聖女の証

とーふ(代理カナタ)

文字の大きさ
上 下
10 / 198

第3話『あなたはいったい何のために、世界を救うんですか!?』③

しおりを挟む
リアムさんは、そう言うとさっさと先を目指して歩き始めた。

しかし、私は悩み、迷った後、覚悟を決めて頷く。

そして、隣村の方へ足を向け駆けだそうとした……が、リアムさんに捕まってしまう。

「っ!? アメリア!? 何をやってる!!」

「リアムさん! 私、ちょっと隣村に行きます!」

「はぁ!? お前、話、聞いてたのか!?」

「聞いてました! なので、リアムさんは先を急いでください! 私も隣村が大丈夫になったのを確認してから後を追います!」

「バカを言うな! 言っただろう!? 聖なる刻印を持つ奴らを全員集めて、世界を救う必要があるんだ!」

「分かってます! なので、私も必ず後から追いつきます!」

「そうじゃない! 分かってるのか!? 俺たちは、世界を!」

「リアムさんは! あなたはいったい何のために、世界を救うんですか!?」

「は!? 何のために、って」

「私は、この世界に住む人を助ける為に、世界を救うんだと思います。だから、隣村の人が襲われているのなら、その人たちを助ける事だって、世界を救うって事と同じ事なのでは無いでしょうか!?」

私はとにかく先を急ぎたくて、リアムさんの腕の中で暴れていたのだが、リアムさんが力を抜いた事で地面に落ちてしまう。

しかし、これはチャンスだとそのまま走り出そうとした。

けれど、またすぐにリアムさんに捕まってしまう。

また離して欲しいと訴えようとした……が、リアムさんは溜息を一つ吐くと、そのまま私を抱えて凄い勢いで隣村に向かって走り出すのだった。

「お前の足じゃ遅くなる。行くなら最速だ。最速で行って最速で終わらせる。良いな?」

「リアムさん……! ありがとうございます!」

「フン。礼なんて要らん。お前を説得するより、こうした方が速いと思っただけだ」

「ふふ、ありがとうございます」

「チッ」

風の様な速さで木々の間を駆け抜けたリアムさんと私は、視界の先で魔物に襲われている人を見つけた。

私は急いで風の魔術でその人を護り、私を空に投げたリアムさんがすれ違いに魔物を腰の剣で両断する。

「リアムさん。私はこのまま空から村の人を護ります!」

「分かった。なら、俺は……奴らを全て倒すだけだな!」

私は空に浮遊魔術を使い、目に見える村の人たちを護る為に風の魔術を使いながら、魔物を風の魔術を使って拘束し、リアムさんをサポートした。

しかし、そんな事をしなくてもリアムさんの強さは圧倒的で、あっという間に魔物は全て倒されるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異界冒険譚シリーズ 【エリカ編】-迷い子の行く先-

とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
少女はその世界で孤独だった。 家族は彼女を疎み、友人は彼女から離れていった。 孤独は人の命を容易く奪う。 少女はその世界で生きる事を諦めていたが、たった一つ、残された糸が少女を生かし続けていた。 そしてその糸は、世界を超え、異世界へと繋がる。 これは孤独に潰されそうな少女が、新しい世界に希望を見出す物語。 ☆☆本作は異界冒険譚シリーズと銘打っておりますが、世界観を共有しているだけですので、単独でも楽しめる作品となっております。☆☆ その為、特に気にせずお読みいただけますと幸いです。

異界冒険譚シリーズ 【オリヴィア編】-語られぬ者たちの物語-

とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
聖女アメリアによって、大いなる闇の力が封印された平和が訪れた世界。 しかし、闇は完全に消えてはいなかった! 闇は意思を持ち、『魔王』という名の存在になって復活したのだ。 そして、聖女アメリアが次代の聖女として選んだ少女オリヴィアは聖女として魔王を倒す為の旅に出て……遂にその魔王を討伐する事に成功した。 しかし、聖女オリヴィアを含めた勇者一行は、魔王を完全に消し去る事が出来ず、その復活まで予言されてしまう。 また時が来れば復活してしまう魔王に、聖女オリヴィアは滅ぼすのではなく、封印という手段を取る……! そして、聖女オリヴィアは自身の力により子供となった魔王の力を奪い、善き魔王として生まれ変わらせる為に『教育』を始めるのだった。 これは聖女アメリアの素晴らしさを教え込む為にあらゆる手段を取る聖女オリヴィアと、そんなアメリア狂信者のオリヴィアから逃げようと奮闘する魔王の戦いの記録である。 ☆☆本作は異界冒険譚シリーズと銘打っておりますが、世界観を共有しているだけですので、単独でも楽しめる作品となっております。☆☆ その為、特に気にせずお読みいただけますと幸いです。

異界冒険譚シリーズ外伝【ミラ編前日譚】-その恋の始まりは、暗闇へと繫っている-

とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
その日、世界に一人の少女が誕生した。 彼女の誕生に人々は歓喜し、世界へ感謝を告げた。 その整った容姿、素晴らしい精神性は人々の心を惹きつけ、奪う。 しかし彼女の誕生は喜びばかりを人々に与えはしなかった。 そう。彼女を求め、争いが始まってしまったのだ。 これは一人の少女を巡り、戦う者たちの物語(かもしれない) ☆☆この物語は『異界冒険譚シリーズ【ミラ編】-少女たちの冒険譚-』の前日譚となっております。 単独でも読めますが、本編の方も読んでいただけると、より一層楽しめるかと思います!☆☆

異界冒険譚シリーズ【ミラ編】-少女たちの冒険譚-

とーふ(代理カナタ)
ファンタジー
この世界には数多の謎が存在する。 少女は未知を求めて、世界を駆ける。 抱えきれない程の本から得た知識と、何処までも世界を照らす希望を胸に。 これは世界に夢見る少女と、そんな少女に魅せられた者たちが織りなす物語。 ☆☆本作は正異界冒険譚シリーズと銘打っておりますが、世界観を共有しているだけですので、単独でも楽しめる作品となっております。 その為、特に気にせずお読みいただけますと幸いです。☆☆

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...