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第30話『争いを止める為なら私は何でもしますよ』①
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私の声に応えて、森の奥から神獣たちの声が聞こえる様になってきた。
そして、地を揺らす足音もだ。
「な、ななな、なんて事をしたんだ。姫様!!」
「かの神獣をここへ呼び出すなんて! あの厄介系むっつり処女厨がここへ来たら、大変な事になりますよ!!? 今、ここにはエルフが居る!!」
「そうですね。ですが、私は大切なお友達であるレーニちゃんを傷つけたこの状況が許せません。争いを止める為なら私は何でもしますよ」
「「くぅっ! これは愛!!」」
悶絶しているイシュラさんとロージさんを放置して、私はリアムさんに助けを求めた。
そして、リアムさんは容易く籠を破壊し、私はリアムさんの手の上に乗り、そのまま肩の上に乗せて貰った。
「状況が飲み込めん。何が来る?」
「ユニコーンです」
「ユニコーン?」
「伝説の神獣さ。しかしとんでもない物を呼んだな。これでは戦争どころじゃ無いぞ」
「えぇ。そうですね。ですが、これで目の前の敵より、大きな脅威に対して協力する事が出来るのではないですか?」
「まぁ、そうだね。おい。陰魔共。アメリア姫様がお怒りだ。この事態を収集するぞ」
私たちの会話に合わせて自然な形で現れたエルフの長は、遠く、森の彼方で輝く赤い光に目を細めた。
「ふむ。だが、アメリア姫。どうやら薬が効きすぎているようだ。赤いぞ」
「あら……?」
「赤という事は?」
「NTR-Dシステムが発動しているという事だ」
「NTR-Dシステム?」
陰魔さんの言葉にキャロンさんが首を傾げながら私に視線を合わせた。
私は遠くで輝く赤い光を見ながら、ユニコーンの生態を語る。
「ユニコーンは貞淑で清廉な人を好む生物です」
「まぁ要するに処女厨という事だ。人に勝手な夢を見て、それが違うと分かれば暴走する厄介な生物だな」
「それはお前も同じだろ。エルフ」
「そっくりそのまま言葉を返そうか陰魔」
「とにかく。人によって色々と感想はあると思いますが、ユニコーンは貞淑さを重んじる為、それを破る様な行為を許しません」
「そう。故にNTR-D。つまりは、ネトラレ……デストロイヤー。ユニコーンは好みの女の子を見つけると勝手に纏わりついて、その子が誰かと恋仲になると発狂して襲ってくるんだよ」
「なんという厄介な……」
「だろう? だから忌み嫌われているんだが、それを姫様がわざわざ呼んだという事さ。ちなみに赤い光を放ってる時は最大限に怒っている時だ。ですよね。姫様」
「はい。ご説明ありがとうございます。それと、私が呼んだ以上は私が何とかします。しかし、その為にも皆さんの協力が必要です。良いですか? 陰魔さん。エルフさん」
「分かってますよ。姫様」
「しょうがない。今回は陰魔とも協力しよう。それで? 具体的にどう止める?」
「はい。まずは体に戻りまして、広範囲に魔力を「あ」……えと、どうしました? 陰魔さん」
「いやー。ハハハ。すまない。姫様の体には多重に魔術を掛けてな。魂が体に戻っても、すぐは動かない様になっているんだ」
「何をやってるんだ、陰魔ァ!」
「しょうがないだろう!? 体すら奪われた時に、こんな事もあろうかとって言う為の準備だったんだから!!」
そして、地を揺らす足音もだ。
「な、ななな、なんて事をしたんだ。姫様!!」
「かの神獣をここへ呼び出すなんて! あの厄介系むっつり処女厨がここへ来たら、大変な事になりますよ!!? 今、ここにはエルフが居る!!」
「そうですね。ですが、私は大切なお友達であるレーニちゃんを傷つけたこの状況が許せません。争いを止める為なら私は何でもしますよ」
「「くぅっ! これは愛!!」」
悶絶しているイシュラさんとロージさんを放置して、私はリアムさんに助けを求めた。
そして、リアムさんは容易く籠を破壊し、私はリアムさんの手の上に乗り、そのまま肩の上に乗せて貰った。
「状況が飲み込めん。何が来る?」
「ユニコーンです」
「ユニコーン?」
「伝説の神獣さ。しかしとんでもない物を呼んだな。これでは戦争どころじゃ無いぞ」
「えぇ。そうですね。ですが、これで目の前の敵より、大きな脅威に対して協力する事が出来るのではないですか?」
「まぁ、そうだね。おい。陰魔共。アメリア姫様がお怒りだ。この事態を収集するぞ」
私たちの会話に合わせて自然な形で現れたエルフの長は、遠く、森の彼方で輝く赤い光に目を細めた。
「ふむ。だが、アメリア姫。どうやら薬が効きすぎているようだ。赤いぞ」
「あら……?」
「赤という事は?」
「NTR-Dシステムが発動しているという事だ」
「NTR-Dシステム?」
陰魔さんの言葉にキャロンさんが首を傾げながら私に視線を合わせた。
私は遠くで輝く赤い光を見ながら、ユニコーンの生態を語る。
「ユニコーンは貞淑で清廉な人を好む生物です」
「まぁ要するに処女厨という事だ。人に勝手な夢を見て、それが違うと分かれば暴走する厄介な生物だな」
「それはお前も同じだろ。エルフ」
「そっくりそのまま言葉を返そうか陰魔」
「とにかく。人によって色々と感想はあると思いますが、ユニコーンは貞淑さを重んじる為、それを破る様な行為を許しません」
「そう。故にNTR-D。つまりは、ネトラレ……デストロイヤー。ユニコーンは好みの女の子を見つけると勝手に纏わりついて、その子が誰かと恋仲になると発狂して襲ってくるんだよ」
「なんという厄介な……」
「だろう? だから忌み嫌われているんだが、それを姫様がわざわざ呼んだという事さ。ちなみに赤い光を放ってる時は最大限に怒っている時だ。ですよね。姫様」
「はい。ご説明ありがとうございます。それと、私が呼んだ以上は私が何とかします。しかし、その為にも皆さんの協力が必要です。良いですか? 陰魔さん。エルフさん」
「分かってますよ。姫様」
「しょうがない。今回は陰魔とも協力しよう。それで? 具体的にどう止める?」
「はい。まずは体に戻りまして、広範囲に魔力を「あ」……えと、どうしました? 陰魔さん」
「いやー。ハハハ。すまない。姫様の体には多重に魔術を掛けてな。魂が体に戻っても、すぐは動かない様になっているんだ」
「何をやってるんだ、陰魔ァ!」
「しょうがないだろう!? 体すら奪われた時に、こんな事もあろうかとって言う為の準備だったんだから!!」
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