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第21話『どうなんでしょう? 私も変な匂いします? 自分ではわからなくて』③
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そして、どれだけ歩いただろうか。
隠れる様に言われ、私はキャロンさんと一緒に草むらに身を隠した。
そして、僅かな隙間から先を見る。
そこには湖というには小さく、池というには大きい絶妙な大きさの水溜まりが広がっていた。
しかもそこだけ木々が少ないからか、空から差し込む光が水面をキラキラと輝かせている。
実に綺麗な光景だ。
そしてその湖の上でエルフと思われる特徴的な耳の形をした女性たちが楽しそうに水浴びをしているのだった。
中には子供もいる様で、私は一人の子をジッと見ていたのだが、その子と視線が合うのを感じた。
しかし、すぐ横に立っていたエルフの人に耳打ちされ、その子は見えなかったフリをする様に視線を外し、また水浴びをする。
……何か変だ。
「キャロンさん」
「シッ。静かに」
「……はい」
私は横に居るキャロンさんに話しかけるが、キャロンさんは少し怖い顔で黙る様に言ってきた為、私は口を両手で塞いで再び湖に視線を移した。
そして、一人一人を観察していると、やはりおかしい事に気づく。
おそらくだけど、全員こちらに気づいているのだ。
それなのに、気づかないフリをして水浴びをしている。
なんだろう? 何かの罠?
でも、人数は向こうの方がずっと多いし、魔力だってエルフらしくかなり多く持っている様に見える。
普通に戦ってもこちらに勝ち目は無いだろう。
なら、何が目的なんだろうか。
「思っていたよりも数が多いわね。出て行って争いになるのは嫌だし。さっさと帰ってくれればいいんだけど」
「キャロンさん」
「後にして。アメリア」
「はぁい」
んー。どうしよう。何かこうトラブルにならない程度に向こうの様子を探りたい。
冗談で済む程度の……。
あ。そうか。
私は精霊にお願いして、指先に水を集め、それをエルフに向かって打ち出した。
ただ、距離が結構ある為、途中で落ちない様に速さはそれなりに速くしておく。
あー。ついでに水を丸くしておく方が良いのかな。
あ、いや。丸より、こう先を尖らせた方が良いかな。土を掘るイメージで……ドーン!
そして私は草むらから水を打ち出した。
「っ!? アメリア!?」
「うぉぉおおお!!!? あっぶなっ!?」
私の放った球は草むらから勢いよく飛び出して、すぐ近くにいたエルフの人のすぐ背後にあった木に打ち込まれ、その木を倒した。
「何をやってんのアメリア!」
「なんだお前!! 私を殺す気か!!」
「え? え?」
勢いよくこちらへ突っ込んできたエルフと、一緒に隠れていたキャロンさんに同時に怒られ私はオロオロとしてしまい、どちらに返事をすれば良いか分からなくなってしまった。
「何か切っ掛けを作りたかったにしてもやり過ぎよ!」
「見ろ! あの木を! 私が超絶最強天才エルフでなかったら今頃あの木が私になっていた所だ!」
「いや、あの。あの」
「そもそも気づいて欲しくても本人を狙っちゃ駄目でしょ!」
「水を出すなら指じゃ無いだろ! 棒から出せ! もしくは〇〇からな!」
「ご、ごめんなさい! ごめんなさい!」
私は怖い二人に何度も謝るのだった。
隠れる様に言われ、私はキャロンさんと一緒に草むらに身を隠した。
そして、僅かな隙間から先を見る。
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実に綺麗な光景だ。
そしてその湖の上でエルフと思われる特徴的な耳の形をした女性たちが楽しそうに水浴びをしているのだった。
中には子供もいる様で、私は一人の子をジッと見ていたのだが、その子と視線が合うのを感じた。
しかし、すぐ横に立っていたエルフの人に耳打ちされ、その子は見えなかったフリをする様に視線を外し、また水浴びをする。
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そして、一人一人を観察していると、やはりおかしい事に気づく。
おそらくだけど、全員こちらに気づいているのだ。
それなのに、気づかないフリをして水浴びをしている。
なんだろう? 何かの罠?
でも、人数は向こうの方がずっと多いし、魔力だってエルフらしくかなり多く持っている様に見える。
普通に戦ってもこちらに勝ち目は無いだろう。
なら、何が目的なんだろうか。
「思っていたよりも数が多いわね。出て行って争いになるのは嫌だし。さっさと帰ってくれればいいんだけど」
「キャロンさん」
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「はぁい」
んー。どうしよう。何かこうトラブルにならない程度に向こうの様子を探りたい。
冗談で済む程度の……。
あ。そうか。
私は精霊にお願いして、指先に水を集め、それをエルフに向かって打ち出した。
ただ、距離が結構ある為、途中で落ちない様に速さはそれなりに速くしておく。
あー。ついでに水を丸くしておく方が良いのかな。
あ、いや。丸より、こう先を尖らせた方が良いかな。土を掘るイメージで……ドーン!
そして私は草むらから水を打ち出した。
「っ!? アメリア!?」
「うぉぉおおお!!!? あっぶなっ!?」
私の放った球は草むらから勢いよく飛び出して、すぐ近くにいたエルフの人のすぐ背後にあった木に打ち込まれ、その木を倒した。
「何をやってんのアメリア!」
「なんだお前!! 私を殺す気か!!」
「え? え?」
勢いよくこちらへ突っ込んできたエルフと、一緒に隠れていたキャロンさんに同時に怒られ私はオロオロとしてしまい、どちらに返事をすれば良いか分からなくなってしまった。
「何か切っ掛けを作りたかったにしてもやり過ぎよ!」
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「いや、あの。あの」
「そもそも気づいて欲しくても本人を狙っちゃ駄目でしょ!」
「水を出すなら指じゃ無いだろ! 棒から出せ! もしくは〇〇からな!」
「ご、ごめんなさい! ごめんなさい!」
私は怖い二人に何度も謝るのだった。
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