愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

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第74話『エルフの里へ』(レナ視点)②

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エミリーさんは明らかに苛立った様子で、私を睨みつけると、腕を組んで、近くの椅子に座った。

何か衝撃的なほどに怒ってる。

見た事がない姿だ。

「すまないな。それでシーラ様の居場所だったか。俺も正確な位置は知らないが……しかし、場所はだいたい想定できる」

「おぉー! ありがとうございます!」

「ただし、今まで誰一人として人間は立ち入った事のない場所だ。何が起きるか分からん。命の保証は出来ないぞ」

オリヴァーさんが真剣な顔でそう言って、私はその表情にゴクリと唾を飲み込んだ。

私の知る限り、オリヴァーさんは世界で一番強い人だ。

そんな人が命の保証がないというのだから、真実そういう事なんだろう。

でも、それでも私には関係ないのだ。

だって、シーラちゃんがそこに居るのなら。

シーラちゃんが居る世界が私の世界なんだから!

「構いません! どうせシーラちゃんが居ない世界なら、生きていても死んでいても同じです!」

「……良い覚悟だ。よし。場所を教えてやる」

「オリヴァー!」

「なんだ。エミリー。気になるのか?」

「別にそういう訳じゃないけど、子供だけで森の奥へ行ったら間違いなく死ぬわよ」

「無論子供だけで送り出すつもりはないさ。俺も行く」

「オリヴァー」

「エミリー。以前にも言っただろう? 俺たちとシーラ様は同じ時間を生きられない。いずれは俺たちが先に消える。だが、そうなる前に別の大切な物が出来るのは良い事だ」

「……分かってるわよ。私だって」

「あぁ」

なんだかオリヴァーさんとエミリーさんが大人の会話をしているな、と何となく話を聞きながら、二人の関係性が微妙に気になるのであった。



オリヴァーさん、エミリーさんが仲間に加わり、かなりの大所帯となったが、それでも加わった戦力があまりにも大きかった為、私たちはオリヴァーさんが初めてシーラちゃんに会ったという森の奥まで順調に来る事が出来るのだった。

「なんか、何でもない森みたいですねぇ」

「あぁ、だが気を付けろ。ここまで来ると英雄と呼ばれるような人間でもアッサリ死ぬことがある」

「……で、でも、オリヴァーさんなら大丈夫ですよね?」

「それはどうかな。俺も昔よりは強くなったと思うが……それでも」

列の一番前に立ち、すぐ後ろの私と話をしていたオリヴァーさんは腰の剣を抜くと、すぐ目の前で横に振るった。

索敵はずっとしていたけど、何も居なかったはずだ!

そう思いながらオリヴァーさんが切った何かに目を向けると……何か景色がおかしい。
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