【完結】疲れ果てた水の巫子、隣国王子のエモノになる

カシナシ

文字の大きさ
上 下
50 / 72
本編

49 ※

しおりを挟む
一連の儀式を終えて晴れて正式に夫婦となった瞬間、僕は離宮へと連れ込まれてしまった。

ジタリヤ様はニヤニヤしながら手を振っているし、なんなら、これみよがしにたっぷり準備されたシーツも広げている。

僕はもう顔を覆って、大人しく、軍服姿の超絶美形に攫われていく他無かった。


ぽすん、と降ろされた先は、学園の寮とは比べ物にならないほど広い寝台。
どうやって部屋にいれたのか気になるくらい大きなベッドの中心で、ああ、もう、クライヴ様に覆い被さられている。


「クライヴ、様、その、初夜って、よる、ではないのですか?」

「婚姻式が終わればすなわち夜だ。外が明るくともな」


ぐっと襟元を緩め、クライヴ様は僕を見下ろす。

そして問答無用の、激しい口付け。逃げることなど許さない、そんな気迫を浴びせられる。

もう、お互いの体が熱を持っていることなんて、ここに辿り着くまでに知っている。敏感になった肌が粟立ち、クライヴ様に触れられるだけで快感の波紋が広がる。


「ふっ、う、んんっ、ん……っ」

「その神官服は妙に唆る。一切露出はないのが逆に良いとは……」

「はっ、はぁ、はぁ、く、クライヴ様も……っ、すごく、格好良いです……!」


語彙力の無さが恨めしい。へにょりと眉を下げると、クライヴ様が悪そうに笑う。
あ、その顔。すっごく好き。


「ほう……どれほど、格好良い?」

「ええと……今すぐ、どうにか、して欲しいくらいには……っ!?」


噛み付かれた。
えっ?ガブリと。えっ?

僕の白い首筋には、クライヴ様の歯形が残っているに違いなかった。
しかもどうかしちゃっていることに、痛いのに、なんで、気持ちいいの?


「ひっ……あ、あ、あうっ……」


完全に猛獣モードになってしまったクライヴ様によって、神官服が剥ぎ取られていく。
幾重にも布を使った衣装が瞬く間に剥かれて、明るい日差しの中に裸が晒されてしまう。

恥ずかしい!

クライヴ様の軍服にも手を伸ばすが、途中で捕まり、両の手首がシーツに押し付けられる。


「やっ、クライヴ、様っ……!」

「今はこちらで忙しい。後でだ」


どちら!?
クライヴ様は、僕の小さな胸の飾りに夢中になっていた。
艶々とした若い果実みたいな粒に育ったそこは、今やクライヴ様に触れられただけで快感を拾えるようになってしまっている。
軍服の禁欲的な美形が、僕の、胸を舐めているなんて……!


「は、えっ、嘘っ、あっ、やぁ……ーーっ!」


ぎゅううっ、と指を丸めて力が籠る。ずくん、と腰が重たくなって、熱が集まって。
気持ちいのが、身体を巡って、止まらな……っ!


ドクンッ!


「ほう……ここだけで達せたのか。シュリエルは良い子だな」

「はぁ、はっ、は、あ、あ、そん、な……」


僕の放ったものが、黒い軍服を汚してしまっている!べたっと、白く透ける糸を引いて、とても、いやらしい。

呆然とした僕に構わず、クライヴ様は僕を軽くひっくり返すと、むんずと小尻を割開く。


「この感触は……病みつきになる。はぁ、こんなに清らかな尻があるなど……」

「ひゃぁぁあっ、ああっ、!だめっ、!」


じゅるっ。じゅるじゅるっ!

何かブツブツ言っていたと思えば、クライヴ様の多分、舌が!僕の蕾に入って、犯している……!
湿ってざらついたその長い舌が、洗浄しているとはいえ、あんなところに入るなんて!

ダメなのに、抗えないほどの快感。僕ははしたなく涎を垂らしながら、腰を揺らす。
揺れ、て、しまう……!

ぢゅうっ、じゅぷっ、ぢゅう……。


「はぁ、あ、あ、あ、あ、くら、いゔ、さまぁ……っ!」

「……。」


ぬこっ、ぬこっ、と指も入れられて。


「もう、お許しを……っ!」

「……。」


その指はどんどん増えて、僕の良いところをコリッ!と押したり、掠めたり、容赦なく追い立てていく。もう、練習で、すっかり僕の弱い所を熟知されてしまっている上で、執拗なまでに高められていく……!


「ぼ、僕、ああっ、あ、はやく、いれて、くださいっ……!おねが、」


垂れた涎でシーツが冷たく濡れてきた頃、僕は再びひっくり返され、両脚を持ち上げられた。

恥ずかしい格好。
だけど、その中心には本能をむき出しにしたようなクライヴ様がいて、うっとり、見惚れてしまっていた。

軍服を脱ぎ捨てたクライヴ様は、しっとり汗をかいて、咽せ返りそうな程の色気を醸し出している。艶やかな熱い筋肉が隆起して、僕を逃さないようがっちりと抱え込んでいるのだ。


「すまない……抱くぞ」


ドクドクと心臓を打つ波が止まらない。こんなに必死な顔をしたクライヴ様に、キュンとしてしまう。
この人に、こんな顔をさせられるのが嬉しくて、自然と微笑んだ。


「はい。……来て、クライヴ様」

「くっ……」


あそこにぴとりと宛てがわれた熱杭。僕の後孔には大きすぎるそれが、隘路をぬち、ぬち、と広げながら、ゆっくりと、焦らすように入ってくる。


「んっ、んん……」

「息を、止めるな……力を抜け」

「はぁ……は、はい……」


ズッ、ズッ。

なんて大きくて、硬くて、熱くて、太いのだろう。

腹の上でふるふると震える僕のものとは全然違う。みっちりと押し込まれるその楔は、間違いなくクライヴ様の一部。
それが、僕の中に入って、こんなにも圧迫し、支配している。

おなかと一緒に、胸までもがいっぱいになって、何故か、ぽろぽろと涙が落ちていく。


「?!シュリエル、痛い、か……?一旦、やめ……」

「だい、じょぶ、だから……っ、すき、すきですっ、クライヴさま……っ」


もっと。もっと深く繋がりたい。
必死にクライヴ様に手を伸ばし、引き寄せる。辛そうに汗をかいたその頬を拭い、口付けを送ると。


「……くっそ……!煽ったのは君だぞ、シュリエル……!」

「ひゃ、ぁぁあっ!」


どちゅんっ!
一気に奥まで貫かれた……っ!
息も止まりそう。すこし、ピリッとした痛み。
だけど、それ以上に、圧倒的に、気持ちいい。気持ち良い。

じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ!


「は、ああっ、やっ!ああああッ!」


ガリッ!鎖骨、胸、腕、クライヴ様の目に留まった所を噛まれ、吸われ、その痛みすら愛おしい。

ゆさゆさと腰を打ちつけられる度、自分の頼りない白い脚が視界の端で揺れている。ぼんやりとしているのは涙のせいか、快楽のせいか。


「あ、だめ、それっ……!ひゃ、あ、」

「だめ、じゃない。気持ち良い、だろう?」

「う、ん……っ!きもち、い……あッ――」


ズプッ!ズププッ!

目の前がスパークした。耳元で騒ぐ血潮のせいで、世界の音が遠ざかる。痺れる程の快感に、背中がしなり、四肢を投げ出した。


「ああ……ッ」


気持ち良い。なんて、激しい快感なんだ。
僕のお腹が、温かいぬめったもので濡れていくのがわかる。


「くっ……っ!」

「あっ、あっ、はあっ……」


と同時に、ぎゅうぎゅうに引き絞る肉壺に、クライヴ様が放ったのも感じた。
ドクドクと痙攣する陰茎が。僕の中で。

あたたかい、クライヴ様の欲望を、受け止めた。







僕に倒れ込むように覆い被さる、逞しい身体。

少し落ち着いて、クライヴ様はちゅっ、と僕にキスをした。一向に退く様子のない彼の笑顔と、あるものに、はた、と気付き、僕は真顔になる。


「……また、なんで……おっきく、……?」

「だから、最初に、謝ったんだ」
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?

人生1919回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途な‪α‬が婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。 ・五話完結予定です。 ※オメガバースで‪α‬が受けっぽいです。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

ゆい
BL
涙が落ちる。 涙は彼に届くことはない。 彼を想うことは、これでやめよう。 何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。 僕は、その場から音を立てずに立ち去った。 僕はアシェル=オルスト。 侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。 彼には、他に愛する人がいた。 世界観は、【夜空と暁と】と同じです。 アルサス達がでます。 【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。 随時更新です。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...