聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第38話『命令では無く、お願いですよ。私たちはお友達でしょう?』③

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「と、まぁ。この程度は出来る様にならないとな」

「おぉー! 凄いです!」

「……ま、まぁ。当然だ。よし。休憩がてら面白い話をしてやろう」

「はいー! ぱちぱちぱち!」

私はもう足がガクガクで動かない為、大佐さんの近くにある石に座りながら、話を聞いて体を休めるべく手を叩いた。

「俺には娘が居るんだがな」

「はい。娘さんですね」

「そう。可愛い娘だ。きっとアメリアも好きになるだろう。ちなみに妻は居ない」

「誰も聞いてねぇよ」

「そうか。しかし気になると思ってな。一応言っておこう。妻は大分前に死別した。今は娘と俺の二人暮らしだ。ちなみに娘は可愛い」

「いつまでも本題に入らないな。このドワーフ」

「……まぁ、ここからが本題だ。その娘がな。ある日、とんでもない悪党に攫われたのだ。その敵は良い筋肉を持っていた。どいつもこいつもだ。皆、良い筋肉をもっていた。しかし悪党だ。それだけの筋肉を持ちながら、悪事を働くなど許せる事ではない。筋肉とは常に正義の為にあるべきだ」

「な、なるほど」

「アメリア。分からないなら頷かなくて良いんだぞ」

「ここまで情報が筋肉モリモリマッチョマンの悪党に娘を攫われたしか無いからな」

リアムさんとフィンさんは呆れた様な声を出し、カー君は私と同じくワクワクしているのか、楽しそうな顔をしていた。

キャロンさんは……ゼェゼェ言ってて話を聞くどころでは無いらしい。

「俺は奪われた娘を取り戻す為に、敵を一人、また一人と筋肉で倒し! 俺と同じ特殊部隊出身の奴も倒した! そして連中は籠城しやすい深い山の奥に隠れたが、俺は単身その場所へ潜入し、敵を全て倒して娘を無事奪還したのだった!」

「おぉー! パチパチパチパチ!」

「敵にはベネットという元部下が居たのだが、コイツは卑劣にも娘を人質にしたのだがな、筋肉の前には全て無意味だ。奴は人質を解放し、武器も手放して、俺と一騎打ちをして敗北した」

「いや、なんで人質離したんだよ」

「武器もなんで捨ててるんだ……」

「全ては筋肉の力だ」

大佐さんの言葉に意味が分からないというリアムさんとフィンさんが呻くが、答えは無かった。
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