僕は人畜無害の男爵子息なので、放っておいてもらっていいですか

カシナシ

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本編

56 グレイリヒト・シュトーレン ※ /ロロ

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 ぐちぐちと粘膜を揺らす。

 耐え忍ぶような甘やかな喘ぎ声。

 ロローツィアの小さな尻を割り開いたそこに、指を無遠慮に潜り込ませて反応を楽しんでいた。


「はっ、あっ、ぁぁッ、んんッ」


 なめらかな白い肌や、薄くとも筋肉で整えられた綺麗な身体。敏感に反応して桃色に火照らせた胸の飾りも、なにもかも、俺を誘惑してやまない。

 寝台に倒して抱き込み、口付けをしながら、ロローツィアの弱いところを探っていく。最初のうちは狭くキツかったそこも、徐々に綻び始めていた。


「あぅッ、んっ!?へ、あああ……っ」


 ぴくんと小さな体が跳ね、しがみついてくる。

 声色に色気が増し、星屑の瞳がトロンと潤む。大きく息を吸おうと開いた唇が美味しそうな果実に見えたのは、血の巡りが良くなっていたからか。咄嗟に吸い付きジュッと舌を絡ませた。

 息苦しさに抵抗しているのが無力で可愛い。両手首をまとめてあげさせると、ロローツィアはぽうっと頬をいっそう上気させて俺を見つめる。


「あ、グレイ……っ」

「……」


 今、待ってと言われても止まれるわけがないので、聞かない。俺の意識は、いかにロローツィアを快楽に引き摺り込めるか、に集中していた。


「……好き……っ」


 の、だが。

 ロローツィアは最も簡単に、俺の理性をぶち抜いてくる。苦しそうな、しかし幸せそうな顔でその言葉を囁くなんて。

 俺の方が、愛している。今思えば初めて会ったその前から、俺の勘は働いていたのだ。

 これから出会う人は、俺を救ってくれる人なだけではなく、生涯手放したく無い、大切な人となるのだと。

 恩人だから、大切なんじゃない。ロローツィアだから、好きになった。


 クラクラするような甘く瑞々しい果実のフェロモン。ロローツィアのうなじから強く香っている。そこに顔を埋めて舐めていると、腕の中にいた体がぶるりと震えた。

 ぼうっとしつつある頭で、『まるで噛み付く前に獲物を綺麗にする獣のようだ』と思い当たるが、ロローツィアの内壁もきゅうっと収縮してヒクヒクしているところからすると、満更でもなさそうな反応。

 はやく、このオメガを番にしたい。だが、それはまだ先のこと。頸に名残惜しむように別れの口付けをして、ロローツィアの後孔に切先を当てがった。すっかり濡れそぼったそこは、熱く蠢き俺を歓迎しているかのよう。


「出来るだけ、優しく……する」

「うん……っ、来て」


 隘路にぐっと押し込んだ。ロローツィアの細く薄い腰を逃さないように捕まえて、しっかり、俺という楔を打ち込むように、しかし、痛みは与えないよう、ゆっくりと。


「ロローツィア、息を吸え」

「は……っ、あああ……っ、グレイ……ーーーーッ!」

「痛い、か?」

「ううん、あぁ、圧迫感が、すごくて… …っ、はぁ、はぁ」


 ロローツィアの可愛い顔を両手で包む。この顔の可愛らしさとは対照的に、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる肉壺は凶器だった。すぐにでも放ってしまいたくなる快感に耐えて、じっと、じっと、時を待つ。ロローツィアが、自ら腰を振りたくなるくらいでないと、痛くしてしまう。


「まだ……?はいっ、た……?」

「いきなり全ては無理だろう。だが、先は入ったぞ」

「先っ……!?」


 ロローツィアは驚いたのか、体を丸めて接合部を見て、顔を赤くしてパタリと倒れた。強い刺激に耐えられなかったのだろう。顔を隠して呟いている。


「な、こんな、うう、大人って、大人って……こんな破廉恥な」

「これから、もっとすごいことをするのに?」


 耳元でそう囁くと、いよいよ固まっている。涙の溜まった群青の瞳に睨まれるが、全く怖くはなく、それどころか、もっと泣かせてやりたいと危険な欲求まで込み上げてきてしまう。


「もう!グレイの声、えっちなんだから、耳はだめ!」

「それは良いことを聞いた」

「えっ……うわ、」

「もっと、中に入りたい」


 ギュンッ!と、肉壺が収縮する。俺はぐっと唸ってなんとか堪えたが、ロローツィアは酩酊したかのように目を回していた。


「あっ、ああっ、やアッ、ぐれい、うぅぅう」

「……どうした」

「お願い、もっと、……来てぇ」


 俺の毒……愛は、十分にロローツィアを巡ったらしい。
 準備のできた獲物を食らうため、俺はしっかりと細腰を掴んだ。







***

(ロローツィアside)




