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第41話『彼らが敵だというのなら、私も敵という事になります』②
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そして、私たちはドワーフさん達の里を出て、次なる目的地を目指して進み始めた。
ドワーフさん達から土の精霊についての情報を得る事は出来なかったが、土の精霊だと言うのなら、土と関わりの深い場所に向かう方が良いだろうというアドバイスを聞き、獣人の森へと向かう事にした。
獣人の森。そこは、獣人さん達が多く住む場所であり、人はあまり近寄らない場所でもある。
「獣人について、お前らはどの程度知ってる?」
「人間とは仲良くないくらいしか知らないな」
「仲良くないというのはどの程度……」
「アメリアちゃん!!」
「え?」
私が獣人さんについて聞こうとした瞬間、フィンさんに抱きかかえられて、リアムさんの背後に移動した。
そして、私が居た場所には何人かの獣人さんが鼻息を荒くしながら、立っている。
「やはり」
「一目見てそうかと思ったが」
「人間どもめ」
獣人さん達は最後に会った時とは違い、何故か強い敵意を持っている様に見えた。
何かあったのだろうか。
私は何とか説得できないかとフィンさんから降りて声を掛けようとしたが、また私が居た場所に向かって草むらや木々から獣人さん達が飛び出してきて、襲い来るのだった。
そして、それをフィンさんは危うげなくかわし、やがてリアムさん達と目で会話しながら一緒に逃げ出した。
「どうなってるんだ!? リアムは何か知ってるか!?」
「分からん! だが、どうも奴ら、アメリアを狙ってるらしい」
「……っ! やっぱり」
「何か心当たりはあるのか?」
「いえ。私には何も」
「そうか! なら、何だか知らん所で恨みを買ったかだな!」
「ゼェ……ゼェ……アンタら、はやいっ! うぷっ」
「死ぬ気で走れ。捕まったら死ぬぞ」
「ひぃぃ。もう、何なのよぉ!」
リアムさんの言葉に私はうむむ。と考えながら走ってきている獣人さん達に目を向けた。
しかし、見た事はない獣人さん達だ。
少なくとも私が最後に獣人さんと話をしたのは、ニ百年以上前だし。
獣人さんの寿命を考えれば、生きている人が居るとは思えない。
でも、走って逃げているフィンさん達を追いかけてくる位には何か恨んでいるようだ。
しかも、このまま逃げても、どこまでも追って来そうな気概も感じる。
ドワーフさん達から土の精霊についての情報を得る事は出来なかったが、土の精霊だと言うのなら、土と関わりの深い場所に向かう方が良いだろうというアドバイスを聞き、獣人の森へと向かう事にした。
獣人の森。そこは、獣人さん達が多く住む場所であり、人はあまり近寄らない場所でもある。
「獣人について、お前らはどの程度知ってる?」
「人間とは仲良くないくらいしか知らないな」
「仲良くないというのはどの程度……」
「アメリアちゃん!!」
「え?」
私が獣人さんについて聞こうとした瞬間、フィンさんに抱きかかえられて、リアムさんの背後に移動した。
そして、私が居た場所には何人かの獣人さんが鼻息を荒くしながら、立っている。
「やはり」
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何かあったのだろうか。
私は何とか説得できないかとフィンさんから降りて声を掛けようとしたが、また私が居た場所に向かって草むらや木々から獣人さん達が飛び出してきて、襲い来るのだった。
そして、それをフィンさんは危うげなくかわし、やがてリアムさん達と目で会話しながら一緒に逃げ出した。
「どうなってるんだ!? リアムは何か知ってるか!?」
「分からん! だが、どうも奴ら、アメリアを狙ってるらしい」
「……っ! やっぱり」
「何か心当たりはあるのか?」
「いえ。私には何も」
「そうか! なら、何だか知らん所で恨みを買ったかだな!」
「ゼェ……ゼェ……アンタら、はやいっ! うぷっ」
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「ひぃぃ。もう、何なのよぉ!」
リアムさんの言葉に私はうむむ。と考えながら走ってきている獣人さん達に目を向けた。
しかし、見た事はない獣人さん達だ。
少なくとも私が最後に獣人さんと話をしたのは、ニ百年以上前だし。
獣人さんの寿命を考えれば、生きている人が居るとは思えない。
でも、走って逃げているフィンさん達を追いかけてくる位には何か恨んでいるようだ。
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