91 / 143
第29話『そうみたいですね。酷い状態になってます。みんな傷つけあって』③
しおりを挟む
「っ!? なにぃ!? ぐはっ!!」
「これで……終わりだ!!」
「こんな事もあろうかと!! 用意しておりましたァ!!」
「っ!?」
陰魔さんの完全な隙を突いて仕掛けられた攻撃は、確かに陰魔さんを倒した。
しかし、その手から逃れた私は、別の陰魔さんに捕まってしまう。
さらに籠の様な物に放り込まれ、地面に強く叩きつけられた。
「きゃあ!」
「アメリア!!」
「おっとぉ。それ以上動くな。姫様を傷つけたくはないだろう?」
私が悲鳴なんて上げてしまったせいで、リアムさん達は武器を握ったまま動きを止めてしまった。
申し訳ない気持ちだ。
私は籠の中から上を見上げて、どんな陰魔さんがそこに居るのかを確かめた。
その淫魔さんは、最後に私たちを捕まえようとした淫魔さんで、確か名前はロージさんという陰魔さんだった筈だ。
そして、ずっと姿が見えていなかったが、地面に倒れているレーニちゃんを踏みつける様にして現れたのは、陰魔さんの里で私たちと話をしていたもう片方……イシュラさんという方だった。
「さてさて。これで侵入者は全てでしょうか。ふふ。姫様は本当に可愛らしい御方ですね。自分を囮にすれば私たちを騙せると思ったのでしょうけど」
「逆に怪しいんだよなぁ。姫様の護衛がこんな小さなエルフだけなんてあり得ない!」
「そうね。こんなチビガキだけなんてね!」
「っ!」
「止めて下さい! レーニちゃんに酷い事をしないで下さい!」
「それは姫様の態度次第ですよ。ふふ。コレにもいい使い道があるという訳ですね。あぁ、これからの日々が楽しみだわ!!」
イシュラさんは笑いながらレーニちゃんを足蹴にしていた。
私は、先ほどまでの言い争いとは違い、実際に傷つける様な行動に陰魔さん達が出た事で、私はこの戦いを戦争なのだと正しく認識した。
戦争だというのなら、何でもアリという事だ。
私は息を大きく吸い込んで、森のどこかに居るであろう存在に呼びかける。
「ユニコォォォォオオオオオン!!!」
伝説の神獣を。
全ての争いを終わらせるために、この地へ呼び寄せるのだ。
「これで……終わりだ!!」
「こんな事もあろうかと!! 用意しておりましたァ!!」
「っ!?」
陰魔さんの完全な隙を突いて仕掛けられた攻撃は、確かに陰魔さんを倒した。
しかし、その手から逃れた私は、別の陰魔さんに捕まってしまう。
さらに籠の様な物に放り込まれ、地面に強く叩きつけられた。
「きゃあ!」
「アメリア!!」
「おっとぉ。それ以上動くな。姫様を傷つけたくはないだろう?」
私が悲鳴なんて上げてしまったせいで、リアムさん達は武器を握ったまま動きを止めてしまった。
申し訳ない気持ちだ。
私は籠の中から上を見上げて、どんな陰魔さんがそこに居るのかを確かめた。
その淫魔さんは、最後に私たちを捕まえようとした淫魔さんで、確か名前はロージさんという陰魔さんだった筈だ。
そして、ずっと姿が見えていなかったが、地面に倒れているレーニちゃんを踏みつける様にして現れたのは、陰魔さんの里で私たちと話をしていたもう片方……イシュラさんという方だった。
「さてさて。これで侵入者は全てでしょうか。ふふ。姫様は本当に可愛らしい御方ですね。自分を囮にすれば私たちを騙せると思ったのでしょうけど」
「逆に怪しいんだよなぁ。姫様の護衛がこんな小さなエルフだけなんてあり得ない!」
「そうね。こんなチビガキだけなんてね!」
「っ!」
「止めて下さい! レーニちゃんに酷い事をしないで下さい!」
「それは姫様の態度次第ですよ。ふふ。コレにもいい使い道があるという訳ですね。あぁ、これからの日々が楽しみだわ!!」
イシュラさんは笑いながらレーニちゃんを足蹴にしていた。
私は、先ほどまでの言い争いとは違い、実際に傷つける様な行動に陰魔さん達が出た事で、私はこの戦いを戦争なのだと正しく認識した。
戦争だというのなら、何でもアリという事だ。
私は息を大きく吸い込んで、森のどこかに居るであろう存在に呼びかける。
「ユニコォォォォオオオオオン!!!」
伝説の神獣を。
全ての争いを終わらせるために、この地へ呼び寄せるのだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
クーヤちゃん ~Legend of Shota~ このかわいい召喚士は、地球からアイテムを召喚してしまったみたいです
ほむらさん
ファンタジー
どうやら、人は死ぬと【転生ルーレット】で来世を決めるらしい。
知ったのはもちろん自分が死んで最後の大勝負を挑むことになったからだ。
虫や動物で埋め尽くされた非常に危険なルーレット。
その一発勝負で、幸運にも『ショタ召喚士』を的中させることに成功する。
―――しかし問題はその後だった。
あの野郎、5歳児を原っぱにポイ捨てしやがった!
召喚士うんぬんの前に、まずは一人で異世界を生き抜かねばならなくなったのです。
異世界言語翻訳?そんなもん無い!!
召喚魔法?誰も使い方を教えてくれないからさっぱりわからん!
でも絶体絶命な状況の中、召喚魔法を使うことに成功する。
・・・うん。この召喚魔法の使い方って、たぶん普通と違うよね?
※この物語は基本的にほのぼのしていますが、いきなり激しい戦闘が始まったりもします。
※主人公は自分のことを『慎重な男』と思ってるみたいですが、かなり無茶するタイプです。
※なぜか異世界で家庭用ゲーム機『ファミファミ』で遊んだりもします。
※誤字・脱字、あとルビをミスっていたら、報告してもらえるとすごく助かります。
※登場人物紹介は別ページにあります。『ほむらさん』をクリック!
※毎日が明るくて楽しくてほっこりしたい方向けです。是非読んでみてください!
クーヤ「かわいい召喚獣をいっぱい集めるよ!」
@カクヨム・なろう・ノベルアップ+にも投稿してます。
☆祝・100万文字(400話)達成! 皆様に心よりの感謝を!
最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】
僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。
そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。
でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。
死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。
そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。
妾の子だった転生勇者~魔力ゼロだと冷遇され悪役貴族の兄弟から虐められたので前世の知識を活かして努力していたら、回復魔術がぶっ壊れ性能になった
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
◆2024/05/31 HOTランキングで2位 ファンタジーランキング4位になりました! 第四回ファンタジーカップで21位になりました。皆様の応援のおかげです!ありがとうございます!!
『公爵の子供なのに魔力なし』
『正妻や兄弟姉妹からも虐められる出来損ない』
『公爵になれない無能』
公爵と平民の間に生まれた主人公は、魔力がゼロだからという理由で無能と呼ばれ冷遇される。
だが実は子供の中身は転生者それもこの世界を救った勇者であり、自分と母親の身を守るために、主人公は魔法と剣術を極めることに。
『魔力ゼロのハズなのになぜ魔法を!?』
『ただの剣で魔法を斬っただと!?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ……?』
『あいつを無能と呼んだ奴の目は節穴か?』
やがて周囲を畏怖させるほどの貴公子として成長していく……元勇者の物語。
みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!
沢野 りお
ファンタジー
【書籍化します!】2022年12月下旬にレジーナブックス様から刊行されることになりました!
定番の転生しました、前世アラサー女子です。
前世の記憶が戻ったのは、7歳のとき。
・・・なんか、病的に痩せていて体力ナシでみすぼらしいんだけど・・・、え?王女なの?これで?
