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第5話『私が行かねば他の方が危険な目に遭うだけです』②
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それから私は貧民街と呼ばれる場所の方々を癒し、日が落ちる頃には魔力が削れ過ぎた為、宿屋の借りている部屋で泥の様に眠るのだった。
そして翌日私は目を覚ましてすぐ起き上がり、ベッドの横に座っていたリアムさんへ視線を向ける。
昨日の事がバレていなければ良いのだけれど、不安だ。怒られないだろうか。
それに、今日だって、まだ癒す人は残っているのだ。
それもどうやって説得するか……。
「あ、あの。リアムさん」
「アメリア。俺は今日も用事がある。お前はここで寝てろ」
「え!? 本当ですか!?」
なんと! 凄い幸運である。
まさかリアムさんから用事があると言ってくれるとは。
「……嬉しそうだな」
「そ、そそそそんな事は無いですよ!?」
「フン。なら良いがな」
私は何度も首を上下に振り、問題ないと告げる。
リアムさんはいつもの様に鼻を鳴らしながら、椅子から立ち上がると明日には町を出るからなと告げ、部屋から出て行った。
一人部屋に残された私はふぃーっと息を吐いて、よしと頷きながらベッドから起き上がって宿屋の主さんにお願いし、また貧民街へと向かうのだった。
そして、何とか全員を癒し終わり、ベッドまでたどり着いて眠りの世界へと旅立った。
達成感を胸に抱きながら。
翌日、私たちは予定通り町を出て、次なる目的地を目指す。
「占い師によれば次の町では聖なる刻印を持っている奴がいるらしい」
「そうなんですね!」
「はぁ。これでようやく三人か。先が思いやられるよ」
「大変ですね。リアムさん」
「……」
「リアムさん?」
「おい。アメリア」
「はい! なんでしょうか!?」
「ちょっとこっちに来い」
「はい」
私は少し離れていたリアムさんとの間にある距離を小走りで埋めて、すぐ間近に移動した。
そしてその直後に頭を掴まれて、締め付けられてしまう。
「あっ、あう! あぅぅ!」
「誰のせいだと思ってるんだ!? 誰の!!」
「ご、ごめんなさい! 私のせいですぅー!」
そして翌日私は目を覚ましてすぐ起き上がり、ベッドの横に座っていたリアムさんへ視線を向ける。
昨日の事がバレていなければ良いのだけれど、不安だ。怒られないだろうか。
それに、今日だって、まだ癒す人は残っているのだ。
それもどうやって説得するか……。
「あ、あの。リアムさん」
「アメリア。俺は今日も用事がある。お前はここで寝てろ」
「え!? 本当ですか!?」
なんと! 凄い幸運である。
まさかリアムさんから用事があると言ってくれるとは。
「……嬉しそうだな」
「そ、そそそそんな事は無いですよ!?」
「フン。なら良いがな」
私は何度も首を上下に振り、問題ないと告げる。
リアムさんはいつもの様に鼻を鳴らしながら、椅子から立ち上がると明日には町を出るからなと告げ、部屋から出て行った。
一人部屋に残された私はふぃーっと息を吐いて、よしと頷きながらベッドから起き上がって宿屋の主さんにお願いし、また貧民街へと向かうのだった。
そして、何とか全員を癒し終わり、ベッドまでたどり着いて眠りの世界へと旅立った。
達成感を胸に抱きながら。
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「占い師によれば次の町では聖なる刻印を持っている奴がいるらしい」
「そうなんですね!」
「はぁ。これでようやく三人か。先が思いやられるよ」
「大変ですね。リアムさん」
「……」
「リアムさん?」
「おい。アメリア」
「はい! なんでしょうか!?」
「ちょっとこっちに来い」
「はい」
私は少し離れていたリアムさんとの間にある距離を小走りで埋めて、すぐ間近に移動した。
そしてその直後に頭を掴まれて、締め付けられてしまう。
「あっ、あう! あぅぅ!」
「誰のせいだと思ってるんだ!? 誰の!!」
「ご、ごめんなさい! 私のせいですぅー!」
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