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本編
47 本当に何をしに来たのか
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もう本当に、信じられない。
目を覚ました僕は、ジタリヤ様の妙に冷え切った、淡々とした報告を聞きながら憤慨していた。
ディルク殿下は、クライヴ様をモノにしたいブリジット嬢を見つけ、父親と交渉、成立していた。
ブリジット嬢は当初、腹痛の演技だけで良いと思って快諾(それももやもやするが)。
彼女は、精々30分程度僕を足止めしたら、屈強な男が僕をどこかに連れて行くだけだと思ったのだそう(……非常にもやもやするが)。
しかしいざ打ち合わせ場所に着くと、その屈強な男に刺され、そこで漸く、隣国の王族を名乗る二人組の怪しさに恐れを抱き、僕に逃げるよう言ったのだと。
あんなひどい怪我をしている人を目の前にして、僕が逃げる訳が無い。僕はそういう風に育てられているのだから。そしてその習性を、ディルク殿下も知っていた。
彼らの思惑通り、僕はまんまと怪我人に釣られてしまった。
「許せん……シュリエルの情深い性を利用するなど、鬼畜の所業……、その上、この清らかな体にベタベタと触れやがって……」
クライヴ様が僕を抱き込みながら、低い声でぶつぶつと呟いていた。怖い。殺気が背中から伝わってきてゾクゾクしてしまうので辞めて?
ブリジット嬢の父親であるポップロディ男爵は非情なもので、なんと、その大怪我を含めて承諾したのだという。
ディルク殿下の名前とお顔は有名で、さらにその側近であるシリウス様もついている。信用するのに十分だったみたい。
もうシリウス様が廃嫡されることは決まっているらしいのだけど、それを知らない男爵は、ブリジット嬢をガジェ公爵家で養子にとるという甘言にまんまと乗っかってしまった。
そしてディルク殿下はブリジット嬢をクライヴ様の妃に推薦すると嘯き、男爵はその生家としての利益を手にする夢を描いていたみたい。
これらは、僕の拉致が成功していたとしても実行されなかっただろう。
完全に彼らは使い捨ての駒だった。
そこまで聞くと、ブリジット嬢は上昇志向の強い父親に感化された可哀想な娘だと感じた。
鍛錬の後なかなか戻ってこない僕を心配したクライヴ様は、僕の魔力を探して魔力視を発動したところ、僕は転移魔術陣に乗せられて港町まで行っていた。
ディルク殿下たちはそこで船を待つ間に、元貴族の使っていた屋敷の地下に僕を閉じ込め、辱めようとした。
クライヴ様との婚約を破棄させるためにか。あるいは、行為そのものが目的だったかもしれない。
魔力封じの首輪も、拘束具も、その屋敷を見つけていたのも、おそらくはルルーガレスにいた時から計画していたのだ。
見事なまでの手際の良さだった。
もし、クライヴ様が僕の魔力を覚えていなければ、そして魔力視を持っていなければ、あんなに速く僕を見つけられなかっただろう。
そうしたら……うう。考えたくない。僕はハクをぎゅっと抱えて丸くなる。
媚薬だかなんだかの効果か知らないけれど、ぽやぽやとして熱っぽい。
それに顔も叩かれて腫れている。
少しずつ治してはいるけれど、ひんやり冷たいハクのボディがちょうど良いのだ。
「それで、ディルク王子と側近は、問答無用で、速攻お帰り頂きました。まあちょっとクライヴ様が暴れすぎてぼっこぼこになりましたが、ちゃんと帰れるくらいには治して……いたと思います。多分。
シュリエル様の拉致監禁、強姦未遂、貴族令嬢の殺人未遂。国交の悪化や戦争も引き起こしかねない大罪人ですけど、腹立たしいことにまだ向こうでは王族と高位貴族なので、納得のいく罰を与えるよう、クラ……いえ、うちの陛下から圧力をかけてます。まぁ、当然ですよねぇ。うちの至宝の水の聖者を害したのですから。ええ。」
「大罪人。ですよね……もう、なんであんな……うっ」
僕はまた思い出して気持ち悪くなってしまった。
