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第78話『恋の終わりと新しい始まり』(ナルシス視点)①
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(ナルシス視点)
かつて私の胸にはシーラ様への憧れがあった。多分恋もしていた。
しかし、その想いも時が過ぎれば薄れていって、ただ尊敬の念だけが残った。
そして次に恋を自覚したのは、レナにであった。
意見の違いからぶつかり合う関係ではあったが、そんな中でも、他者の為に戦う姿を見て、心を奪われた。
それからいくつかの事件を共に解決し、聖女と知って強く惹かれた。
しかし、レナの胸には既にシーラ様がおり、その想いの強さを知って、私はこの恋心を奥に隠す事にしたのだ。
レナがただ幸せであれば良いと。
それだけを考えて、レナがシーラ様と結ばれるまでは、何かの役に立ちたいとエルフの里まで付いてきた。
そして、こんな状況になって、更にレナの強さを知る事になるとは思わなかった。
「ただの人間じゃない!! 私は! 私は……! シーラちゃんの恋人だ!!!」
エルフの里に来て、シーラ様がどれだけエルフ達に慕われているか知っただろうに。
エルフに人間の常識が通じず、言葉で分かり合う事など出来ないであろう事は分かっていただろうに。
それでもレナは死など恐れず、愛の為に進むのだ。
強い。
それでこそレナだ。
「ヤスミン嬢。もしもの時はオリヴァー殿やエミリー殿と共に逃げてくれるか?」
「え? それは、まぁ私なんかが居てもしょうがないので、逃げますが……え? ナルシス様は」
「私は行く。例えこの命がここで消えようとも! 一度は愛した者の為に戦う!」
「……っ!」
ヤスミン嬢は私の言葉に目を見開き、オリヴァー殿とエミリー殿は笑う。
そして、トリスタン、ルイは私の背中を叩きながら、前に出てくるのだった。
「一人で格好つけるなよ。ナルシス」
「そうそう。僕らだって戦えるよ。シーラサマの為にね」
「レナの為に!」
「……お前たち」
「こうまで言われてはな。逃げるワケにはいかないだろう? エミリー」
「当然!」
私は幾千の味方を得た様な気持ちで私たちに背を向けているエルフに語り掛けた。
「そこのエルフ!」
「……なんだ。人間。こっちは今取り込み中で……」
「私はな! シーラ様に恋をして、しかも共に風呂に入った事もある!! この意味が分かるか!? シーラ様の裸を見た事があるのだ!!」
「っ!? な、なななな、なんだと!?」
「ヘン! そんなの僕だって何度もやってるよ! 僕なんて一緒に寝たこともあるもんね!」
「俺はシーラ様を抱きしめて寝た事もあったな」
「なんておぞましい種族なんだ。人間!」
「シーラを騙して!」
「それが人間だ。エルフ」
かつて私の胸にはシーラ様への憧れがあった。多分恋もしていた。
しかし、その想いも時が過ぎれば薄れていって、ただ尊敬の念だけが残った。
そして次に恋を自覚したのは、レナにであった。
意見の違いからぶつかり合う関係ではあったが、そんな中でも、他者の為に戦う姿を見て、心を奪われた。
それからいくつかの事件を共に解決し、聖女と知って強く惹かれた。
しかし、レナの胸には既にシーラ様がおり、その想いの強さを知って、私はこの恋心を奥に隠す事にしたのだ。
レナがただ幸せであれば良いと。
それだけを考えて、レナがシーラ様と結ばれるまでは、何かの役に立ちたいとエルフの里まで付いてきた。
そして、こんな状況になって、更にレナの強さを知る事になるとは思わなかった。
「ただの人間じゃない!! 私は! 私は……! シーラちゃんの恋人だ!!!」
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エルフに人間の常識が通じず、言葉で分かり合う事など出来ないであろう事は分かっていただろうに。
それでもレナは死など恐れず、愛の為に進むのだ。
強い。
それでこそレナだ。
「ヤスミン嬢。もしもの時はオリヴァー殿やエミリー殿と共に逃げてくれるか?」
「え? それは、まぁ私なんかが居てもしょうがないので、逃げますが……え? ナルシス様は」
「私は行く。例えこの命がここで消えようとも! 一度は愛した者の為に戦う!」
「……っ!」
ヤスミン嬢は私の言葉に目を見開き、オリヴァー殿とエミリー殿は笑う。
そして、トリスタン、ルイは私の背中を叩きながら、前に出てくるのだった。
「一人で格好つけるなよ。ナルシス」
「そうそう。僕らだって戦えるよ。シーラサマの為にね」
「レナの為に!」
「……お前たち」
「こうまで言われてはな。逃げるワケにはいかないだろう? エミリー」
「当然!」
私は幾千の味方を得た様な気持ちで私たちに背を向けているエルフに語り掛けた。
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「……なんだ。人間。こっちは今取り込み中で……」
「私はな! シーラ様に恋をして、しかも共に風呂に入った事もある!! この意味が分かるか!? シーラ様の裸を見た事があるのだ!!」
「っ!? な、なななな、なんだと!?」
「ヘン! そんなの僕だって何度もやってるよ! 僕なんて一緒に寝たこともあるもんね!」
「俺はシーラ様を抱きしめて寝た事もあったな」
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「シーラを騙して!」
「それが人間だ。エルフ」
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