聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第15話『これはつまり、私たちが成長したという事なのではないでしょうか?』①

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いつも通りの旅をして、いつも通り人助けをした後、リアムさんに抱えられつつ進んで、私たちは無事聖都のすぐ近くまで到着した。

四日ほど掛かったが、ここまでの旅路を考えると、かなりの速さで着いたと思う。

「これはつまり、私たちが成長したという事なのではないでしょうか?」

「んな訳あるか。遅れの原因その一。単純にダキンと聖都の距離が近かっただけだ」

「あぅー」

「ちょっとリアム。そんなにアメリアを責めないでくれる? 乱暴に言えば女が従うと思ってるのはどうかと思うわよ。アタシは」

「黙ってろ。遅れの原因その二。お前が飲み過ぎて動けなくなる度にこっちは進めなくなってんだぞ」

「しょうがないでしょ。気持ち悪かったんだから」

「飲み過ぎだ!! 少しは抑えろ!」

「あのね。アタシにとってこれはエネルギーの源なの。魔術における魔力と同じ。これがなきゃ何も出来ないのよ!」

「何を偉そうにダメ人間発言してやがる。体調崩す度にアメリアに頼りやがって」

「しょうがないでしょ! お酒を飲んで感じてた痛みを一度だけってアメリアに頼んだら、すっごく良くなったんだから。そしたら一時的に飲まずにいられるけど、すぐ飲みたくなるし。もう飲むしか無いでしょ! でも飲んだら頭が痛くなって、でもアメリアが治してくれるから……! 完璧! ここに完全なシステムが生まれたわ!」

「どこがだ!」

リアムさんとキャロンさんがここ数日で見慣れた言い争いをしているのを見ながら、私はお夕飯の準備をしていた。

いつも通り、レッドリザードくんに火はお願いしている。

最初はキャロンさんが火を付けると言って、何故かレッドリザードくんと争う様な事になったけれど、戦闘はキャロンさん。日常的な火はレッドリザードくんという事になった。

何ごとも役割分担は大事である。

という訳で、私は私の役割。料理を担当しているのだが……。

「今日は辛口ね。アメリア」

「あー」

「おいおい。何言ってんだよ。ここは甘めで頼むぜ。辛いのは得意じゃ無いんだ」

「女遊びばかりしているから、そういう口になる。大人しく辛いのを食え」

「俺は辛いのでも大丈夫だぜ!?」

「カー君。お前、そう言ってこの前も食べられなかっただろ」

「カー君言うな!! 俺はもう大人になったんだ! そのくらい大丈夫だ!」

「いや、あの。皆さん? 食べる人によって味を変えますから。大丈夫ですよ」

「それじゃアメリアに負担でしょ。文句言ってるのフィンだけなんだから、良いのよ味を合わせて」

「そもそもさ。アメリアちゃんは辛いの苦手なんだけど? その辺は無視か?」
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