込み上げる吐き気は、手もとの桶に。スイちゃんたちが即座に綺麗にしてくれた。
クライヴ様は僕の背中を撫でながら、静かに、めちゃくちゃ、はちゃめちゃに怒っていた。
その目線の先は僕ではなく、顔を真っ青にした騎士達である。
ディルク殿下とシリウス様の滞在していた部屋にいた、騎士たちだ。
不審な動きがあれば即座に報告するように指示されていたのに、彼らが外出した際ものこのこと付いていき、やすやすと出し抜かれ、おろおろと慌てながら帰ってきたのだという。
彼らはまだ経験の浅い騎士たちで、外国の要人に言われるがままだった。ベテラン騎士たちはほとんど僕たちの婚姻式に向けて忙しかったみたい。
それを聞いたら怒るに怒れなかった。可哀想になってしまう。彼らにとっては身分的に逆らえないし、何か機嫌を損ねたら懲罰になるかもしれないのだ。
「クライヴ様。その。僕が口を出すことではないのですが……彼らは僕たちの事情で婚姻式に懸命になってくれていたので、懲罰は無いようにしていただけると……」
「……ああ、君はそういうだろうと思っていた。少しの減給と、辺境の魔窟で鍛え直すのが良かろう。どうも平和ボケしているようだからな。ああ、安心しろ。お前たちだけでなく、全員だ。さっさと退出しろ」
「ハッ!申し訳ありませんでした!!」
バタバタと、青白い顔の騎士さんたちがいなくなって、ジタリヤ様も気を遣ったのか、二人きりになってしんと静まる。
はぁ。明日は婚姻式なのに、こんな憂鬱な気分で迎えるなんて。
数日前は、あんなに浮かれていたのに。
「シュリエル……」
「クライヴ様。助けて頂いて、本当にありがとうございました。危うく、……うっ」
「良い。思い出すな。すまなかった。もっと警戒を怠らなければ……シュリエルが優しすぎることは分かっていたというのに」
また吐き戻す僕の背中を撫でてくれる、大きな手。
湿らせた手拭いで口元を拭ってくれる。
介護かな。
うっ、申し訳ない。王子様にこんなことをさせて。
「ごめんなさい。僕、水浴びを。クライヴ様、少しお待ちいただいても……」
「君の体はもう十分に綺麗になっている。なんせ俺が清めたんだ、それなら安心だろう?」
「それは、そうなのですが、なんだかまだ、」
「シュリエル。どんな卑劣なことをされたってシュリエルは綺麗で、愛しい存在であることは変わらない。いいか、後生だから、俺から離れようとするな。死んでも、国を滅ぼしても、追いかける。逃しはしない」
そういって僕をそっと抱きしめる。覆い被さってくるクライヴ様にされるがまま、丁寧に寝台に横たえられた。
するりと頬を撫でられると、クライヴ様のお指が濡れている。そこでようやく、僕は泣いているのに気付いた。
「はい、クライヴ様……っ、国は、滅ぼしちゃ、だめですよ」
「それなら、大人しく俺の横にいることだな。」
優しい優しいキスは、少し塩っぱかった。
目を覚ました僕は、ジタリヤ様の妙に冷え切った、淡々とした報告を聞きながら憤慨していた。
ディルク殿下は、クライヴ様をモノにしたいブリジット嬢を見つけ、父親と交渉、成立していた。
ブリジット嬢は当初、腹痛の演技だけで良いと思って快諾(それももやもやするが)。
彼女は、精々30分程度僕を足止めしたら、屈強な男が僕をどこかに連れて行くだけだと思ったのだそう(……非常にもやもやするが)。
しかしいざ打ち合わせ場所に着くと、その屈強な男に刺され、そこで漸く、隣国の王族を名乗る二人組の怪しさに恐れを抱き、僕に逃げるよう言ったのだと。
あんなひどい怪我をしている人を目の前にして、僕が逃げる訳が無い。僕はそういう風に育てられているのだから。そしてその習性を、ディルク殿下も知っていた。
彼らの思惑通り、僕はまんまと怪我人に釣られてしまった。
「許せん……シュリエルの情深い性を利用するなど、鬼畜の所業……、その上、この清らかな体にベタベタと触れやがって……」
クライヴ様が僕を抱き込みながら、低い声でぶつぶつと呟いていた。怖い。殺気が背中から伝わってきてゾクゾクしてしまうので辞めて?
