聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第29話『そうみたいですね。酷い状態になってます。みんな傷つけあって』③

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「っ!? なにぃ!? ぐはっ!!」

「これで……終わりだ!!」

「こんな事もあろうかと!! 用意しておりましたァ!!」

「っ!?」

陰魔さんの完全な隙を突いて仕掛けられた攻撃は、確かに陰魔さんを倒した。

しかし、その手から逃れた私は、別の陰魔さんに捕まってしまう。

さらに籠の様な物に放り込まれ、地面に強く叩きつけられた。

「きゃあ!」

「アメリア!!」

「おっとぉ。それ以上動くな。姫様を傷つけたくはないだろう?」

私が悲鳴なんて上げてしまったせいで、リアムさん達は武器を握ったまま動きを止めてしまった。

申し訳ない気持ちだ。

私は籠の中から上を見上げて、どんな陰魔さんがそこに居るのかを確かめた。

その淫魔さんは、最後に私たちを捕まえようとした淫魔さんで、確か名前はロージさんという陰魔さんだった筈だ。

そして、ずっと姿が見えていなかったが、地面に倒れているレーニちゃんを踏みつける様にして現れたのは、陰魔さんの里で私たちと話をしていたもう片方……イシュラさんという方だった。

「さてさて。これで侵入者は全てでしょうか。ふふ。姫様は本当に可愛らしい御方ですね。自分を囮にすれば私たちを騙せると思ったのでしょうけど」

「逆に怪しいんだよなぁ。姫様の護衛がこんな小さなエルフだけなんてあり得ない!」

「そうね。こんなチビガキだけなんてね!」

「っ!」

「止めて下さい! レーニちゃんに酷い事をしないで下さい!」

「それは姫様の態度次第ですよ。ふふ。コレにもいい使い道があるという訳ですね。あぁ、これからの日々が楽しみだわ!!」

イシュラさんは笑いながらレーニちゃんを足蹴にしていた。

私は、先ほどまでの言い争いとは違い、実際に傷つける様な行動に陰魔さん達が出た事で、私はこの戦いを戦争なのだと正しく認識した。

戦争だというのなら、何でもアリという事だ。

私は息を大きく吸い込んで、森のどこかに居るであろう存在に呼びかける。

「ユニコォォォォオオオオオン!!!」

伝説の神獣を。

全ての争いを終わらせるために、この地へ呼び寄せるのだ。
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