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「いらっしゃーい!」
転移魔法の先で迎えてくれたのは、小柄なエルフの少年だった。
彼がシエルですよ、とユージーンがシアに紹介して、シアはあわてて頭を下げた。
「し、シアです!」
シエルはシアをみて一瞬だけ眉を寄せたが、すぐににっこり笑って「初めましてシアくん。僕はシエル。エルフで魔眼もちで占い師っていう設定てんこ盛りの美少年だよー」と言った。
ノリが、軽い。
シアは圧倒されてしまって、どう反応をして良いかわからない。
「やあ」
「おや、ダイス。貴方もきていたんですか?」
「たまたまな」
シエルの後ろで小さなテーブルの横の椅子に座っていたのはダイスで、シアは慌ててそっちにも頭を下げる。
そんな様子をみて、ダイスは微笑みを返した。
「シアくん可愛いでしょう」
「なんでお前がドヤ顔するんだよ」
「だって私の弟子ですから」
「師匠に似なくてよかったな」
ダイスとユージーンの笑い合っている会話に、シアは戸惑う。
仲がいい。
ダイスが、ユージーンの死ぬ方法を探しているなんて、どうしてもしっくりこなかった。
「シアくん?」
「え、あ、ううんっ。なんでもねぇ」
「ねぇねぇ、仲がいいのはいいけれど、今日はそのお弟子さん占うんでしょ。ちょっとじっくりみたいから、いったんこの子を奥に連れてっていい?」
シエルの言葉に、ユージーンがわかりました、と頷く。
「変なことしないでくださいね」
「エッチなことはしないから安心して」
「トワにチクりますよ」
「やだー、ユージーンってばいじわるだなあ。じゃ、シア君こっちこっち。ちょっと散らかってるけど、ついてきて」
シエルの手招きに、シアは大人しくついていく。
シアとシエルが扉の奥に行ってから、ダイスがひどく複雑な顔をみせた。
「ダイス?」
「ユージーン。…一つ報告がある」
ダイスの様子に、ユージーンは居住まいを正す。
「見つかったんですか、まさか」
「ああ」
ダイスが泣きそうに顔を歪ませて、ユージーンは早鐘のように打つ心臓のあたりをぎゅっと抑えて「そうですか」と息を吐いた。
***
すみません、すごく短いですがここで切ります。
本日2話更新します。
転移魔法の先で迎えてくれたのは、小柄なエルフの少年だった。
彼がシエルですよ、とユージーンがシアに紹介して、シアはあわてて頭を下げた。
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シエルはシアをみて一瞬だけ眉を寄せたが、すぐににっこり笑って「初めましてシアくん。僕はシエル。エルフで魔眼もちで占い師っていう設定てんこ盛りの美少年だよー」と言った。
ノリが、軽い。
シアは圧倒されてしまって、どう反応をして良いかわからない。
「やあ」
「おや、ダイス。貴方もきていたんですか?」
「たまたまな」
シエルの後ろで小さなテーブルの横の椅子に座っていたのはダイスで、シアは慌ててそっちにも頭を下げる。
そんな様子をみて、ダイスは微笑みを返した。
「シアくん可愛いでしょう」
「なんでお前がドヤ顔するんだよ」
「だって私の弟子ですから」
「師匠に似なくてよかったな」
ダイスとユージーンの笑い合っている会話に、シアは戸惑う。
仲がいい。
ダイスが、ユージーンの死ぬ方法を探しているなんて、どうしてもしっくりこなかった。
「シアくん?」
「え、あ、ううんっ。なんでもねぇ」
「ねぇねぇ、仲がいいのはいいけれど、今日はそのお弟子さん占うんでしょ。ちょっとじっくりみたいから、いったんこの子を奥に連れてっていい?」
シエルの言葉に、ユージーンがわかりました、と頷く。
「変なことしないでくださいね」
「エッチなことはしないから安心して」
「トワにチクりますよ」
「やだー、ユージーンってばいじわるだなあ。じゃ、シア君こっちこっち。ちょっと散らかってるけど、ついてきて」
シエルの手招きに、シアは大人しくついていく。
シアとシエルが扉の奥に行ってから、ダイスがひどく複雑な顔をみせた。
「ダイス?」
「ユージーン。…一つ報告がある」
ダイスの様子に、ユージーンは居住まいを正す。
「見つかったんですか、まさか」
「ああ」
ダイスが泣きそうに顔を歪ませて、ユージーンは早鐘のように打つ心臓のあたりをぎゅっと抑えて「そうですか」と息を吐いた。
***
すみません、すごく短いですがここで切ります。
本日2話更新します。
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