どうやら亡くなった母の身分が低かったため、血の繋がった家族からは存在を無視された、みそっかすの王女が私。
しかも、使用人から虐げられていじめられている?お世話も満足にされずに、衰弱死寸前?
ええーっ!
まだ7歳の体では自立するのも無理だし、ぐぬぬぬ。
しっかーし、奴隷の亜人と手を組んで、こんなクソ王宮や国なんか出て行ってやる!
家出ならぬ、王宮出を企てる間に、なにやら王位継承を巡ってキナ臭い感じが・・・。
えっ?私には関係ないんだから巻き込まないでよ!ちょっと、王族暗殺?継承争い勃発?亜人奴隷解放運動?
そんなの知らなーい!
みそっかすちびっ子転生王女の私が、城出・出国して、安全な地でチート能力を駆使して、ワハハハハな生活を手に入れる、そんな立身出世のお話でぇーす!
え?違う?
とりあえず、家族になった亜人たちと、あっちのトラブル、こっちの騒動に巻き込まれながら、旅をしていきます。
R15は保険です。
更新は不定期です。
「みそっかすちびっ子王女の転生冒険ものがたり」を改訂、再up。
2021/8/21 改めて投稿し直しました。
私のバラ色ではない人生
野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。
だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。
そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。
ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。
だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、
既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。
ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。
大人気ダンジョン配信者のサポーターをやっていたけど、あまりにパワハラが酷いから辞めることにする。ん? なんか再生数激オチしているけど大丈夫?
空松蓮司
ファンタジー
「アンタは1人じゃ何もできない」
事あるごとにそう言い放ってくるパートナー、成瀬美亜にうんざりしつつも葉村志吹は彼女をサポートし続けた。
過去にモンスターに右腕を喰われ隻腕となり、さらに何も特殊な能力を持たない自分を雇ってくれるのは美亜だけ……そう志吹は思い込み、どれだけパワハラされようが耐えてきた。
しかし、現実は違った。
確かに志吹は隻腕で、特殊能力を持たない。だがそのサポート能力は最高レベルであり、美亜のダンジョン配信を見ている視聴者達の目当ても美亜ではなく志吹の完璧なまでのサポート能力だった。そんな高い能力を持つ志吹が放置されるわけがなく、彼は美亜より遥か格上のS級シーカー・唯我阿弥数にギルドへの勧誘を受ける。
「今日はギルドへの勧誘に来たんだ」
「そういう話なら美亜を交えて改めて場を設けるよ。今日はグラビアの撮影で忙しいから、後日都合の良い日に……」
「え? 成瀬美亜ちゃん? 彼女はいらないよ別に」
「ん? 美亜の勧誘じゃないのか?」
「君がどうしてもと言うなら入れてあげてもいいけど、特に魅力は感じないな。僕が欲しいのは君だけだよ」
自分に敬意を示し、真摯に接してくれる唯我と自分を見下し、雑に扱う美亜……比べるまでもなく志吹は唯我を選び、美亜とのパートナー契約を打ち切る。
新たなギルドで正当な評価を受け始める志吹。
一方で志吹を失い、動画の再生数が落ち込んでいく美亜。
やがて美亜は自分の失墜を志吹のせいにし、自分が所属するギルドにありもしないことを吹き込んで志吹を悪者に仕立て上げ、ギルドを率いて志吹への復讐を企てる……。
無能と罵られ続けた実は有能な男が、環境を変えたことをきっかけに正当な評価を受け始める迷宮成り上がりファンタジー、ここに開幕。
人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚
咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。
帝国歴515年。サナリア歴3年。
新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。
アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。
だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。
当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。
命令の中身。
それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。
出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。
それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。
フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。
彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。
そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。
しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。
西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。
アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。
偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。
他サイトにも書いています。
こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。
小説だけを読める形にしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる