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第37話『怖いのはすぐに終わりますよ。そしたら今度は色々な世界を見に行きましょう。ね?』④
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「フン。俺がそんな甘っちょろい人間か! お前じゃ無いんだ。アメリア」
「あっ、そ、そうですよね」
「当然だ」
「はいはい。分かった分かった」
「なるほどねー。リアムってばそういう感じだったんだぁ」
「黙れ!!」
また喧嘩を始めてしまったリアムさん達を放っておいて、私は難しい顔をしていたカー君に視線を向ける。
「カー君は何か夢は無いのですか?」
「俺? 俺は、何も、無いんだ。旅が終わったら、またあの家に帰って、一人だ」
カー君はキュッと自分の服を掴んで俯いてしまった。
そんなカー君を見ているのが辛くて、私はカー君の手を取りながら話しかけようとした。
しかし、それよりも早く、リアムさんが口を開く。
「カーネリアン」
「っ! な、なんだよ」
「お前の前に居る女をよく見てみろ。ソイツがお前を一人放置する様な奴に見えるか?」
「……」
「お前が何だかんだと強がっても、無理矢理手を引いて光の下に連れて行く。アメリアはそういう女だ」
「……姉ちゃん」
「はい」
「俺……旅が終わっても、一緒に居て、良いかなぁ」
「当然です。私たちが人である以上、いつか別れは来ますが、それを無理に早める必要はないと私は考えます。ですから、カー君が望むのならば、これからも一緒に居ましょう」
「姉ちゃん!!」
私はカー君を抱きしめて、背中を撫でる。
そして、フィンさんやキャロンさん。それから不機嫌そうにしながらも、どこか安心した様に息を吐くリアムさんを見て笑う。
「あー。じゃあ私も旅が終わってからアメリアちゃんと続きしようかな。アメリアちゃんのご飯美味しいし」
「良いんですか!?」
「当然! キャロンお姉さんにお任せよ!」
「フン。キャロンが居たんじゃ、食事代が高くついてしょうがねぇだろ」
「はぁー!? どういう意味よ! リアム!」
「そのままの意味だろ。いつもいつも一人でバクバク喰いやがって!」
「アンタらの手が遅いのが悪いんでしょー!?」
「はいはい。落ち着いて。落ち着いて。子供たちが見てるよ」
「「お前は、黙ってろ!!」」
私たちはワイワイといつもの騒がしさを取り戻し、再び旅を始めるのだった。
「あっ、そ、そうですよね」
「当然だ」
「はいはい。分かった分かった」
「なるほどねー。リアムってばそういう感じだったんだぁ」
「黙れ!!」
また喧嘩を始めてしまったリアムさん達を放っておいて、私は難しい顔をしていたカー君に視線を向ける。
「カー君は何か夢は無いのですか?」
「俺? 俺は、何も、無いんだ。旅が終わったら、またあの家に帰って、一人だ」
カー君はキュッと自分の服を掴んで俯いてしまった。
そんなカー君を見ているのが辛くて、私はカー君の手を取りながら話しかけようとした。
しかし、それよりも早く、リアムさんが口を開く。
「カーネリアン」
「っ! な、なんだよ」
「お前の前に居る女をよく見てみろ。ソイツがお前を一人放置する様な奴に見えるか?」
「……」
「お前が何だかんだと強がっても、無理矢理手を引いて光の下に連れて行く。アメリアはそういう女だ」
「……姉ちゃん」
「はい」
「俺……旅が終わっても、一緒に居て、良いかなぁ」
「当然です。私たちが人である以上、いつか別れは来ますが、それを無理に早める必要はないと私は考えます。ですから、カー君が望むのならば、これからも一緒に居ましょう」
「姉ちゃん!!」
私はカー君を抱きしめて、背中を撫でる。
そして、フィンさんやキャロンさん。それから不機嫌そうにしながらも、どこか安心した様に息を吐くリアムさんを見て笑う。
「あー。じゃあ私も旅が終わってからアメリアちゃんと続きしようかな。アメリアちゃんのご飯美味しいし」
「良いんですか!?」
「当然! キャロンお姉さんにお任せよ!」
「フン。キャロンが居たんじゃ、食事代が高くついてしょうがねぇだろ」
「はぁー!? どういう意味よ! リアム!」
「そのままの意味だろ。いつもいつも一人でバクバク喰いやがって!」
「アンタらの手が遅いのが悪いんでしょー!?」
「はいはい。落ち着いて。落ち着いて。子供たちが見てるよ」
「「お前は、黙ってろ!!」」
私たちはワイワイといつもの騒がしさを取り戻し、再び旅を始めるのだった。
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