 グレイのグレイは、まるで生還したばかりの日を彷彿とさせる強靭さで僕を貫いた。


「――――――ッ」


 もはや何度になるだろう。絶頂とはすればするほど、しやすくなるものらしい。酷使された可哀想なペニスはただただ無抵抗に泣いているだけ。僕の意思なんかお構いなしに、僕の身体は跳ねる。僕を突き刺すグレイの熱杭をぎゅうぎゅうと搾り上げ、飛沫を浴び、歓喜にまた絶頂をして。


「はあっ、あっ、あっ、ああっ、あああ!!」

「……はっ、ああ、ロローツィア……」

「あのっ!きゅうけ、あっ、――――!!」


 ドッ、とまたも腰を叩きつけられる。ぐちゃぐちゃになった寝台から、シャワールームに移動するのも、グレイが中に入ったまま。僕の足は地面につくことなく、グレイの逞しい腕によって抱えられてしがみついていた。


「そろそろシーツが冷たいだろう。温まろう」

「え、あんっ、あああ、これだめ、深……ッ」


 イイところをこすりあげられてイッた。ガクガクと痙攣して、麻薬のような快感の波に耐える。温かい湯船に一緒に浸かるのもすごく良いのだけど、もう、身体は限界。ぽたぽたと、どちらのものか分からない液体が床へ垂れる音が聞こえて、ああ、このままじゃ、僕、ダメんなる!


 そう危機を察した僕は、グレイの頭を抱き寄せた。どろどろの体だけど、今だけは我慢してね。


「グレイ、お願い。休ませて……」

「…………っ!」

「抱っこしてて………………うう…………ふぁ…………」











 目覚めた時、温かい人肌に守られた目覚めは何て幸せなのだろう。すぅ、すぅと背後から聞こえる寝息。知っている香り。逞しい腕と、逃すまいと絡められている足。どこもかしこも素肌で、意識した途端にゾクゾクと火照ってくる。

 ドロドロだったはずなのに、サラサラしているのは、拭いてくれたのかもしれない。優しいなぁ、グレイ。

 くるりと体勢を変えると、大好きな恋人の寝顔だ。意識はないだろうに、朝から色気の大出血サービスを食らう。
 僕のアルファ。愛しい人。グレイは、絶対に、誰にもあげない。

 
 そう決意を新たにしながらも、ごそごそ。服を探しているんだけど、僕の下着が見つからない。やっと掴めたのはグレイのシャツだった。ちょっと借りていいかな?

 なんとかグレイの腕と足をそうっと避けて、大きめのワンピース状態でとりあえずぶらぶらしているものは隠し、ベッドから抜け出す。


 とにかく、柔軟がしたい。


 体がバキバキすぎる。日課である柔軟をこなさないとだめだ。バキバキのまま固まってしまいそう。

うーんと伸びをして、色々な関節をほぐしていると、コンコンとノックが聞こえた。体の筋肉に集中していた僕は、何も考えずに出る。


「あ、ジキル先輩。おはようございます!」

「……ロロくん?なんて……眼福だね……」

「えっと、どうされたんですか?今日は休日……」

「見るな」


 いつの間にか起きていたらしいグレイが、僕をぐんと引っ張って背中へ隠した。そんなグレイは、上半身ハダカ。あっ、僕が奪ってしまったからか!下はゆるめの下衣を穿いているだけなのに、逆三角形の体が、危険すぎる色気を纏っていた。


「……ハァ。ぼくは長期休みの計画を相談に来ただけだよ。グレイリヒト、君でも油断はするんだね?あ、ロロくんだからかな」

「………………後で聞く。今は忙しい」

「そのようだねぇ……、ロロくん。その格好で外に出たらダメだよ。これがぼくじゃなくてショーンだったら、攫われていたかも」

「ええっ?」


 なんで?だってこんな、ほぼ寝巻きみたいな格好じゃないか。

 首を傾げる僕に、ジキル先輩は諦めたのか、『まぁ番犬グレイリヒトがいるならいっか』と一人呟いて去っていった。なんだったんだろう。

 去っていく先輩の背中を見送っていると、グレイがやや乱暴に扉を閉め、僕の腰をガシッと抱いた。


 「ロローツィア。それがどれだけ危険な格好か、教える必要があるみたいだ」


 あれ……そんな必要、ある……?

 そんな抗議の声は、通らない。よねぇ……。











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