聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第12話『私にいい考えがあります!』①

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フィンさんと街の中を歩き回っていた私だったが、想像していたよりも街が広く、探し人は中々見つからなかった。

しかし、しかーしである。

私にはとっておきの秘策があった。

「んー。誰に聞いても知らないって言うし。本当に居るのかねぇ。その最後の聖人はさ」

「フィンさん!」

「どうしたんだい? アメリアちゃん」

「私にいい考えがあります!」

「いい考え?」

「はい。酒場へ行きましょう!」

私は不思議そうな顔をしているフィンさんの手を引っ張って、すぐ近くに見えていた酒場へと向かった。

「え? どうして酒場なんだい?」

「それはですね! 酒場にはフィンさんが居たからです! それに、リアムさんも酒場へはよく行くと言っていました」

「あー。なんて言うかな。それはまぁ、酒を飲む為というか」

「お酒ですか?」

「そう。酒場はその名の通り、酒を売っている場所なんだけどね。その酒を飲む為に俺たちは酒場へ行っているんだよ。だからその聖人も酒好きじゃ無いと」

「それなら大丈夫です! リアムさんもフィンさんもお酒が好きですし。カー君も興味がありそうでした! つまり、聖人の方は皆お酒が好き! これは間違いありません」

「いや、凄く否定しにくいんだけど、そのメンバーだけで話すのは……ちょっと。あ、ほら。アメリアちゃんも酒は飲まないでしょ?」

「んー。確かに」

私は立ち止まってから考える。

確かにフィンさんの言う通り、私とリリィはお酒を飲んだことが無いからだ。

しかし、飲んだことが無いのなら飲んでみるべきである。

「つまり、飲んでみれば分かるという事ですね! 分かりました! 頑張ります!」

「え? いや、そういう意味じゃ無くて……! アメリアちゃーん!?」

私は扉を勢いよく開け、中に足を踏み入れた。

「たのもー!」

「なんか前も同じような事言ってたよね? 好きなの? その言葉」

「はい! 格好良くて好きです!」

私はフィンさんに応えつつ、店の奥に向かって突き進む。

一応酒場の中に居る人の右手を見て、証が無いか確認しながら。

そして木製のカウンターに両手を付いて、奥に居る怖そうな顔のオジサンに話しかけた。
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