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第31話『……やりたい事。ですか』③
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そして、私たちは長い旅を続け、ようやく南東にある大きな大きな草原にたどり着いた。
地平線の果てまで続くその場所は足元に広がる緑の世界がどこまでも続き、風が強く吹き抜ける世界だった。
どこか懐かしい様な気持ちにさせるのは、この場所から見える景色が心に刺さるからか。
もしくは、果てしない空の向こうに光る陽の陰りが、懐かしい世界を思わせるからか。
「うーん! 広いですねぇ!」
「アメリア。勝手に走り出すんじゃねぇぞ」
「大丈夫です! 私はちゃんとここに居ますよ!」
私は両手を広げて、全身で風を受ける。
耳元で聞こえてくる風の声は、精霊の歌声が混ざり、空の果てに飛んでいる様な気分にさせた。
「ラー。ララー。ラー。ララ。ラララ」
「……」
軽い足取りで草原の中を歩きながら、いつか聞いたメロディーを奏でる。
あれはどこの国で聞いた歌だっただろうか。
あぁ、そうだ。どこまでも果てしない世界を駆ける、流浪の民の歌だったと思う。
「アメリア?」
昼と夜が同居する世界で、私は閉じていた瞼を開き、少し離れた場所に居るリアムさん達を見た。
彼らは陽の光を背にしながら、呆然と私を見ており、私は夜の世界に足を踏み入れている。
あぁ。そうか。
この歌は、あの人が奏でていた歌だったんだ。
王様の奥さんが、友として一緒に過ごしていた私の為に奏でてくれた故郷の歌だ。
『世界はまだ、闇の中にいる。いつかこの世界にも光が満ちるのかもしれない。そんな日が来れば、貴女とあの人と共にこの世界を見て回りたいわね。貴女に、故郷の世界を見せたいわ。どこまでも広がる果てのない美しき世界を』
「……ここが、そうだったんですね。ドルマ―」
私は記憶の底に沈んでいたかつての友を思い出し、黒と蒼の入り混じった空を見上げて涙した。
「この景色を、私は決して忘れませんよ」
地平線の果てまで続くその場所は足元に広がる緑の世界がどこまでも続き、風が強く吹き抜ける世界だった。
どこか懐かしい様な気持ちにさせるのは、この場所から見える景色が心に刺さるからか。
もしくは、果てしない空の向こうに光る陽の陰りが、懐かしい世界を思わせるからか。
「うーん! 広いですねぇ!」
「アメリア。勝手に走り出すんじゃねぇぞ」
「大丈夫です! 私はちゃんとここに居ますよ!」
私は両手を広げて、全身で風を受ける。
耳元で聞こえてくる風の声は、精霊の歌声が混ざり、空の果てに飛んでいる様な気分にさせた。
「ラー。ララー。ラー。ララ。ラララ」
「……」
軽い足取りで草原の中を歩きながら、いつか聞いたメロディーを奏でる。
あれはどこの国で聞いた歌だっただろうか。
あぁ、そうだ。どこまでも果てしない世界を駆ける、流浪の民の歌だったと思う。
「アメリア?」
昼と夜が同居する世界で、私は閉じていた瞼を開き、少し離れた場所に居るリアムさん達を見た。
彼らは陽の光を背にしながら、呆然と私を見ており、私は夜の世界に足を踏み入れている。
あぁ。そうか。
この歌は、あの人が奏でていた歌だったんだ。
王様の奥さんが、友として一緒に過ごしていた私の為に奏でてくれた故郷の歌だ。
『世界はまだ、闇の中にいる。いつかこの世界にも光が満ちるのかもしれない。そんな日が来れば、貴女とあの人と共にこの世界を見て回りたいわね。貴女に、故郷の世界を見せたいわ。どこまでも広がる果てのない美しき世界を』
「……ここが、そうだったんですね。ドルマ―」
私は記憶の底に沈んでいたかつての友を思い出し、黒と蒼の入り混じった空を見上げて涙した。
「この景色を、私は決して忘れませんよ」
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