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第71話『そして帰ってきた日常』(レナ視点)③
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最近シーラちゃんに教えてもらった魔法を使い、五本の指全てに炎の魔法を宿して一気に解き放つ!
「ふぃー。私の勝ちィ!」
服を黒焦げにしながら倒れている男の背に足を乗せ、踏みつけ、私は笑った。
今日も今日とて快勝である。
入学から今日まで色々な相手と戦ってきたけれど、決闘は全て勝っている。全勝だ。
それもこれもシーラちゃんに相応しい人間になる為、今日も頑張るのだ。
「もー。レナ。またやってるの?」
「いや、しょうがないでしょ。挑まれてるんだから」
「そっちじゃなくて。こっち。踏みつけてる方です!」
「あぁ。これ?」
私はグリグリと足元にある敷物を踏みつける。
「あ、こら! 可哀想でしょ。そんなにしたら」
「いや、これが決闘で負けた時の条件なんだから」
「はぁ?」
「この人がさ。自分が勝ったら付き合ってください。負けたら踏んで下さいって言ってたから、それで良いよ。って受けたの。それで。こう」
私はグリグリと足に力を入れる。
足元からは何か嬉しそうな声が聞こえて来ていた。
「それ。勝っても負けてもレナに得が無いじゃん」
「あるよ」
「いや、無いでしょ」
「あるって。これで私が最強だって証明できる!」
私はヤスミンにそう笑いかけ、私たちの前に現れた新たなチャレンジャーに目を向ける。
「レナさん! 私と決闘をして下さい! 私が勝った場合は交際を! 負けた時には、ヤスミンさんに踏んで貰いたい!!」
「良いよ。やろうか」
「いやいやいやいや! 私、嫌なんだけど! 人を踏むなんて! 嫌なんだけど!」
「最初っから全力で行くよ……!」
「はい!! 来てください!!」
何故かその男の子は私の魔法を両手を広げながら受け止めて、そのままノックダウンした。
「私の勝ちー。じゃヤスミン。お願い」
「ヤダって! 今のレナだって見てたでしょ!? この人、明らかにわざと負けにいってたよね!?」
「そうかもしれないけど。決闘の結果は受け入れなきゃ」
「私……決闘なんてしてないのに」
それからヤスミンは酷く嫌そうな顔をしながら、倒れている男の子の背に足を乗せた。
しかし、軽く、そっと乗せているせいか、男の子は顔を上げ、怒りの声を上げる。
「ヤスミンさん! もっと! もっと強く」
「えぇ……こ、こうですか?」
「違います! もっと! もっとです!!」
「こ、こんな感じですか?」
「Motto! Motto!!」
「も、もっと!? も、もう乗るくらいしか」
「Come on!!」
それからヤスミンは男の子の背に乗り、おどおどと立っていたが、やがて体勢を崩し、その背に座り込んでしまった。
その衝撃に男の子は酷く嬉しそうな声を上げ。
私は腹が立ったので、もう一度吹き飛ばしておくのだった。
「ふぃー。私の勝ちィ!」
服を黒焦げにしながら倒れている男の背に足を乗せ、踏みつけ、私は笑った。
今日も今日とて快勝である。
入学から今日まで色々な相手と戦ってきたけれど、決闘は全て勝っている。全勝だ。
それもこれもシーラちゃんに相応しい人間になる為、今日も頑張るのだ。
「もー。レナ。またやってるの?」
「いや、しょうがないでしょ。挑まれてるんだから」
「そっちじゃなくて。こっち。踏みつけてる方です!」
「あぁ。これ?」
私はグリグリと足元にある敷物を踏みつける。
「あ、こら! 可哀想でしょ。そんなにしたら」
「いや、これが決闘で負けた時の条件なんだから」
「はぁ?」
「この人がさ。自分が勝ったら付き合ってください。負けたら踏んで下さいって言ってたから、それで良いよ。って受けたの。それで。こう」
私はグリグリと足に力を入れる。
足元からは何か嬉しそうな声が聞こえて来ていた。
「それ。勝っても負けてもレナに得が無いじゃん」
「あるよ」
「いや、無いでしょ」
「あるって。これで私が最強だって証明できる!」
私はヤスミンにそう笑いかけ、私たちの前に現れた新たなチャレンジャーに目を向ける。
「レナさん! 私と決闘をして下さい! 私が勝った場合は交際を! 負けた時には、ヤスミンさんに踏んで貰いたい!!」
「良いよ。やろうか」
「いやいやいやいや! 私、嫌なんだけど! 人を踏むなんて! 嫌なんだけど!」
「最初っから全力で行くよ……!」
「はい!! 来てください!!」
何故かその男の子は私の魔法を両手を広げながら受け止めて、そのままノックダウンした。
「私の勝ちー。じゃヤスミン。お願い」
「ヤダって! 今のレナだって見てたでしょ!? この人、明らかにわざと負けにいってたよね!?」
「そうかもしれないけど。決闘の結果は受け入れなきゃ」
「私……決闘なんてしてないのに」
それからヤスミンは酷く嫌そうな顔をしながら、倒れている男の子の背に足を乗せた。
しかし、軽く、そっと乗せているせいか、男の子は顔を上げ、怒りの声を上げる。
「ヤスミンさん! もっと! もっと強く」
「えぇ……こ、こうですか?」
「違います! もっと! もっとです!!」
「こ、こんな感じですか?」
「Motto! Motto!!」
「も、もっと!? も、もう乗るくらいしか」
「Come on!!」
それからヤスミンは男の子の背に乗り、おどおどと立っていたが、やがて体勢を崩し、その背に座り込んでしまった。
その衝撃に男の子は酷く嬉しそうな声を上げ。
私は腹が立ったので、もう一度吹き飛ばしておくのだった。
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