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第10話『私、レッドリザードくんと大親友なんです!』①
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カー君を旅のメンバーに加えた私達は、次なる聖人の居る場所へ向かって突き進んでいた。
順調。順調である。
順調なのである!!
「何度言ったら分かるんだ? お前は」
「……はぃ」
「闇は日に日に力を増している。それはお前も理解しているな?」
「はぃ」
「だというのに、寝転がっているジジイが居たというだけで駆け寄り、道の途中で休んでいるババアが居たというだけで話しかけ、泣いているガキを見かけたら飛びつく。お前に学習能力は無いのか?」
「ありません!! あっ、いたい! いたい! あたまグリグリしないで下さい! 反省してます! 反省してますから!」
リアムさんはいつもの様に腰に手を当てながら私の頭に拳を当てて、強く押し付けていた。
しかし、負けない!
私は負けないぞ! 困っている人がそこに、って、いたたたたたた!
「痛い! 痛いです! 反省しているって言ったのに!」
「お前、最近ソレを言えば許されると思ってるだろ? 別に許されねぇからな? それに、目が反省してねぇって言ってんだよ」
「う、うぅ」
「俺だってこういう事は言いたかねぇが、こうも連続しちゃあ言わなきゃダメなんだ。分かるだろ?」
「……はぃ」
「最初。次の街に行くまでに三日の予定だった。どっかのガキのせいで三日間、完全に足止めされたが、これはもう良い。だが、そこからさらに三日が経って? 今、ここは何処だ!?」
「街までもうちょっとの所にある村ですね!」
「ほー。お前はそういう認識なんだな?」
「あ、いえ、その……ちょっとだけ街まで遠いかもしれませんね」
「ちょっと?」
「えと、だいぶ」
「良く聞けアメリア! この辺りから街まで歩いて二日かかるんだ! つまり、俺達は三日かけて一日分の距離しか進めてねぇんだよ! 分かってんのか!? あァ!?」
「ひぇぇ。ごめんなさい。ごめんなさい」
「……と、まぁ……これまではこうやって怒って終わりだった。しかし。俺も学んだよ。アメリア」
「え? という事は」
もしかして困っている人の所へ行ってもよくなったのだろうか?
私は希望に満ちた目でリアムさんを見つめる。
しかし現実は残酷だった。
「アメリア。お前の目を塞ぐ。そして腰にロープを付け、勝手に動かないようにする」
「えぇ!? そんなぁ!」
「もしこれでもまだお前の暴走が止まらない様なら次は袋に詰めて運ぶからな」
「ひぇ」
リアムさんの目は本気であり、これ以上怒らせたら、本当に袋へ入れられるであろう事が分かった。
恐ろしい話だ。
順調。順調である。
順調なのである!!
「何度言ったら分かるんだ? お前は」
「……はぃ」
「闇は日に日に力を増している。それはお前も理解しているな?」
「はぃ」
「だというのに、寝転がっているジジイが居たというだけで駆け寄り、道の途中で休んでいるババアが居たというだけで話しかけ、泣いているガキを見かけたら飛びつく。お前に学習能力は無いのか?」
「ありません!! あっ、いたい! いたい! あたまグリグリしないで下さい! 反省してます! 反省してますから!」
リアムさんはいつもの様に腰に手を当てながら私の頭に拳を当てて、強く押し付けていた。
しかし、負けない!
私は負けないぞ! 困っている人がそこに、って、いたたたたたた!
「痛い! 痛いです! 反省しているって言ったのに!」
「お前、最近ソレを言えば許されると思ってるだろ? 別に許されねぇからな? それに、目が反省してねぇって言ってんだよ」
「う、うぅ」
「俺だってこういう事は言いたかねぇが、こうも連続しちゃあ言わなきゃダメなんだ。分かるだろ?」
「……はぃ」
「最初。次の街に行くまでに三日の予定だった。どっかのガキのせいで三日間、完全に足止めされたが、これはもう良い。だが、そこからさらに三日が経って? 今、ここは何処だ!?」
「街までもうちょっとの所にある村ですね!」
「ほー。お前はそういう認識なんだな?」
「あ、いえ、その……ちょっとだけ街まで遠いかもしれませんね」
「ちょっと?」
「えと、だいぶ」
「良く聞けアメリア! この辺りから街まで歩いて二日かかるんだ! つまり、俺達は三日かけて一日分の距離しか進めてねぇんだよ! 分かってんのか!? あァ!?」
「ひぇぇ。ごめんなさい。ごめんなさい」
「……と、まぁ……これまではこうやって怒って終わりだった。しかし。俺も学んだよ。アメリア」
「え? という事は」
もしかして困っている人の所へ行ってもよくなったのだろうか?
私は希望に満ちた目でリアムさんを見つめる。
しかし現実は残酷だった。
「アメリア。お前の目を塞ぐ。そして腰にロープを付け、勝手に動かないようにする」
「えぇ!? そんなぁ!」
「もしこれでもまだお前の暴走が止まらない様なら次は袋に詰めて運ぶからな」
「ひぇ」
リアムさんの目は本気であり、これ以上怒らせたら、本当に袋へ入れられるであろう事が分かった。
恐ろしい話だ。
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