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第26話『いえ。それが私にもサッパリ。何も分からないですね』③
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「こうやって明確に分かりやすい敵を用意する事で、神話を見ている我々にリアム氏への感情移入をしやすくしているという訳だな。まさに神の御業という訳だ」
「「「おぉー!!」」」
「順調に勝利を重ねるリアム氏。目と目。心と心で通じ合う二人……! だが、決勝戦にはあの憎き嫌味な男! 姫様との僅かな時間もその男に邪魔されてしまう。そしてここでリアム氏と姫様の身分差が明かされる。そう、何を隠そう。リアム氏は貧民の出なのだ。そして少年時代に姫様に救われた経験があり、姫様の為に仕える事を決意した訳だな」
「盛り上がってきた!!」
「そして決勝戦の前の夜。姫様と二人だけの時間を過ごす事が出来たリアム氏は、そこで姫様からお別れを告げられる。決勝戦を棄権して欲しいと」
「何故だ!!」
「愛し合っていたのではないのか!?」
「愛し合っていたからだ! 愛していたからこそ、決勝戦で当たる危険な男とリアム氏が戦ってほしくなかったのだ。おそらくこの辺りで、姫様の回想が挟まり、嫌味な男が姫様にリアム氏の命を奪う的な事を言っているシーンが挟まるだろう」
「ハァー! コイツ!」
「クソ野郎ってすぐこういう事するよな」
「しかし、そんな姫様の愛に気づいたリアム氏は、こう返すんだ。『明日の決勝戦は見ててください』と! しかし姫様は首を振る。そんな姫様に……! リアム氏は!! ただ笑ってその場を立ち去るのだ。決して負けぬと、姫様を護るという覚悟を心に決めながら!!」
「かぁー! これこれ!」
「男とはやはりペラペラと言葉で語らぬ生物。背中で語るのだ」
「それで、それでどうなるんだ!!」
「今、ここにリアム氏が姫様と共に居る。それが全ての答えだろう」
「「「うぉおぉおおおおお!!!」」」
「どんな戦いだったんだ」
「気になるか?」
「あぁ! 気になる!」
「ならば、いつも通り、ペンを手に取れ! そして自らの手で描くのだ!! 理想とするシーンを! 理想とするエンディングを!!」
「うぉぉおおお!!」
「これは、我らが神話の続きを描くという行為だ。では背信行為だろうか? 否。否だ。これは信仰なのだ。神の御意思に、より近づく為に、その足元へ跪く為に! 我らは神の頂を目指そう!!」
「うぉぉぉおおお!!!」
「やるぞやるぞー!!」
「やってやる! やってやるぞー!!」
「俺は今日こそ神の居る場所へ行くんだ!!」
凄い熱狂だった。
それに圧倒された私は、すぐ傍に居たリアムさんと目を合わせながら訳も分からず頷くのだった。
陰魔の里は、私が考えているよりも凄い場所なのかもしれない。
「「「おぉー!!」」」
「順調に勝利を重ねるリアム氏。目と目。心と心で通じ合う二人……! だが、決勝戦にはあの憎き嫌味な男! 姫様との僅かな時間もその男に邪魔されてしまう。そしてここでリアム氏と姫様の身分差が明かされる。そう、何を隠そう。リアム氏は貧民の出なのだ。そして少年時代に姫様に救われた経験があり、姫様の為に仕える事を決意した訳だな」
「盛り上がってきた!!」
「そして決勝戦の前の夜。姫様と二人だけの時間を過ごす事が出来たリアム氏は、そこで姫様からお別れを告げられる。決勝戦を棄権して欲しいと」
「何故だ!!」
「愛し合っていたのではないのか!?」
「愛し合っていたからだ! 愛していたからこそ、決勝戦で当たる危険な男とリアム氏が戦ってほしくなかったのだ。おそらくこの辺りで、姫様の回想が挟まり、嫌味な男が姫様にリアム氏の命を奪う的な事を言っているシーンが挟まるだろう」
「ハァー! コイツ!」
「クソ野郎ってすぐこういう事するよな」
「しかし、そんな姫様の愛に気づいたリアム氏は、こう返すんだ。『明日の決勝戦は見ててください』と! しかし姫様は首を振る。そんな姫様に……! リアム氏は!! ただ笑ってその場を立ち去るのだ。決して負けぬと、姫様を護るという覚悟を心に決めながら!!」
「かぁー! これこれ!」
「男とはやはりペラペラと言葉で語らぬ生物。背中で語るのだ」
「それで、それでどうなるんだ!!」
「今、ここにリアム氏が姫様と共に居る。それが全ての答えだろう」
「「「うぉおぉおおおおお!!!」」」
「どんな戦いだったんだ」
「気になるか?」
「あぁ! 気になる!」
「ならば、いつも通り、ペンを手に取れ! そして自らの手で描くのだ!! 理想とするシーンを! 理想とするエンディングを!!」
「うぉぉおおお!!」
「これは、我らが神話の続きを描くという行為だ。では背信行為だろうか? 否。否だ。これは信仰なのだ。神の御意思に、より近づく為に、その足元へ跪く為に! 我らは神の頂を目指そう!!」
「うぉぉぉおおお!!!」
「やるぞやるぞー!!」
「やってやる! やってやるぞー!!」
「俺は今日こそ神の居る場所へ行くんだ!!」
凄い熱狂だった。
それに圧倒された私は、すぐ傍に居たリアムさんと目を合わせながら訳も分からず頷くのだった。
陰魔の里は、私が考えているよりも凄い場所なのかもしれない。
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