34 / 77
34
しおりを挟む
高蔵君が机にとん、と置いたのは、ロイヤルブルーのビロードの箱に入ったキラキラ輝く指輪だった。
「琴子。俺と結婚しよう」
高蔵君が結婚したい人って……私?
嘘。うそうそ。嘘だよね。悪い冗談だ。
「わっ、私、帰らなきゃ」
真っ白になった頭でやっと繰り出した言葉はそれだった。
立ち上がろうとするとお腹に高蔵君の腕が回り、がっちりと上半身をホールドされる。
「離して。結婚なんて……変な冗談言って、困らせたいだけなんでしょ」
「俺、本気だからね。父さんと母さんもさっき俺に何を期待して出かけたのか、分からないはずないよね?」
「わっ、分かんない……全然分かんないよ。何で私なの?私よりも佳奈と結婚しなよ。可愛いし、モテるし、……えーと、きっと人生楽しくなるよ」
ここは佳奈のプレゼンをしなければならないのに、佳奈のいい所が全然思い付かない。
何か無かったっけ──あ!男を扱うのが上手いとか!……いや違うな。
あ!そうだ。高蔵君にピッタリの佳奈のいい所がある。
「あとね、えっちもきっと上手だよ!経験豊富だし!」
「……そういう子は俺はむしろ嫌だな。それに俺は琴子とえっちするのが1番好きだから関係ないよ」
しまった、一言余計だった。良かれと思って言ったのに逆にマイナスになる事を言ってしまった。
それにさらっと思わせぶりな事を言ってくる。
「琴子は俺の事好きじゃなかったの?土曜日の夜、あんなに嬉しそうに俺の事応援してくれたのは何だったの?琴子の妹とくっつけるため?ねえ、違うよね。違うって言ってよ、琴子」
高蔵君が私のあばらを折りそうな勢いで抱き締める。
何故か高蔵君の方が泣きそうな顔をしている。
佳奈とケンカでもしたから?こんな事するのも、佳奈と何かあったから?
「ううっ……苦し……たか……」
「綾斗って呼んで。琴子。そうしないと……ここで襲っちゃうよ」
「ひっ!あ、綾斗っ!やめて!」
「琴子……」
高蔵君の腕の締め付けが少し弱くなった。
「綾斗、お願いだから、早く佳奈とより戻して。ブロック解除してあげてよ。ちゃんと話し合えばきっと分かるよ。この指輪も佳奈に用意してたんでしょ?昨日ホテルでケンカしたの?」
「違う。昨日はホテルはキャンセルしたんだ」
「そんな!勿体ない!」
「だって仕方ないだろ。琴子と連絡取れないし、あいつは付き纏ってくるしで散々だった。この指輪も琴子にホテルであげようと思って用意してたのに。……ねぇ、昨日は何処に行ってたの?井口センパイの所?」
「あ……」
別れ際に井口先輩が叫んでいた言葉を思い出す。
──君に、謝りたいんだ!
「琴子。俺と結婚しよう」
高蔵君が結婚したい人って……私?
嘘。うそうそ。嘘だよね。悪い冗談だ。
「わっ、私、帰らなきゃ」
真っ白になった頭でやっと繰り出した言葉はそれだった。
立ち上がろうとするとお腹に高蔵君の腕が回り、がっちりと上半身をホールドされる。
「離して。結婚なんて……変な冗談言って、困らせたいだけなんでしょ」
「俺、本気だからね。父さんと母さんもさっき俺に何を期待して出かけたのか、分からないはずないよね?」
「わっ、分かんない……全然分かんないよ。何で私なの?私よりも佳奈と結婚しなよ。可愛いし、モテるし、……えーと、きっと人生楽しくなるよ」
ここは佳奈のプレゼンをしなければならないのに、佳奈のいい所が全然思い付かない。
何か無かったっけ──あ!男を扱うのが上手いとか!……いや違うな。
あ!そうだ。高蔵君にピッタリの佳奈のいい所がある。
「あとね、えっちもきっと上手だよ!経験豊富だし!」
「……そういう子は俺はむしろ嫌だな。それに俺は琴子とえっちするのが1番好きだから関係ないよ」
しまった、一言余計だった。良かれと思って言ったのに逆にマイナスになる事を言ってしまった。
それにさらっと思わせぶりな事を言ってくる。
「琴子は俺の事好きじゃなかったの?土曜日の夜、あんなに嬉しそうに俺の事応援してくれたのは何だったの?琴子の妹とくっつけるため?ねえ、違うよね。違うって言ってよ、琴子」
高蔵君が私のあばらを折りそうな勢いで抱き締める。
何故か高蔵君の方が泣きそうな顔をしている。
佳奈とケンカでもしたから?こんな事するのも、佳奈と何かあったから?
「ううっ……苦し……たか……」
「綾斗って呼んで。琴子。そうしないと……ここで襲っちゃうよ」
「ひっ!あ、綾斗っ!やめて!」
「琴子……」
高蔵君の腕の締め付けが少し弱くなった。
「綾斗、お願いだから、早く佳奈とより戻して。ブロック解除してあげてよ。ちゃんと話し合えばきっと分かるよ。この指輪も佳奈に用意してたんでしょ?昨日ホテルでケンカしたの?」
「違う。昨日はホテルはキャンセルしたんだ」
「そんな!勿体ない!」
「だって仕方ないだろ。琴子と連絡取れないし、あいつは付き纏ってくるしで散々だった。この指輪も琴子にホテルであげようと思って用意してたのに。……ねぇ、昨日は何処に行ってたの?井口センパイの所?」
「あ……」
別れ際に井口先輩が叫んでいた言葉を思い出す。
──君に、謝りたいんだ!
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる