30 / 198
第9話『大丈夫ですか!? 私が居ますからね! 大丈夫ですよ!』②
しおりを挟む
「大丈夫ですか!? 私が居ますからね! 大丈夫ですよ!」
しかし、そこに立っていたのは邪悪に笑うリアムさんと、驚いた様な呆れたような顔をしているフィンさんだった。
「まさか本当に出てくるとは」
「言っただろう? コイツはそういう奴なんだ」
リアムさんは私の腰を持ち上げると、そのまま荷物を持つかの様に歩き始めた。
「ま、待って下さい! 少しだけ、待って下さい!」
「待たん。もう三日も無駄にしているんだぞ。今は一日でも早く前に進む。良いな。お前に拒否権は無い!」
「そ、そんな。カー君にお別れの言葉だけでも」
「必要ない。全てが終わってからにしろ!」
「姉ちゃんを離せ!!!」
「っ!?」
カー君の声が森に響いたと思ったら、リアムさんが私を抱えたまま跳び、次の瞬間には地面に小さな刃物を持ったカー君が立っていた。
その顔は怒りに染まっている。
「お前たち、まだ姉ちゃんを狙っていたのか! 姉ちゃんは俺の姉ちゃんだ! 勝手に連れて行くな!」
「フン。クソガキ。この女はお前には勿体ない。家族ごっこがやりたいのなら別の奴とやれ」
「うるさい! 家族なんて俺にはもう居ないんだ! 姉ちゃんだけが俺の家族なんだ!」
「チッ。めんどくせぇな。たった三日で懐かれやがって」
「ご、ごめんなさい」
「そう思うんなら気を付けて貰いたいもんだ」
「いやっ、そっちで喋ってないで、少しは手伝ってくれよ!」
私はリアムさんに抱えられたまま、話をしていたが、フィンさんは一人でカー君の相手をしており、心なしか押されている様にも見える。
森で一人で生きているカー君はどうやら大人と同じくらい強い様だった。
「やれやれ。普段デカい口を叩いている割にはガキに押されてるのか。大したこと無いんだな。お前」
「そう言うなら、お前がやれ! このガキ、なんかやけに強ぇんだ!」
「はぁ?」
リアムさんは訳が分からないとでも言いたげな顔で私をその辺に捨てると、そのまま剣を抜いてカー君に迫った。
しかしカー君は二人を相手にしているというのに、それほど苦労せず攻撃をかわしているようだった。
「チッ! おい! 邪魔だ!」
「邪魔なのはお前だ! リアム!」
「あァ!?」
いや、違う。
リアムさんとフィンさんの仲が悪すぎて、喧嘩しているだけだ!
三日間二人きりで過ごしていたのに、全然仲良くなってないんだ……。
「姉ちゃんは、渡さない!!」
「っ!」
「コイツ! その証は」
そして、リアムさんとフィンさんの仲が悪すぎる以外にも、カー君が強い原因があった様だ。
それはカー君の右手に輝くモノ。聖人の証だ。
リアムさん曰く、証の力を使うだけで普通の人よりずっと強くなるらしい。
だから、証の力を使っていないリアムさんとフィンさんはカー君に負けているという事だろう。
しかし、カー君が証を持っているというのであれば、ここで争う理由はない。
しかし、そこに立っていたのは邪悪に笑うリアムさんと、驚いた様な呆れたような顔をしているフィンさんだった。
「まさか本当に出てくるとは」
「言っただろう? コイツはそういう奴なんだ」
リアムさんは私の腰を持ち上げると、そのまま荷物を持つかの様に歩き始めた。
「ま、待って下さい! 少しだけ、待って下さい!」
「待たん。もう三日も無駄にしているんだぞ。今は一日でも早く前に進む。良いな。お前に拒否権は無い!」
「そ、そんな。カー君にお別れの言葉だけでも」
「必要ない。全てが終わってからにしろ!」
「姉ちゃんを離せ!!!」
「っ!?」
カー君の声が森に響いたと思ったら、リアムさんが私を抱えたまま跳び、次の瞬間には地面に小さな刃物を持ったカー君が立っていた。
その顔は怒りに染まっている。
「お前たち、まだ姉ちゃんを狙っていたのか! 姉ちゃんは俺の姉ちゃんだ! 勝手に連れて行くな!」
「フン。クソガキ。この女はお前には勿体ない。家族ごっこがやりたいのなら別の奴とやれ」
「うるさい! 家族なんて俺にはもう居ないんだ! 姉ちゃんだけが俺の家族なんだ!」
「チッ。めんどくせぇな。たった三日で懐かれやがって」
「ご、ごめんなさい」
「そう思うんなら気を付けて貰いたいもんだ」
「いやっ、そっちで喋ってないで、少しは手伝ってくれよ!」
私はリアムさんに抱えられたまま、話をしていたが、フィンさんは一人でカー君の相手をしており、心なしか押されている様にも見える。
森で一人で生きているカー君はどうやら大人と同じくらい強い様だった。
「やれやれ。普段デカい口を叩いている割にはガキに押されてるのか。大したこと無いんだな。お前」
「そう言うなら、お前がやれ! このガキ、なんかやけに強ぇんだ!」
「はぁ?」
リアムさんは訳が分からないとでも言いたげな顔で私をその辺に捨てると、そのまま剣を抜いてカー君に迫った。
しかしカー君は二人を相手にしているというのに、それほど苦労せず攻撃をかわしているようだった。
「チッ! おい! 邪魔だ!」
「邪魔なのはお前だ! リアム!」
「あァ!?」
いや、違う。
リアムさんとフィンさんの仲が悪すぎて、喧嘩しているだけだ!
三日間二人きりで過ごしていたのに、全然仲良くなってないんだ……。
「姉ちゃんは、渡さない!!」
「っ!」
「コイツ! その証は」
そして、リアムさんとフィンさんの仲が悪すぎる以外にも、カー君が強い原因があった様だ。
それはカー君の右手に輝くモノ。聖人の証だ。
リアムさん曰く、証の力を使うだけで普通の人よりずっと強くなるらしい。
だから、証の力を使っていないリアムさんとフィンさんはカー君に負けているという事だろう。
しかし、カー君が証を持っているというのであれば、ここで争う理由はない。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる