。
もちろん怪しいことこの上ない。
女騎士二人は扉に身体をくっつけるようにして待機していた。少しでも物音がすれば反応できるようにと。流石に何も無いうちに王女の部屋に乗り込むことは出来ない。
しかし、気付けば意識を失っていた。慌てて中へ踏み込めば、催眠香と空っぽの部屋。そこには一枚のメッセージが。
【王女を返して欲しければ騎士団長を差し出せ】
ベルフィーナは首を傾げる。
「『差し出せ』?首を?」
「普通はそう思うだろう……多分、違うと思う。」
はぁ……、と気の遠くなりそうなため息を、レイヴィスが吐く。
「首だけが欲しいならもっと直接的な言葉にするだろう。恐らく一人縛って敵の陣地に放り込め、後は好きなようにするから、という意味だと思う。」
「そんな……ことにはならないわよね?国に真面目に献身してきた騎士への扱いとして理不尽過ぎるもの。まぁ、レイヴィスなら一人で壊滅させてしまうかもしれないけど……」
レイヴィスと会話しつつも美少年王子をちらりと見ると、ピンッと慌てたように姿勢を正していた。
「もちろんそんなことはしません!レイヴィスは大事な騎士です。姉よりも。という訳で、明日……もう今日か。護衛に駆り出す予定だった精鋭騎士全員で闇ギルドに踏み込ませます。魔術師団により追跡は出来ていて、居場所は分かっているので」
「なんてお粗末な」
ベルフィーナは呆れつつ、王子の手際の良さにほっと息を吐いた。頼もしい王になりそうだ。
「一介の冒険者として尽力します。よろしくお願いします、騎士団長様」
改めてそうレイヴィスに言えば、怪訝な顔をされた。失礼である。
迅速に集められた精鋭騎士団が、闇ギルドの拠点の一つ、森の奥にある廃屋へ踏み込んだ。
そこは地下への跳ね上げ式の扉があるだけで、音を立てないよう静かに、しかし素早く入っていく。
先頭はダグラス。レイヴィスとベルフィーナは背後から仲間が攻撃されないよう結界を張りつつ、廃屋で見張る。
ダグラスとも告白以来久しぶりに会ったが、少しニコリと微笑まれただけで、すぐに仕事モードへ切り替えていた。地下へ向かう後ろ姿は頼もしい。
無言のレイヴィスは、ピリピリとした殺気を放っていた。索敵に集中している。その凛々しい横顔にうっかり目が吸い寄せられそうになり、視線をずらす。
足の下では命の奪い合いがある……かもしれないのに。ダグラスや皆が無事、怪我もなく帰ってきますように。
ベルフィーナも結界に集中する。幸い、追加の敵は居なかったが、いつもより念入りに空間把握を発動し続けた。
地下では、闇に紛れ、ダグラスら精鋭達が中心部に着こうとしていた。静かな空洞に、少しずつ聞こえてくる声。女の声。……叫び声だ。
「ああっ!痛い!いた、い、あっ!!」
王女の獣のような声に、全員の血の気が引き、覚悟を決めて踏み込む!
