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閑話休題 エレン×カラ

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 閑話休題



「…エレン」
「なあに?」

 カラは、あの時自分はもう助からないだろう、と思った。
 だけど死を覚悟した後に目が覚めた時、自分の恋人が枕元で叫んでいて。驚いたと同時に、ひどくホッとしたのを覚えている。
 この人に、別れを告げる前に死んでしまわなくてよかった、と。
 そのあと、エレンが基本的に自分から離れないのは、きっと怖いからだろうとも思うから、いつもより多めのスキンシップも、拒否はしてない。
 だが、手は出してこない。だから思わず聞いてしまった。

「シたくないんですか?」
「……………へ?」
「! ちょっと、水こぼれてますよっ」

 彼が手に持っていたコップに注がれるはずの水は全てエレンのズボンを濡らしていて、カラが慌てて手拭いを持って駆け寄ると、エレンが顔を真っ赤にして口を金魚みたいにぱくぱくと動かしていた。

「エレン?」
「し…」
「し?」
「シたいに決まってるじゃん、カラのばか!溜まってるに決まってるでしょ!カラとしかしたくないし、一人でもなんかやだったし!でもカラの体がちゃんと戻って、ふたりっきりになれる場所に行けるようになってからって、頑張って我慢してるんじゃん!ばかっばかー!」

 涙目になって叫んでいるエレンに、カラは思わず笑ってしまう。

「なんで笑うのさっ」
「いえ、可愛らしいなぁと思いまして」

 優先順位でいえば、恋人が主人を上回ることはない。
 それはもう絶対で、どうしようもない事実だが。それはそれとして、カラだってこの可愛らしい恋人を愛していないわけではないのだ。

「私もです」
「え?」
「私も、あなたに触れたいですよ、エレン」

 ふふ、と笑ったカラに、エレンはひとつ瞬きをしてから「いいの?」と確認する。

「鍵、かかるんです。私の私室」

 正確にいえば主人はカラの部屋の鍵を有しているが、まず開けられることはない。
 エレンはそっとカラのほおに手を添える。

「痛くない?」
「ええ。あなたのおかげで」

 触れるだけのバードキス。

「ずっと、したかったんだよ」
「ええ」

 さっきよりも深いキス。そして、エレンの舌がカラの口の中に入り、二人の舌がゆっくりと絡み合ってゆく。
 カラの口の端から、熱を持ち始めた吐息と、甘い声が小さくこぼれて、それにエレンは己の熱が高まることを感じた。

「カラ、優しく、優しくするから、最後まで」
「はい。きてください」

 二人で服を脱いで、ベッドに沈む。
 カラに残っていたあざの色はもうほとんど肌の色に近くなっていて、薄くなったあざにエレンは小さくキスを落としていく。

「っぁ」
「痛い?」
「いいえ」

 少し冷たいカラの手が、エレンの肌に触れ、エレンもぴくりを肩を揺らした。

「好きだよ。愛してる」

 エレンの言葉に微笑みで返して、カラはエレンにはやく、とねだった。


 そうして、二人だけの時間は、あっという間に過ぎてゆく。



***

朝ちゅん

エレンとカラはちゃんと愛し合っています。
ただ、カラの優先順位はフィズが1番上で不動というだけなのです。
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