120 / 198
第38話『命令では無く、お願いですよ。私たちはお友達でしょう?』①
しおりを挟む
山に入ってから二日。
私たちは山の中をさ迷いながら、ドワーフさん達を探していたが、どうにも見つからずに時間ばかりが過ぎていたのだった。
「っ、暑ィ。どうなってんだこの山は」
「どうやらこの山は火山の様ですね。地面の底に火の塊があり、そこで精霊たちが元気に活動しているのが見えます」
「ゲ。火山かよ」
「火山って何だよ。フィン。姉ちゃん」
「火山というのはとーっても熱い火の水がこう地面の下に眠っている場所の事なんですよ。これに触ると人間は大怪我をしてしまうので、気を付けましょうね」
「う、うん」
緊張した様に頷くカー君に、私も頷きながら山の上を見た。
噴火する様な気配は見えないけれど、山全体がかなり活発に活動しているのは確かだ。
ドラゴンさんが生息しているからだろうか?
ん? ドラゴン?
あ! ドラゴン! そう言えばこの山にはドラゴンさんが居るんだった!
私は雷の如く閃いた名案に早速それを実行する事にした。
「ドラゴンさーん!!!」
「っ!? アメリア!? 何をやってるんだ!!」
「え? ドラゴンさんを呼ぼうと思いまして。良い考えでしょう?」
「ドラゴンを呼ぶゥ!? 何を考えてるの! アメリア!!」
「そうだぜ。ドラゴンなんて、俺たちごと山が全部吹き飛ばされるぞ!!」
「そんな大げさな」
私は空の向こう。山脈の彼方から飛んできているドラゴンさんに手を振った。
そして、向こうも気づいたのだろう。こちらへ降りてきている。
「馬鹿! 止めろ! ドラゴンなんぞ呼ぶな!」
「え? え? 何が来るんだ!?」
「伏せてろカーネリアン! 災厄が来るぞ!!」
何故か動揺するリアムさん達を放置して、私は風の魔術を使って浮かび上がり、こちらへ向かってくるドラゴンさんの鼻先に移動した。
「お久しぶりです!」
『おぉ。随分と懐かしい声がするなと思ったら、アメリアじゃ無いか。どうした』
「実はですね。闇の力を封印する旅を始めまして!」
『フハハハ。なんだ。遂に魔王の奴に従うのを止めたのか。それは愉快だな!! なら次は我に付き従うと良い! 子を為す事は出来んが、我らの一族と共に生きる事を許可する』
「あー。いえ。実は封印するのは力だけでして。魔王様自身は助け出すつもりなんです。その後は魔王様と共に世界を巡ろうかと!」
『何ィ。それは面白くないな。うむ。実に面白くない。力を失った魔王など何の価値も無いだろう。そんなモノは捨ててしまえ。アメリアが捨てられぬというのであれば、我が喰ってやっても良いぞ』
「駄目ですよ! 魔王様にそんな酷い事しちゃあ」
『ふん。我に命令するな』
「命令では無く、お願いですよ。私たちはお友達でしょう?」
『お願いというのなら、以前にやり方を教えただろう?』
「はぁ。アレで。良いんですか?」
『そうだ。早くしろ』
「分かりました」
私たちは山の中をさ迷いながら、ドワーフさん達を探していたが、どうにも見つからずに時間ばかりが過ぎていたのだった。
「っ、暑ィ。どうなってんだこの山は」
「どうやらこの山は火山の様ですね。地面の底に火の塊があり、そこで精霊たちが元気に活動しているのが見えます」
「ゲ。火山かよ」
「火山って何だよ。フィン。姉ちゃん」
「火山というのはとーっても熱い火の水がこう地面の下に眠っている場所の事なんですよ。これに触ると人間は大怪我をしてしまうので、気を付けましょうね」
「う、うん」
緊張した様に頷くカー君に、私も頷きながら山の上を見た。
噴火する様な気配は見えないけれど、山全体がかなり活発に活動しているのは確かだ。
ドラゴンさんが生息しているからだろうか?
ん? ドラゴン?
あ! ドラゴン! そう言えばこの山にはドラゴンさんが居るんだった!
