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 家について、扉を閉めた瞬間、ユージーンはシアを抱きしめた。
 身長がユージーンの方が低いので、抱きついた、のような形になるのはいつものことだが、そのままシアの唇を奪う。

「んぅ!?…んっ、んん…っ」

 がくっとシアの膝から力が抜けて、その場に座り込んだのを、ユージーンは覆い被さるようにして床に押し倒した。

「し、師匠?」

 シアが驚いてユージーンをみるが、ユージーンは余裕のない顔をして、またシアの唇に己の唇を重ねる。
 舌を捻り込ませ、シアの口の中を舐めとり。

「んぁ、し、ししょぉ…」

 シアが快感に目を潤ませたところで、泣きそうな顔で伝えた。

「抱きたいんです。すごく。いま、君を」

 ユージーンがこんな言い方をするのは初めてで、でも、だからこそシアは妙に嬉しくて笑った。

「いいよ、師匠。シよ」




 せめて寝室に、とシアが言ったがユージーンはその言葉は聞こえなかったのか、魔法でシアと床の間に空気のクッションを作りそのままシアの服を全て脱がせた。
 いつのまにか部屋の暖房器具は全て灯っていて、まだ暖まり切っていないとはいえ、裸でも寒さはそれほど感じない。

(余裕ないのか、余裕なのかどっちだよ)

 シアは内心で突っ込んでから、自分のツッコミにウケてしまう。
 くすくすと笑うシアにユージーンは首を傾げたが、まあいいか、とシアの胸の突起を舐めた。

「あん…」
「いい声ですよね、シアくん。私はいつも、その声に興奮するんです」
「ぁっ!」

 胸を舐めながら、ユージーンの手はすぐにシアの後ろに伸びていた。
 つぷん、と入ってくる指に、シアの体が跳ねる。
 ユージーンの指はすぐに奥まで掻き回し始めて、「あっあっ」とたまらず腰が引ける。

「だめですよ。シアくん」

 逃げかけた腰をつかまえて、後ろの指は動かしたまま、シアの唇も塞ぐユージーン。
 後ろも口の中も快感で犯されて、そして塞がれているせいでうまく息ができず快感を逃すこともできず。

「んっ、んんっ。ん~~~~~ッッ」

 あっという間にシアは達する。己の吐き出したもので腹が汚れるが、そんなものを気にしている余裕はなかった。
 ユージーンは、指の動きを止めてくれない。

「あっぁっ、師匠!待って…っああっ!?」
「感じてください、シアくん。ぐちゃぐちゃになるくらい。身体中がこれ以上ないと叫ぶくらい」

 いつもの師匠のセックスじゃない。
 それは、全く別物だった。
 シアに快感を与えようとしている、そういうセックスじゃない。
 ただ、自分を求められているのがわかる。
 ユージーンは“セックス”ではない、“シア”を求めているとわかる。
 シアはたまらなかった。
 ずっと欲しかったのがこれだと、心が震えた。

「師匠、師匠…っ、ちょっとまって…っ」
「シアくん、だから」
「違う!!」

 シアは両手をユージーンに伸ばす。そして抱きしめて耳元で、「指じゃなくて、師匠が、欲しい」と囁く。
 ユージーンの背中にゾクゾクしたものが走る。

「っ、シアくん。それは、天然ですか?」

 あんな求められ方をして、これ以上待つなんてことはユージーンにもできない。
 すでに準備は整っている己のそれを、シアに突き刺した。

「ああああ!」

 体をのけぞらせるシアが、たまらなく愛おしい。

「シアくん、シアくんっ」
「師匠っ…アッ、ああっ、もっと、もっとぉ、おく、おくにっ、あっ、ァああアッ」

 何度も何度も、体を重ねてきた。
 ただ、それはどこか事務的で、“魔力のため”だとずっと頭の奥で何かを止めていた。
 今は、その“何か”はない。
 欲しいのは、お互いの熱だけだ。
 この夜、シアの嬌声も、ユージーンの叫びも、家の中に一晩中響いていた。

***
話をするんじゃないのかよって思った方、私もそう思います。


BL大賞への御投票、そしてブックマークやしおり、本当にありがとうございます!!
今年中には完結まで書きたいと思っておりますので、もうしばらくお付き合いいただけると幸いです。
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