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第44話『私もお花が好きですから。お花が咲いたら嬉しいじゃないですか!』②
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「オーガさん。私もお手伝いしても良いですか?」
「っ」
「姉ちゃん? どうしたの。急に」
「私もお花が好きですから。お花が咲いたら嬉しいじゃないですか!」
「そういう物なの?」
「はい。そういう物です!」
私はオーガさんに向き直りながら、ね! と強気に聞いた。
オーガさんは戸惑いつつ、やはり私から目を逸らす。
うーん。
やっぱり嫌われているのかな。
「んー。でもオーガさんの邪魔をするのは申し訳ないんですよね」
「いや、そもそもさ。本当にオーガが花なんて育ててるの? 姉ちゃんの勘違いじゃ無いの?」
「いえいえ。そんな事はありませんよ」
「凄い自信。って事は、あの種が花の種だって姉ちゃんは分かったって事?」
「いえ! 全くわかりません!」
「えぇー!?」
「ですが、オーガさんからはお花好きの匂いがしました! これは間違いありません!」
「そんなの分からないだろ!」
カー君に怒られながらも、それはそれとしてどうしようか。と私が悩んでいると、オーガさんがノソノソと私の近くまで来た。
相変わらず視線は外れていて、地面を見ているけれど。
そして、オーガさんは私の前でしゃがむと、私の下がったままの手を掴んだ。
「姉ちゃん!」
「大丈夫ですよ。カー君。痛みは全然ないですから」
「でも!」
「大丈夫です」
そして、そのまま上にあげると私の手のひらの上に懐から取り出した種を落として握らせる。
「これは」
オーガさんはそれ以上何も言わず立ち上がってしまった。
しかし、私はこの行動の意味する所をしっかりと理解している。
そう! これは許可だ。
私も手伝っても良いよという許可だ。
「ありがとうございます! オーガさん!」
私の声にビックリしたのか。オーガさんはビクッと体を震わせているけれど、怒っている様な雰囲気はなかった。
むしろ、戸惑っている様にも見える。
しかし、嫌われていないのであれば、お友達になる事も出来るという事だ。
まぁ、嫌われててもお友達になる事は出来るけれども。
「という訳でカー君。私、ここでオーガさんと一緒にお花畑を作ります」
「いや、という訳でじゃないから。何も分からないよ。姉ちゃん」
「そういう事なので、リアムさんには遅れるとお伝えください」
「いや! 待ってよ! 姉ちゃん!? ちょ! 魔術はズルいって! 姉ちゃん!! 姉ちゃん!!!」
「では、また会いましょうー! カー君!」
「姉ちゃぁあああああん!!」
「っ」
「姉ちゃん? どうしたの。急に」
「私もお花が好きですから。お花が咲いたら嬉しいじゃないですか!」
「そういう物なの?」
「はい。そういう物です!」
私はオーガさんに向き直りながら、ね! と強気に聞いた。
オーガさんは戸惑いつつ、やはり私から目を逸らす。
うーん。
やっぱり嫌われているのかな。
「んー。でもオーガさんの邪魔をするのは申し訳ないんですよね」
「いや、そもそもさ。本当にオーガが花なんて育ててるの? 姉ちゃんの勘違いじゃ無いの?」
「いえいえ。そんな事はありませんよ」
「凄い自信。って事は、あの種が花の種だって姉ちゃんは分かったって事?」
「いえ! 全くわかりません!」
「えぇー!?」
「ですが、オーガさんからはお花好きの匂いがしました! これは間違いありません!」
「そんなの分からないだろ!」
カー君に怒られながらも、それはそれとしてどうしようか。と私が悩んでいると、オーガさんがノソノソと私の近くまで来た。
相変わらず視線は外れていて、地面を見ているけれど。
そして、オーガさんは私の前でしゃがむと、私の下がったままの手を掴んだ。
「姉ちゃん!」
「大丈夫ですよ。カー君。痛みは全然ないですから」
「でも!」
「大丈夫です」
そして、そのまま上にあげると私の手のひらの上に懐から取り出した種を落として握らせる。
「これは」
オーガさんはそれ以上何も言わず立ち上がってしまった。
しかし、私はこの行動の意味する所をしっかりと理解している。
そう! これは許可だ。
私も手伝っても良いよという許可だ。
「ありがとうございます! オーガさん!」
私の声にビックリしたのか。オーガさんはビクッと体を震わせているけれど、怒っている様な雰囲気はなかった。
むしろ、戸惑っている様にも見える。
しかし、嫌われていないのであれば、お友達になる事も出来るという事だ。
まぁ、嫌われててもお友達になる事は出来るけれども。
「という訳でカー君。私、ここでオーガさんと一緒にお花畑を作ります」
「いや、という訳でじゃないから。何も分からないよ。姉ちゃん」
「そういう事なので、リアムさんには遅れるとお伝えください」
「いや! 待ってよ! 姉ちゃん!? ちょ! 魔術はズルいって! 姉ちゃん!! 姉ちゃん!!!」
「では、また会いましょうー! カー君!」
「姉ちゃぁあああああん!!」
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