私は雷の如く閃いた名案に早速それを実行する事にした。
「ドラゴンさーん!!!」
「っ!? アメリア!? 何をやってるんだ!!」
「え? ドラゴンさんを呼ぼうと思いまして。良い考えでしょう?」
「ドラゴンを呼ぶゥ!? 何を考えてるの! アメリア!!」
「そうだぜ。ドラゴンなんて、俺たちごと山が全部吹き飛ばされるぞ!!」
「そんな大げさな」
私は空の向こう。山脈の彼方から飛んできているドラゴンさんに手を振った。
そして、向こうも気づいたのだろう。こちらへ降りてきている。
「馬鹿! 止めろ! ドラゴンなんぞ呼ぶな!」
「え? え? 何が来るんだ!?」
「伏せてろカーネリアン! 災厄が来るぞ!!」
何故か動揺するリアムさん達を放置して、私は風の魔術を使って浮かび上がり、こちらへ向かってくるドラゴンさんの鼻先に移動した。
「お久しぶりです!」
『おぉ。随分と懐かしい声がするなと思ったら、アメリアじゃ無いか。どうした』
「実はですね。闇の力を封印する旅を始めまして!」
『フハハハ。なんだ。遂に魔王の奴に従うのを止めたのか。それは愉快だな!! なら次は我に付き従うと良い! 子を為す事は出来んが、我らの一族と共に生きる事を許可する』
「あー。いえ。実は封印するのは力だけでして。魔王様自身は助け出すつもりなんです。その後は魔王様と共に世界を巡ろうかと!」
『何ィ。それは面白くないな。うむ。実に面白くない。力を失った魔王など何の価値も無いだろう。そんなモノは捨ててしまえ。アメリアが捨てられぬというのであれば、我が喰ってやっても良いぞ』
「駄目ですよ! 魔王様にそんな酷い事しちゃあ」
『ふん。我に命令するな』
「命令では無く、お願いですよ。私たちはお友達でしょう?」
『お願いというのなら、以前にやり方を教えただろう?』
「はぁ。アレで。良いんですか?」
『そうだ。早くしろ』
「分かりました」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
冴えない経理オッサン、異世界で帳簿を握れば最強だった~俺はただの経理なんだけどな~
中岡 始
ファンタジー
「俺はただの経理なんだけどな」
ブラック企業の経理マンだった葛城隆司(45歳・独身)。
社内の不正会計を見抜きながらも誰にも評価されず、今日も淡々と帳簿を整理する日々。
そんな彼がある日、突然異世界に転生した。
――しかし、そこは剣も魔法もない、金と権力がすべての世界だった。
目覚めた先は、王都のスラム街。
財布なし、金なし、スキルなし。
詰んだかと思った矢先、喋る黒猫・モルディと出会う。
「オッサン、ここの経済はめちゃくちゃだぞ?」
試しに商店の帳簿を整理したところ、たった数日で利益が倍増。
経理の力がこの世界では「未知の技術」であることに気づいた葛城は、財務管理サービスを売りに商会を設立し、王都の商人や貴族たちの経済を掌握していく。
しかし、貴族たちの不正を暴き、金の流れを制したことで、
王国を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていく。
「お前がいなきゃ、この国はもたねえぞ?」
国王に乞われ、王国財務顧問に就任。
貴族派との経済戦争、宰相マクシミリアンとの頭脳戦、
そして戦争すら経済で終結させる驚異の手腕。
――剣も魔法もいらない。この世を支配するのは、数字だ。
異世界でただ一人、"経理"を武器にのし上がる男の物語が、今始まる!
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
マーベル子爵とサブル侯爵の手から逃げていたイリヤは、なぜか悪女とか毒婦とか呼ばれるようになっていた。そのため、なかなか仕事も決まらない。運よく見つけた求人は家庭教師であるが、仕事先は王城である。
嬉々として王城を訪れると、本当の仕事は聖女の母親役とのこと。一か月前に聖女召喚の儀で召喚された聖女は、生後半年の赤ん坊であり、宰相クライブの養女となっていた。
イリヤは聖女マリアンヌの母親になるためクライブと(契約)結婚をしたが、結婚したその日の夜、彼はイリヤの身体を求めてきて――。
娘の聖女マリアンヌを立派な淑女に育てあげる使命に燃えている契約母イリヤと、そんな彼女が気になっている毒舌宰相クライブのちょっとずれている(契約)結婚、そして聖女マリアンヌの成長の物語。
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。

筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果
kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。
自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。
魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる