聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第24話『魔物は魔物。種族等はなく、ただそういう存在です』②

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リアムさん達が聞いて来た情報を元に、私たちは旅の次なる目標を南東にある草原地帯へと定めた。

「しっかし、オークかぁ。俺、オークって会った事無いんだけど、どういう連中なんだ? 知ってる奴は居るか?」

「はい。私が多少知ってます」

「あ、そうなんだ。アメリアちゃんは博識だねぇ」

「いえいえ。それほどでもありませんよ」

フィンさんの疑問に応えながら、私はオークさんとの記憶を思い返していた。

確か初めて会ったのは獣人さん達と同じ頃だったと思う。

「オークさんというのは、知性を持った魔物の一部が姿を変えた種族の事で、自らを『魔力を持った動物』である魔物ではなく『魔力を持った新たなる種族』という事で魔族と名乗っている様ですね」

「あー。魔族ってそういう意味なんだ。確か淫魔とかオーガとかもそうよね?」

「はい。そうですね」

「ん? そいつらと獣人は何が違うんだ? 獣人も確か獣が人みたいに生活し始めたから獣人なんだろ? そいつらも同じじゃないか」

「リアム。アンタそんな事も知らないの?」

「あァ? テメェも今同じ様な事聞いてただろうが」

「全然違うわよ。私は元々どういう種族なのかあやふやな存在を確認しただけ。獣人と魔族はね。体の中に蓄えられる魔力量が違うのよ。そうでしょ? アメリア」

「はい。そうですね」

「あぁ。なるほどな。そういう事か」

「えっと、ごめん。姉ちゃん。俺、まだよく分かんないや」

「いえいえ。大丈夫ですよカー君。では分かるところから説明しましょうか。カー君は魔力という物がどういう物かご存知ですか?」

「んー。何となく。魔術を使う時に無くなる奴だろ?」

「そうですねぇ。大体はそれで合っています。しかしもっと詳しく言うと、魔術を使う際にはカー君の体の中にある魔力を使っているんです」

「体の中」

カー君は自分のお腹を触りながら首を傾げた。

そしてそんなカー君に私は大きく頷きながら、続きを語る。

「そして持っている魔力が多ければ多い程沢山魔術が使えます。ここまでが魔術と魔力のお話です」

「うん」

「そして獣人さんと魔族さんの違いについてですが、先ほどキャロンさんが言った通り、魔族さんと獣人さんの一番大きな違いは持っている魔力の量が違うという点です。獣人さんは元々持っている魔力量が少なく、どちらかと言えば私たち人に近い存在です。その為、人族に属する獣人さんという種族になる訳ですね」

「あー! そっかー! じゃあ、魔族は元々魔力の多い種族で、魔族っていう括りの中のオークとか、オーガとかそういう種族なんだ」

「はい。その通りです」
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