ダグラスの放つ最大値の雷によって、敵は一人残らず体が硬直する。その隙を逃さず、次々と騎士が飛び込み、念入りに昏倒させていく。
予想通り、敵の正体は闇ギルドのメンバーだった。恐らく拉致の実行犯と思われる、闇属性を得意とするメンバーを発見した。手早く縛り、自害出来ないよう猿轡を嵌め、魔封じの腕輪も嵌める。
王女は、もう既に何人かに乱暴されていた所だった。涙と涎と血や何やらで全身を汚しているのを、女騎士が綺麗にして毛布に包む。流石に暴れはしなかった。
毛布に包まれた王女を、女騎士が抱え上げて出てきた。それから騎士達が捕縛済みの犯人らも引きずり出して、ベルフィーナは手筈通り彼らを結界の部屋に閉じ込める。
ダグラスは地下室を手早く、隈なく捜索して証拠品や痕跡をかき集めてから、最後に帰還した。
レイヴィスに報告し終えると、ベルフィーナの所へやってきて言う。
「ベル、お疲れ様。魔力はまだあるかい?出来れば水を王女……についている女性騎士に出してくれないかな。無理はしなくていいけど」
「ダグラスもお疲れ様。そうね、まだまだ余力はあるからお湯を渡しておくわ。気づかせてくれてありがとう」
ダグラスはへにょりと眉を下げた。王女の無事の救出に間に合わなかったことを、騎士として憂いていた。これは何回経験した所で慣れることのない感情である。
切り替える為に、ダグラスは他の騎士と共に野営の準備に没頭した。
ベルフィーナは王女、女騎士を結界の小部屋に入れて、馬車に乗せる。女騎士には盤にたっぷりとしたほかほかのお湯を出し、手拭いや、空間収納に忘れ去られていた出来るだけ質の良い夜間着を渡しておく。
馬車の扉が閉められ姿が見えなくなると、
「……このまま、公爵家へ?いいのかしら……」
「王子はこの事態も予測していた。『何があっても』そのまま公爵家へと。非情のように思うかもしれないが、出来るだけケアをしながら公爵家へ向かおう」
自分で計画し、何か失敗したのだろうけど、その姿は痛ましい。何も知らないベルフィーナは、ぼろぼろになった王女に同情を禁じ得なかった。
王女らとベルフィーナを含む大半の騎士達は特急で公爵家に向かい、闇ギルドメンバーは結界の部屋に入れたまま馬に繋いで、数名の騎士が王都に連れていく事となった。
ベルフィーナの結界の箱は一日は保つように魔力を込めておいたので、問題なく持ち帰れただろう。
公爵家へ向けて進み始めて数日が経った。
ショックから落ち着いた王女から、ことの顛末を聞き終えた女騎士は、限りなく遠い虚無の目をしたまま報告してきたのだった。
ダグラスとレイヴィスは余程忙しいらしい。
それでも数日置きに、二人それぞれから短いメッセージ付きの花が届いていて、忙しい中でも気をかけてくれる気持ちにほっこりとしていた。
その間に、薬師としての知識は着々と増えていく。
相変わらず薬草を採取がてら魔物を狩りに行ったり、ヒルデと構想を練ったりと、忙しくも穏やかな日々をすごしていた。
一方、王城の騎士達は、王女の嫁入りのために大詰めの段階。過酷なまでに忙しく働いており、皆が皆心に余裕など全くない状態。
ついに王女の旅立つ日の前日。
予定では、昼には王都で華々しくパレードを行い、その後公爵家まで騎士団が護送する。
勿論全員ではないが、精鋭達を選んで、王女のドレスやら嫁入り道具やら侍女やらをパンパンに詰めた馬車を守る。
大所帯のゆっくりとした移動のため、数週間かけた旅になる。道中寄る街では、金を落とし経済を活性化することも任務に入っている。
護送隊員にはレイヴィスやダグラスも入っていて、ベルフィーナに早く会いたいとは思いつつも、任務のために早めに就寝する予定だった。
のだが。
深夜になってドタバタと慌ただしい城内に気付き、レイヴィスは目を覚ました。
手早く隊服を身につけたところで飛び込んできたのは、王女の夜勤護衛に付いていた女騎士だった。
その真っ青な顔を見て、事態を察知する。
「……それで?何故私を?」
夜明け前にも関わらず叩き起こされ、拉致に近い状態でベルフィーナは王城へと連れて来られていた。
使者が泣きそうなコリンでなければ、危うく狼藉者として排除しかけていた所だ。人選は正解だった。
寝起きの状態なのでドすっぴんではあるが、ベルフィーナの美貌にあまり変化はない。むしろメイクをした状態の方がキツく見られるタイプの顔である。
取り敢えず冒険者の服を装備してきたが、どうやら正解だったらしい。
「王女が攫われました。どうか空間収納の使い手として奪還に協力をして欲しいのです」
そう言ったのは、レイヴィスやダグラスと共にいた金髪の美少年。
彼は王太子の息子であり、王女とは姉弟。
姉とはいえ、王女の不審な動きに対して前々から独自に調査していたらしい。12歳にして、もう姉を見限っていた。
あえて名乗らないということは、王家からの依頼だとは隠したい、もしくは、断る選択肢も用意しているという誠意だと、ベルフィーナは察する。
レイヴィスは静かに、美少年の後ろに控えていた。
「恐らく姉の自作自演だと思います。前々から闇ギルドとの関わりが噂されていて。わざわざ騎士団長を指名しているのも、レイヴィスと既成事実を作れなかったから、何か計画しているんだろうと推測しています」
「私の役割は何でしょう?」
「王女を見つけたら結界の部屋に閉じ込めて、そのまま公爵家で待っている婚約者へ引き渡してもらいたいのです。なにがあろうとも。余力が有れば誘拐犯の護送も」
「……騎士団にも空間収納員がいらっしゃいますが、彼では?」
「彼は自分の周り一メートルしか結界を張れない。ベル殿。貴女が盗賊を討伐し、引き渡した時に結界の部屋に閉じ込めていたことを冒険者ギルド経由で知っていました。王女を縛らず、檻にも入れず、抵抗させずに嫁入りさせるにはそれしか無くて……」
美少年の疲れ果てて澱んだ瞳に同情する。
しかしその依頼を承諾したのはそれだけが理由ではない。
高額な報酬と、騎士団へ多大な貢献をしたとして、上級冒険者の『一ツ星』――冒険者の信頼を示す勲章のようなもの――を進呈してくれるらしい。
今後の活動でも大きく信用の得られるもの。逃すわけにはいかない。
レイヴィスも疲れたように眉頭を押さえていた。
事情を聞くと、深夜、『明日は嫁入りの日だから一人で物思いに耽りたい』という王女に、護衛の女騎士二人は部屋から追い出されたらしい。
もちろん怪しいことこの上ない。
女騎士二人は扉に身体をくっつけるようにして待機していた。少しでも物音がすれば反応できるようにと。流石に何も無いうちに王女の部屋に乗り込むことは出来ない。
しかし、気付けば意識を失っていた。慌てて中へ踏み込めば、催眠香と空っぽの部屋。そこには一枚のメッセージが。
【王女を返して欲しければ騎士団長を差し出せ】
ベルフィーナは首を傾げる。
「『差し出せ』?首を?」
「普通はそう思うだろう……多分、違うと思う。」
はぁ……、と気の遠くなりそうなため息を、レイヴィスが吐く。
「首だけが欲しいならもっと直接的な言葉にするだろう。恐らく一人縛って敵の陣地に放り込め、後は好きなようにするから、という意味だと思う。」
「そんな……ことにはならないわよね?国に真面目に献身してきた騎士への扱いとして理不尽過ぎるもの。まぁ、レイヴィスなら一人で壊滅させてしまうかもしれないけど……」
レイヴィスと会話しつつも美少年王子をちらりと見ると、ピンッと慌てたように姿勢を正していた。
「もちろんそんなことはしません!レイヴィスは大事な騎士です。姉よりも。という訳で、明日……もう今日か。護衛に駆り出す予定だった精鋭騎士全員で闇ギルドに踏み込ませます。魔術師団により追跡は出来ていて、居場所は分かっているので」
「なんてお粗末な」
ベルフィーナは呆れつつ、王子の手際の良さにほっと息を吐いた。頼もしい王になりそうだ。
「一介の冒険者として尽力します。よろしくお願いします、騎士団長様」
改めてそうレイヴィスに言えば、怪訝な顔をされた。失礼である。
迅速に集められた精鋭騎士団が、闇ギルドの拠点の一つ、森の奥にある廃屋へ踏み込んだ。
そこは地下への跳ね上げ式の扉があるだけで、音を立てないよう静かに、しかし素早く入っていく。
先頭はダグラス。レイヴィスとベルフィーナは背後から仲間が攻撃されないよう結界を張りつつ、廃屋で見張る。
ダグラスとも告白以来久しぶりに会ったが、少しニコリと微笑まれただけで、すぐに仕事モードへ切り替えていた。地下へ向かう後ろ姿は頼もしい。
無言のレイヴィスは、ピリピリとした殺気を放っていた。索敵に集中している。その凛々しい横顔にうっかり目が吸い寄せられそうになり、視線をずらす。
足の下では命の奪い合いがある……かもしれないのに。ダグラスや皆が無事、怪我もなく帰ってきますように。
ベルフィーナも結界に集中する。幸い、追加の敵は居なかったが、いつもより念入りに空間把握を発動し続けた。
地下では、闇に紛れ、ダグラスら精鋭達が中心部に着こうとしていた。静かな空洞に、少しずつ聞こえてくる声。女の声。……叫び声だ。
「ああっ!痛い!いた、い、あっ!!」
王女の獣のような声に、全員の血の気が引き、覚悟を決めて踏み込む!
ダグラスの放つ最大値の雷によって、敵は一人残らず体が硬直する。その隙を逃さず、次々と騎士が飛び込み、念入りに昏倒させていく。
予想通り、敵の正体は闇ギルドのメンバーだった。恐らく拉致の実行犯と思われる、闇属性を得意とするメンバーを発見した。手早く縛り、自害出来ないよう猿轡を嵌め、魔封じの腕輪も嵌める。
王女は、もう既に何人かに乱暴されていた所だった。涙と涎と血や何やらで全身を汚しているのを、女騎士が綺麗にして毛布に包む。流石に暴れはしなかった。
毛布に包まれた王女を、女騎士が抱え上げて出てきた。それから騎士達が捕縛済みの犯人らも引きずり出して、ベルフィーナは手筈通り彼らを結界の部屋に閉じ込める。
ダグラスは地下室を手早く、隈なく捜索して証拠品や痕跡をかき集めてから、最後に帰還した。
レイヴィスに報告し終えると、ベルフィーナの所へやってきて言う。
「ベル、お疲れ様。魔力はまだあるかい?出来れば水を王女……についている女性騎士に出してくれないかな。無理はしなくていいけど」
「ダグラスもお疲れ様。そうね、まだまだ余力はあるからお湯を渡しておくわ。気づかせてくれてありがとう」
ダグラスはへにょりと眉を下げた。王女の無事の救出に間に合わなかったことを、騎士として憂いていた。これは何回経験した所で慣れることのない感情である。
切り替える為に、ダグラスは他の騎士と共に野営の準備に没頭した。
ベルフィーナは王女、女騎士を結界の小部屋に入れて、馬車に乗せる。女騎士には盤にたっぷりとしたほかほかのお湯を出し、手拭いや、空間収納に忘れ去られていた出来るだけ質の良い夜間着を渡しておく。
馬車の扉が閉められ姿が見えなくなると、
「……このまま、公爵家へ?いいのかしら……」
「王子はこの事態も予測していた。『何があっても』そのまま公爵家へと。非情のように思うかもしれないが、出来るだけケアをしながら公爵家へ向かおう」
自分で計画し、何か失敗したのだろうけど、その姿は痛ましい。何も知らないベルフィーナは、ぼろぼろになった王女に同情を禁じ得なかった。
王女らとベルフィーナを含む大半の騎士達は特急で公爵家に向かい、闇ギルドメンバーは結界の部屋に入れたまま馬に繋いで、数名の騎士が王都に連れていく事となった。
ベルフィーナの結界の箱は一日は保つように魔力を込めておいたので、問題なく持ち帰れただろう。
公爵家へ向けて進み始めて数日が経った。
ショックから落ち着いた王女から、ことの顛末を聞き終えた女騎士は、限りなく遠い虚無の目をしたまま報告してきたのだった。
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