上 下
1 / 15

1

しおりを挟む
 私はイケメンが苦手だ。

 私は美女でもなければ可愛くもない、地味な容姿の女子だと思うのだが、男の人によく絡まれる。
 どんな風に絡まれるかというと、付き合って欲しいとかデートしようとかではなく「おっぱいでっかいね、ヤらせて」とか「なんか坂田さん見てるとエロい気分になる、ヤらせて」とかそういった感じだ。
 それがたまにだったらまだ良いのかもしれないが、中高生の頃は毎日のようにそんなことが続いていた。当然女子からはブス、ビッチ呼ばわりされるし、男子にはレイプされそうになったり拒否すればブス、ビッチと口さがなく罵られた。
 顔面偏差値に関係なくそうだったのだが、イケメンは特にそれが顕著だった。彼らはその容姿から、とても自信に満ち溢れている。裏を返せばプライドが高い。そんな彼らが私のようなおっぱいがでかいだけの女子に断られるのはプライドが許さないらしい。
 おまけに彼らの高いコミュ力で私がビッチだという真っ赤な嘘を広く伝えられてしまい、先生に呼び出されるわ親にはそんな娘に育てた覚えはないと怒られるわ学校では孤立するわで私はすっかり男、特にイケメンが苦手になった。

 大学に入ってからは胸にきつくサラシを巻き、メガネと真っ黒な髪で地味な姿をさらに地味にして色気と存在感を極限まで消していた。おかげですっかり男も寄り付かなくなった。元々色恋沙汰にはあまり興味は無かったし、トラブルも減ったので何も問題はなくなった。
 両親とは嘘の噂が出回る度にぎこちない関係になり、大学は遠方の大学にバイトと奨学金で通った。今は家族とはほぼ絶縁状態だ。でも、誰も自分の過去を知らない土地でのびのびとキャンパスライフを送ることができたし、バイトのおかげで男性と話すのも苦ではなくなった。
 ただ、社会人となった今もイケメンは苦手だ。

 この会社に入り、私の部署には男性が若干多いものの、ぽっちゃり系の人や私のようにメガネを掛けた地味系の人が多くとても安心して働いていた。
 ただ、この部署はとても忙しく締め日が近くなると徹夜に近い残業が多いことがよくある。所謂ブラック部署だ。それでも入社してから約5年、私は脇目も振らず仕事だけにただひたすら打ち込んでいた。残業代はたっぷりと入るので、奨学金の返済にはもってこいの部署なのだ。

 しかし、ある日そんな平穏に影が差しかかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

処理中です...