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第43話『好きじゃ無いけど、楽しんでいるという事ですか? そんな事ありますか?』②
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そして、リアムさんは聖人の証の力を使いながら、獣人さんと力比べを始める。
円形に座る宴会の真ん中で、二人は何も武器を持たずに睨み合った。
『ROUND ONE!! FIGHT!!』
何処からか声が聞こえ、私は周囲を見渡すと、先ほどまでリアムさんが座っていた場所に土の精霊が集まっていた。
楽しそうに笑っている。
「土の精霊さん。どうしたんですか? こういう戦いとかって好きでしたっけ?」
リアムさんが拳を振るいながら、ティガールさんの攻撃をかわし、そしてティガールさんもリアムさんの攻撃を器用に避けながら笑う。
そんな二人を土の精霊さん達はぴょんぴょん飛び跳ねながら、はしゃいで見ていた。
「もう! 話を聞いてください!」
私は土の精霊さんを風の魔力を使って捕まえると、そのまま手のひらの上に乗せてムッと見つめる。
しかし、土の精霊さんは首を横に振るばかりで要領を得ない。
「好きじゃ無いけど、楽しんでいるという事ですか? そんな事ありますか?」
私は手のひらの上に乗せた土の精霊さんを見つめながら聞くと、土の精霊さんは身振り手振りで何かを私に教えようとしていた。
いや、普通に話せば良いじゃないですか。
と思わなくも無いけれど、土の精霊さんは寡黙なのだ。
しょうがない。
「えと、森の向こうに。怖い……あ、違う。角? ドラゴンさん。これも違う。あっ、オーガさん。はい。オーガさんが居て、戦っていると、それを見て、土の精霊さんも……違う。あぁ、戦う姿を格好いいと思う様になった。そうですか? 合ってるんですね」
「なーに。さっきから一人でブツブツ喋ってるの。アメリアぁー」
「キャロンさん。大丈夫ですか? 大分お酒飲まれてますけど」
「らいじょぶ。らいじょぶ。明日はまたお願いするとおもうけど」
「それは構いませんけど、無理をしては駄目ですよ」
私はキャロンさんを癒しながら、手のひらの上に居る土の精霊さんを見ると、右手を高く上げながらそれだとアピールしていた。
「これ? 癒しの力ですか? 戦って、倒れても、私が居るから大丈夫。そういう事ですかね? あぁ、合ってるんですね。ありがとうございます。土の精霊さん」
「んぁー? なにぃ、アメリアー。土の精霊と話してんの?」
「はい」
「そうなんだぁ。私は適正無いから見えないんだよね。で? なんだって?」
「それが、どうやらオーガさんの影響で最近人や魔族の戦いを見るのが好きらしく、ちょうどここに私が居たので、いざとなったら癒しの力でどうとでもなるから、戦わせてみているとの事でした」
「……中々、アレな事やってるのね。土の精霊」
「うーん。本来はもっと堅実な事が好きな性質なのです。しかし、時を追うごとに闇の精霊は力を増していますからね。それに対抗する為に精霊さん同士で繋がりを強めているのでしょう。その結果火の精霊さんと似たような性質が出てくる様になったのかもしれません」
「なるほどね」
円形に座る宴会の真ん中で、二人は何も武器を持たずに睨み合った。
『ROUND ONE!! FIGHT!!』
何処からか声が聞こえ、私は周囲を見渡すと、先ほどまでリアムさんが座っていた場所に土の精霊が集まっていた。
楽しそうに笑っている。
「土の精霊さん。どうしたんですか? こういう戦いとかって好きでしたっけ?」
リアムさんが拳を振るいながら、ティガールさんの攻撃をかわし、そしてティガールさんもリアムさんの攻撃を器用に避けながら笑う。
そんな二人を土の精霊さん達はぴょんぴょん飛び跳ねながら、はしゃいで見ていた。
「もう! 話を聞いてください!」
私は土の精霊さんを風の魔力を使って捕まえると、そのまま手のひらの上に乗せてムッと見つめる。
しかし、土の精霊さんは首を横に振るばかりで要領を得ない。
「好きじゃ無いけど、楽しんでいるという事ですか? そんな事ありますか?」
私は手のひらの上に乗せた土の精霊さんを見つめながら聞くと、土の精霊さんは身振り手振りで何かを私に教えようとしていた。
いや、普通に話せば良いじゃないですか。
と思わなくも無いけれど、土の精霊さんは寡黙なのだ。
しょうがない。
「えと、森の向こうに。怖い……あ、違う。角? ドラゴンさん。これも違う。あっ、オーガさん。はい。オーガさんが居て、戦っていると、それを見て、土の精霊さんも……違う。あぁ、戦う姿を格好いいと思う様になった。そうですか? 合ってるんですね」
「なーに。さっきから一人でブツブツ喋ってるの。アメリアぁー」
「キャロンさん。大丈夫ですか? 大分お酒飲まれてますけど」
「らいじょぶ。らいじょぶ。明日はまたお願いするとおもうけど」
「それは構いませんけど、無理をしては駄目ですよ」
私はキャロンさんを癒しながら、手のひらの上に居る土の精霊さんを見ると、右手を高く上げながらそれだとアピールしていた。
「これ? 癒しの力ですか? 戦って、倒れても、私が居るから大丈夫。そういう事ですかね? あぁ、合ってるんですね。ありがとうございます。土の精霊さん」
「んぁー? なにぃ、アメリアー。土の精霊と話してんの?」
「はい」
「そうなんだぁ。私は適正無いから見えないんだよね。で? なんだって?」
「それが、どうやらオーガさんの影響で最近人や魔族の戦いを見るのが好きらしく、ちょうどここに私が居たので、いざとなったら癒しの力でどうとでもなるから、戦わせてみているとの事でした」
「……中々、アレな事やってるのね。土の精霊」
「うーん。本来はもっと堅実な事が好きな性質なのです。しかし、時を追うごとに闇の精霊は力を増していますからね。それに対抗する為に精霊さん同士で繋がりを強めているのでしょう。その結果火の精霊さんと似たような性質が出てくる様になったのかもしれません」
「なるほどね」
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