ブリジット嬢の父親であるポップロディ男爵は非情なもので、なんと、その大怪我を含めて承諾したのだという。
ディルク殿下の名前とお顔は有名で、さらにその側近であるシリウス様もついている。信用するのに十分だったみたい。
もうシリウス様が廃嫡されることは決まっているらしいのだけど、それを知らない男爵は、ブリジット嬢をガジェ公爵家で養子にとるという甘言にまんまと乗っかってしまった。
そしてディルク殿下はブリジット嬢をクライヴ様の妃に推薦すると嘯き、男爵はその生家としての利益を手にする夢を描いていたみたい。
これらは、僕の拉致が成功していたとしても実行されなかっただろう。
完全に彼らは使い捨ての駒だった。
そこまで聞くと、ブリジット嬢は上昇志向の強い父親に感化された可哀想な娘だと感じた。
鍛錬の後なかなか戻ってこない僕を心配したクライヴ様は、僕の魔力を探して魔力視を発動したところ、僕は転移魔術陣に乗せられて港町まで行っていた。
ディルク殿下たちはそこで船を待つ間に、元貴族の使っていた屋敷の地下に僕を閉じ込め、辱めようとした。
クライヴ様との婚約を破棄させるためにか。あるいは、行為そのものが目的だったかもしれない。
魔力封じの首輪も、拘束具も、その屋敷を見つけていたのも、おそらくはルルーガレスにいた時から計画していたのだ。
見事なまでの手際の良さだった。
もし、クライヴ様が僕の魔力を覚えていなければ、そして魔力視を持っていなければ、あんなに速く僕を見つけられなかっただろう。
そうしたら……うう。考えたくない。僕はハクをぎゅっと抱えて丸くなる。
媚薬だかなんだかの効果か知らないけれど、ぽやぽやとして熱っぽい。
それに顔も叩かれて腫れている。
少しずつ治してはいるけれど、ひんやり冷たいハクのボディがちょうど良いのだ。
「それで、ディルク王子と側近は、問答無用で、速攻お帰り頂きました。まあちょっとクライヴ様が暴れすぎてぼっこぼこになりましたが、ちゃんと帰れるくらいには治して……いたと思います。多分。
シュリエル様の拉致監禁、強姦未遂、貴族令嬢の殺人未遂。国交の悪化や戦争も引き起こしかねない大罪人ですけど、腹立たしいことにまだ向こうでは王族と高位貴族なので、納得のいく罰を与えるよう、クラ……いえ、うちの陛下から圧力をかけてます。まぁ、当然ですよねぇ。うちの至宝の水の聖者を害したのですから。ええ。」
「大罪人。ですよね……もう、なんであんな……うっ」
僕はまた思い出して気持ち悪くなってしまった。
込み上げる吐き気は、手もとの桶に。スイちゃんたちが即座に綺麗にしてくれた。
クライヴ様は僕の背中を撫でながら、静かに、めちゃくちゃ、はちゃめちゃに怒っていた。
その目線の先は僕ではなく、顔を真っ青にした騎士達である。
ディルク殿下とシリウス様の滞在していた部屋にいた、騎士たちだ。
不審な動きがあれば即座に報告するように指示されていたのに、彼らが外出した際ものこのこと付いていき、やすやすと出し抜かれ、おろおろと慌てながら帰ってきたのだという。
彼らはまだ経験の浅い騎士たちで、外国の要人に言われるがままだった。ベテラン騎士たちはほとんど僕たちの婚姻式に向けて忙しかったみたい。
それを聞いたら怒るに怒れなかった。可哀想になってしまう。彼らにとっては身分的に逆らえないし、何か機嫌を損ねたら懲罰になるかもしれないのだ。
「クライヴ様。その。僕が口を出すことではないのですが……彼らは僕たちの事情で婚姻式に懸命になってくれていたので、懲罰は無いようにしていただけると……」
「……ああ、君はそういうだろうと思っていた。少しの減給と、辺境の魔窟で鍛え直すのが良かろう。どうも平和ボケしているようだからな。ああ、安心しろ。お前たちだけでなく、全員だ。さっさと退出しろ」
「ハッ!申し訳ありませんでした!!」
バタバタと、青白い顔の騎士さんたちがいなくなって、ジタリヤ様も気を遣ったのか、二人きりになってしんと静まる。
はぁ。明日は婚姻式なのに、こんな憂鬱な気分で迎えるなんて。
数日前は、あんなに浮かれていたのに。
「シュリエル……」
「クライヴ様。助けて頂いて、本当にありがとうございました。危うく、……うっ」
「良い。思い出すな。すまなかった。もっと警戒を怠らなければ……シュリエルが優しすぎることは分かっていたというのに」
また吐き戻す僕の背中を撫でてくれる、大きな手。
湿らせた手拭いで口元を拭ってくれる。
介護かな。
うっ、申し訳ない。王子様にこんなことをさせて。
「ごめんなさい。僕、水浴びを。クライヴ様、少しお待ちいただいても……」
「君の体はもう十分に綺麗になっている。なんせ俺が清めたんだ、それなら安心だろう?」
「それは、そうなのですが、なんだかまだ、」
「シュリエル。どんな卑劣なことをされたってシュリエルは綺麗で、愛しい存在であることは変わらない。いいか、後生だから、俺から離れようとするな。死んでも、国を滅ぼしても、追いかける。逃しはしない」
そういって僕をそっと抱きしめる。覆い被さってくるクライヴ様にされるがまま、丁寧に寝台に横たえられた。
するりと頬を撫でられると、クライヴ様のお指が濡れている。そこでようやく、僕は泣いているのに気付いた。
「はい、クライヴ様……っ、国は、滅ぼしちゃ、だめですよ」
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