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第12話『私にいい考えがあります!』②
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「あの! お酒を下さい!」
「……あのな。お嬢ちゃん。ここは大人の店だ。お嬢ちゃんは別の店に行って果汁水でも飲んでな」
「果汁水はまた今度飲みます。今はお酒が飲みたいので、お酒を下さい!」
「話聞いてたか? お嬢ちゃんには売れねぇって言ってんだ」
「あ、そうだったのですね。これは申し訳ございません」
私はカウンターから離れてフィンさんに向き直る。
「フィンさん。ごめんなさい。私では買えないようです。フィンさんに買って貰っても良いですか? お酒を体験してみたいです」
私がフィンさんにお酒をお願いした瞬間、周囲の空気が変わった。
何だろう。張り詰めたような空気だ。
「え? あれ?」
「ちょっ! アメリアちゃん!!」
「え? どうしたんですか?」
焦るフィンさんに手を握られるが、別の所から伸びてきた手が私を抱き上げて、別の席に座らせる。
「え? え!?」
「いやー。危ない所だったわね。お嬢ちゃん。この街はさ。人が多いから、騙そうって奴も大勢いるんだよ。気を付けるんだね」
そのお姉さんは私を抱きかかえたまま、テーブルに置いてあったコップに口をつける。
……もしかしてお酒だろうか。
飲ませて貰える様に頼んでみるべきか。
「アメリアちゃん!!」
「っ! あ! フィンさん。ごめんなさい。忘れてました」
「勘弁してよ。っと、なんだ? アンタ」
「別にぃ? わるーい男に騙されそうな純朴な女の子を見つけたら、助けるのが人情ってモンでしょ?」
「生憎と俺とアメリアちゃんはそういう関係じゃないよ」
「そうかい。お前たち。やっちまいな!」
「っ!」
お姉さんの言葉を合図として、周囲に居た大きい男の人たちが一気にフィンさんに襲い掛かった。
私は助けに行こうとしたけれど、お姉さんに腰を掴まれていて動く事が出来ない。
「おっと。危ないよ。お嬢ちゃん。あーいや。アメリアちゃんだったか」
「いえ、あの。私、フィンさんとはお友達で」
「あぁいう男はそういう風に近寄って来るもんさ。欲望を隠してね」
「そうではなくてですね」
「ん? ちょっと待ってな。お嬢ちゃんの話は後だ。どうやらあの男。ただの遊び人という訳でも無いらしい」
お姉さんに再び椅子へ座らされ、フィンさんが居た方を見ると、フィンさんが険しい顔をして一人立っていたのだった。
先ほど襲い掛かっていた人たちは皆、床に倒れている。
怪我は無いようだけれど、一応後で癒しておこうと思う。
「さぁ、アメリアちゃんを解放してもらおうか」
「嫌だね」
「……」
「アタシを従わせる事が出来るのはアタシより強い奴だけだ。それはアンタだって同じだろう?」
「なるほど。そういうタイプか」
「そう。そういうタイプさ」
「なら後悔するなよ」
「ふふ。随分と強気じゃ無いのさ。それともアタシの事を舐めてるクチかな」
「……あのな。お嬢ちゃん。ここは大人の店だ。お嬢ちゃんは別の店に行って果汁水でも飲んでな」
「果汁水はまた今度飲みます。今はお酒が飲みたいので、お酒を下さい!」
「話聞いてたか? お嬢ちゃんには売れねぇって言ってんだ」
「あ、そうだったのですね。これは申し訳ございません」
私はカウンターから離れてフィンさんに向き直る。
「フィンさん。ごめんなさい。私では買えないようです。フィンさんに買って貰っても良いですか? お酒を体験してみたいです」
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何だろう。張り詰めたような空気だ。
「え? あれ?」
「ちょっ! アメリアちゃん!!」
「え? どうしたんですか?」
焦るフィンさんに手を握られるが、別の所から伸びてきた手が私を抱き上げて、別の席に座らせる。
「え? え!?」
「いやー。危ない所だったわね。お嬢ちゃん。この街はさ。人が多いから、騙そうって奴も大勢いるんだよ。気を付けるんだね」
そのお姉さんは私を抱きかかえたまま、テーブルに置いてあったコップに口をつける。
……もしかしてお酒だろうか。
飲ませて貰える様に頼んでみるべきか。
「アメリアちゃん!!」
「っ! あ! フィンさん。ごめんなさい。忘れてました」
「勘弁してよ。っと、なんだ? アンタ」
「別にぃ? わるーい男に騙されそうな純朴な女の子を見つけたら、助けるのが人情ってモンでしょ?」
「生憎と俺とアメリアちゃんはそういう関係じゃないよ」
「そうかい。お前たち。やっちまいな!」
「っ!」
お姉さんの言葉を合図として、周囲に居た大きい男の人たちが一気にフィンさんに襲い掛かった。
私は助けに行こうとしたけれど、お姉さんに腰を掴まれていて動く事が出来ない。
「おっと。危ないよ。お嬢ちゃん。あーいや。アメリアちゃんだったか」
「いえ、あの。私、フィンさんとはお友達で」
「あぁいう男はそういう風に近寄って来るもんさ。欲望を隠してね」
「そうではなくてですね」
「ん? ちょっと待ってな。お嬢ちゃんの話は後だ。どうやらあの男。ただの遊び人という訳でも無いらしい」
お姉さんに再び椅子へ座らされ、フィンさんが居た方を見ると、フィンさんが険しい顔をして一人立っていたのだった。
先ほど襲い掛かっていた人たちは皆、床に倒れている。
怪我は無いようだけれど、一応後で癒しておこうと思う。
「さぁ、アメリアちゃんを解放してもらおうか」
「嫌だね」
「……」
「アタシを従わせる事が出来るのはアタシより強い奴だけだ。それはアンタだって同じだろう?」
「なるほど。そういうタイプか」
「そう。そういうタイプさ」
「なら後悔するなよ」
「ふふ。随分と強気じゃ無いのさ。それともアタシの事を舐めてるクチかな」
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