愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

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第55話『芽生え』(レナ視点)②

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まるで風邪をひいた時の様に、気だるい感覚の中で目を覚ました私は、医務室のベッドで体を起こし、周囲を見渡した。

ベッドのすぐ横には、今にも死んでしまいそうな顔をしているトリスタンと、何故か同じ様に死にそうな顔をしているナルシス君が居た。

こっちは良いか。と反対側を向けば、そこには心配そうにしているシーラちゃんとヤスミンが居て、私はとりあえず笑顔を作る。

「おはよう」

「おはようじゃないよ! レナ! もう! 無茶ばっかりして!」

「いやー。あはは。他に何とかする手段が思いつかなかったもんだから。そろそろ本格的に転移魔法でも覚えるかなって感じ」

「では、怪我が治ったら、転移魔法を教えましょうか」

「ホントに!? やった! シーラちゃん。私にはまだ早いって言ってたのに!」

「まぁ、こんな無茶をするくらいなら、転移魔法を教えた方がマシです」

私はシーラちゃんから見えない様に拳を握りしめて、これでシーラちゃんの部屋に入りたい放題だとほくそ笑む。

が。

「あぁ、言っておきますが、学園内の重要施設への転移は基本的に禁止されてますから、転移出来ませんよ」

「え?」

「私の部屋も生徒の情報が書かれた書類等もありますし。禁止区画です」

「いやいや。私はそんな変な紙になんて興味無いよ?」

「禁止区画です」

「シーラちゃん! そんなのって無いよ! こんなんじゃ転移魔法を覚える意味がないじゃない!」

「レナ……アンタの頭にはシーラ様しかないの?」

「うん!!」

「そんな堂々と答えないでよ。こっちが返答に困るから」

「なはは」

私はヤスミンに笑いかけ、とりあえず何故か集まっているメンバーに解散して貰おうとした。

しかし。

「「レナ!」」

「うわっ、びっくりした!」

無視していたトリスタンとナルシス君から熱い声がかかる。

いや、医務室でそんなに騒がないでよ。

「なぁに?」

「体は大丈夫なのか!?」

「決闘で自爆するとはどういう事だ!」

「とにかく世界一の名医を呼ばないといけない! 目が覚めたとしても体が無事かどうかは分からないんだ!」

「いつもいつも考え無しに突っ込んで! 何を考えているんだ君は!」

「あー! もう! 両側からゴチャゴチャ言わないでよ!」

私は肩を揺らされながら、ギャアギャアと両耳に大音量で叫ばれて、苛立ちのままに風の魔法で二人を吹き飛ばそうとした。

しかし、シーラちゃんに魔法をかき消されてしまう。

「シーラちゃん!」

「まぁまぁ。全てを拒否せず、話を聞いてみてください」

「えー」
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