聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第40話『私はただ状況に流され、人に流され、それが嫌になり逃げて、今、こうしてここにいるだけですから』①

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大佐さん達に誘われるまま始まった大宴会で、私はリアムさん達と離れてドワーフさん達の武勇伝を聞いていた。

「そうそこで俺は、妻を助ける為にあらゆる困難をくぐり抜けて、走り続けたのだ!!」

「おぉー!!」

「悪を許す事は出来ないからな」

「やはりマクレーンの話はいつ聞いても面白いな」

「確かに。どうやったらそこまで運が悪くなれるのかも疑問だ」

「やかましい。これが俺だ。そしてどんな不運が俺に迫って来ようとも、生き残る! それが俺でもある!」

「格好いいです!」

「うむ!」

満足そうに語り終わったマクレーンさんに続いて、次は俺だ、俺だとドワーフさんが手を挙げる。

誰の話から聞いても良いのだけれど、私が選ぶ方が良いとの事だったので、僭越ながら次の人を選ばせて貰った。

「えっとでは、次はイーサンさん。お願いします」

「ついに来たか」

「おぉ。伝説の話がまた聞けるのか」

「酒が進むな!!」

イーサンさんは、息を軽く吐きながら緩やかに語り始めた。

彼が持っている伝説を。

「そう。あれはどれくらい前の事だっただろうか。俺はドワーフの長からある一つの指令を受けた。それはこのドワーフの村に悪意ある接触をしようとしている者たちの発見と撃退。しかし敵は見た目をドワーフにする事の出来る存在だった。そして、ソイツの策略により、俺は裏切者として同胞たちに追われる事となってしまう。しかし、俺はドワーフの村を護るために、敵と戦う事を決意したのだった。そう。これは誰もが不可能だと言った作戦の話……!」

イーサンさんの息も出来ない様な、凄い伝説の話を聞き。

「そこで私は噛みつかれる事で感染する、狂暴化する病気を止めるべく、その大元に向かって飛び込んだ! しかし、そこには狂暴化病によって狂暴化したドワーフ達が! 私は暗黒時代より発掘した銃と呼ばれる魔導具を使って、彼らを狂暴化病から解放していったのよ!」

アバーナシーさんの手に汗握る様なギリギリの戦いを聞き。

「この世界には世界が闇に包まれていた時代の遺産があらゆる場所に隠されている。その世界中に隠されたお宝を見つける為に、俺はこの帽子と鞭を持って、あらゆる遺跡に挑戦し、宝を発見してきた! 向かう先には伝説のお宝! しかし待ち受けるのは数々の困難! 俺はあらゆる危機をくぐり抜けて、前へ前へと突き進んでいったのさ!」

インディアナさんの心が躍る様な冒険譚を聞き……。

いつの間にか私はすっかり夢の世界へと旅立っていた。
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