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第39話『いつまでも悲しんではいられませんよね』②
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私はリアムさんの後ろから現れた大佐さんを見て、思わず飛び出して抱きしめてしまった。
もう助からないと思っていた人が生きていたのだ。
当然だろう。
「うぉっ! ま、まぁ俺の妻は既に死別しているからな。ちなみに娘は可愛いぞ」
「誰も聞いてねぇよ。離れろアメリア」
「あの場所に落ちて無事だったんだな。アンタ」
「無事な物か! 見ろ。大事な髭が燃えてしまった!」
「……そうかい」
「亡き妻も好きだと言っていた髭が。ちなみにアメリアはどんな髭が好みだ?」
「すり寄って来るな。離れろオッサン」
「オッサンじゃない! アーノルドた・い・さ、だ!」
「そうかよ。まぁいいや。戻ってきたのなら、また案内してくれ」
「良いだろう」
こうして何ごとも無かったかの様に大佐はまた私たちを案内するべく歩き始めたのだった。
しかし、あのマグマが溜まった場所からそれほど時間を掛けずに、私たちは一つの大きな空間へとたどり着いた。
そこには大佐さんの様に、多くのドワーフさんがあちらこちらとせわしなく歩き回っており、何やら騒がしい様子だった。
「随分と賑やかだな」
「うむ。そうだな? 何かあったのだろうか。聞いてみよう。おい。シェパード。何があったんだ」
「おぉ。大佐。無事だったのか。何があったも何も。みんなアンタが居なくなったから探しにいこうってんで準備してるんだぞ?」
「そうなのか。だが俺はこの通り無事だ」
「そうらしいな。じゃあマーティンの奴にも知らせてくる」
「頼む」
私は駆けだしてゆくドワーフさんを見送りながら、慌ただしく動くドワーフさんをジッと見つめた。
始めてみる人たちだ。
多分種族としては精霊に近いのだろうと思う。
人間や獣人、魔族などの肉体を持つ種族はマグマの熱に耐えられないが、精霊ならば極端に生存が難しい環境でも魔力さえあれば生きてゆく事が出来るからだ。
「なんだ。アメリア。ドワーフがそんなに珍しいのか?」
「はい。そうですね。リアムさんは会った事があるのですか?」
「まぁな。街でそれなりに見かけるよ。まぁ、住処に来たのは初めてだが」
「俺も会った事あるぜ! 姉ちゃん!」
「あー。俺もあるな」
「私、もっ……、ごめん。アメリアお酒ちょうだい」
「お前は少しくらい自重しろ」
「体力が無い時は飲むのが一番なのよ。うっぷ」
「吐きそうになってんじゃねぇか」
もう助からないと思っていた人が生きていたのだ。
当然だろう。
「うぉっ! ま、まぁ俺の妻は既に死別しているからな。ちなみに娘は可愛いぞ」
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「無事な物か! 見ろ。大事な髭が燃えてしまった!」
「……そうかい」
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「随分と賑やかだな」
「うむ。そうだな? 何かあったのだろうか。聞いてみよう。おい。シェパード。何があったんだ」
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「そうなのか。だが俺はこの通り無事だ」
「そうらしいな。じゃあマーティンの奴にも知らせてくる」
「頼む」
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始めてみる人たちだ。
多分種族としては精霊に近いのだろうと思う。
人間や獣人、魔族などの肉体を持つ種族はマグマの熱に耐えられないが、精霊ならば極端に生存が難しい環境でも魔力さえあれば生きてゆく事が出来るからだ。
「なんだ。アメリア。ドワーフがそんなに珍しいのか?」
「はい。そうですね。リアムさんは会った事があるのですか?」
「まぁな。街でそれなりに見かけるよ。まぁ、住処に来たのは初めてだが」
「俺も会った事あるぜ! 姉ちゃん!」
「あー。俺もあるな」
「私、もっ……、ごめん。アメリアお酒ちょうだい」
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「体力が無い時は飲むのが一番なのよ。うっぷ」
「吐きそうになってんじゃねぇか」
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