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綾斗視点
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しおりを挟む言い寄ってくる女子は沢山いるし、今まで両手でも指が足らない程交際経験もあった。部活の先輩にも後輩にも好かれているという自負もあった。親の影響もあると思うが、教授にも可愛がられていた。
だからこんなに素っ気ない態度を取られるのは琴子が初めてだった。
初めはただムキになっていただけなのかもしれない。
けれども琴子と一緒にいるうちに、だんだん恋愛としての感情が風船のように一気に膨らんで行った。
俺の頭の中は次第に琴子で埋め尽くされていくようになった。
小さい頃から続けていた空手も、琴子との時間を多くしたいがために辞めようかとも思った。けれども飲み会の席で、琴子が「守ってくれる人がいい」と言っていたので強くて守れる男をアピールするために最低でも主将を引退するまでは続けようと決心した。
しばらく経ち、俺は初日の態度は全て改めて琴子の研究を全力で手伝った。
「先輩。今日採取する予定のもの、見繕っておきました。これなんてどうですか?」
「ありがとう。うん!いいと思う。やっぱり高蔵君て凄く優秀だね。最初はどうなることかと思ったけど、今はもう1人でも十分研究続けられると思うよ」
どんなに優秀に振舞っても、琴子が俺を1人の男として扱うことは無かった。ただの後輩か弟のようにしか思われていないように感じられた。
「俺、先輩と研究するのが好きなんです。先輩がいなかったらやっていける自信が無いです。先輩が卒業しても、個人的に相談したいんですけどいいですか?いいですよね。だからアプリのアカウントだけじゃなくて電話番号教えて下さい」
「ふふっ。大丈夫だよ。高蔵君なら心配いらないよ」
どんなに好意をぶつけても、琴子が俺に好意を向けてくれることは無かった。
琴子の俺に対しての第一印象は少しは払拭できたとは思うが、それでもやはりどこか壁を感じていた。
真剣に記録を付けている横顔に何度もキスしたいと思ったが、琴子はきっと研究を邪魔したら隣に居させてくれなくなってしまう。
だからぐっと堪え続けた。
たとえホテルで同じベッドで寝る事になったとしても、ちゃんと琴子と付き合うまでは手を出さないと心に決めていたので、昂るちんぽを何度も冷たいシャワーを浴びて押さえつけた。
ある日のランニング中、複数の男に腕を掴まれて抵抗している女がいた。
本能的な正義感で男の手を捻りあげてその女を助けてあげた。
その女の名前は山利佳奈。
珍しい名前だったので聞いてみると、やはり琴子の妹だった。正確には血の繋がらない義妹だが。
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