149 / 246
第47話『昨晩はお楽しみでしたね』③
しおりを挟む
そう。人は永遠を生きる事が出来ない。
死したらもう会えない。
だから、もし、私のよく知る親しい人達が死したとして……。
「……立ち直れるか、分からないな」
「ならば永遠を求めてはいかがですか? シーラ様」
「また貴方ですか? しつこいですねぇ。セールスはお断りですよ」
「でも、シーラ様は永遠を求めているんでしょう?」
「求めてません」
「嘘はいけない」
「話が通じない魔王ですねぇ。いや、ここまでに出会ってきた魔王さん全部話が通じませんでしたけど」
「当然ですよ。魔王とは己の心に従う物ですから」
「……何で増えるんですか。面倒ですね」
永遠永遠煩い魔王と話をしていたら、別の魔王が現れて、空に浮かぶ私をぎゅうぎゅうと抱きしめる。
人形じゃないんだから、そんな風にしないで欲しい。
「っ、いや、まさか貴女にお会い出来るとは思いませんでしたよ。宵闇の魔王。世界を闇に染める為に現れた狂気の魔王」
「いや、世界とか興味無いですけど。私が興味あるのは先輩だけなんで」
「そうで「だから、先輩と話すのに邪魔なんで。消えてもらえますか?」っ!?」
器用にも私を抱きしめたまま、腕を振るったその魔王は、永遠の魔王を消し飛ばすと、私を見てニッコリと笑う。
「先輩。怖かったですねぇ。でも私が居るから大丈夫ですよ」
「むしろ今この状況の方が怖いですけどね。一度殺されてますし」
「そんなぁ! あれは先輩が私を騙したから悪いんですよ!」
「いや、騙したつもりは……って、ここでそんな話をしていてもしょうがないですか。それで? 本日は何の用ですか」
「え? 先輩に会いに来たっていうのが用ですけど」
「ソウデスカ」
私は厄介な存在の体温を感じながら、コピーシーラに異常が無いか調べ、生徒の事も調べる。
とりあえずは問題なさそうだ。
「そんなに心配しなくても。私は先輩以外に興味ありませんよ」
「国を滅ぼそうとした人がよく言いますね」
「えー。だってしょうがなくないですか? あの国。先輩を誘拐して、実験しようとしてたんですよ? 先輩の全ては私のモノなのに」
「いや、私の全ては私のモノです」
「じゃあ、私の全部をあげるので。先輩の全部を下さい」
「嫌です」
「もー先輩っては素直じゃないですねぇ」
「はぁ」
「あぁ、ため息なんて、どうしたんですか? 辛い事があったんですか?」
「今、この瞬間が辛いです」
「大変! すぐに肌と肌で温めあいましょう!」
「イヤデス」
「えー! もう我儘ですねぇ!」
私はぎゃあぎゃあと騒がしい最も面倒な魔王との対話を諦め、心の癒しを求めて子供たちへと視線を送るのだった。
死したらもう会えない。
だから、もし、私のよく知る親しい人達が死したとして……。
「……立ち直れるか、分からないな」
「ならば永遠を求めてはいかがですか? シーラ様」
「また貴方ですか? しつこいですねぇ。セールスはお断りですよ」
「でも、シーラ様は永遠を求めているんでしょう?」
「求めてません」
「嘘はいけない」
「話が通じない魔王ですねぇ。いや、ここまでに出会ってきた魔王さん全部話が通じませんでしたけど」
「当然ですよ。魔王とは己の心に従う物ですから」
「……何で増えるんですか。面倒ですね」
永遠永遠煩い魔王と話をしていたら、別の魔王が現れて、空に浮かぶ私をぎゅうぎゅうと抱きしめる。
人形じゃないんだから、そんな風にしないで欲しい。
「っ、いや、まさか貴女にお会い出来るとは思いませんでしたよ。宵闇の魔王。世界を闇に染める為に現れた狂気の魔王」
「いや、世界とか興味無いですけど。私が興味あるのは先輩だけなんで」
「そうで「だから、先輩と話すのに邪魔なんで。消えてもらえますか?」っ!?」
器用にも私を抱きしめたまま、腕を振るったその魔王は、永遠の魔王を消し飛ばすと、私を見てニッコリと笑う。
「先輩。怖かったですねぇ。でも私が居るから大丈夫ですよ」
「むしろ今この状況の方が怖いですけどね。一度殺されてますし」
「そんなぁ! あれは先輩が私を騙したから悪いんですよ!」
「いや、騙したつもりは……って、ここでそんな話をしていてもしょうがないですか。それで? 本日は何の用ですか」
「え? 先輩に会いに来たっていうのが用ですけど」
「ソウデスカ」
私は厄介な存在の体温を感じながら、コピーシーラに異常が無いか調べ、生徒の事も調べる。
とりあえずは問題なさそうだ。
「そんなに心配しなくても。私は先輩以外に興味ありませんよ」
「国を滅ぼそうとした人がよく言いますね」
「えー。だってしょうがなくないですか? あの国。先輩を誘拐して、実験しようとしてたんですよ? 先輩の全ては私のモノなのに」
「いや、私の全ては私のモノです」
「じゃあ、私の全部をあげるので。先輩の全部を下さい」
「嫌です」
「もー先輩っては素直じゃないですねぇ」
「はぁ」
「あぁ、ため息なんて、どうしたんですか? 辛い事があったんですか?」
「今、この瞬間が辛いです」
「大変! すぐに肌と肌で温めあいましょう!」
「イヤデス」
「えー! もう我儘ですねぇ!」
私はぎゃあぎゃあと騒がしい最も面倒な魔王との対話を諦め、心の癒しを求めて子供たちへと視線を送るのだった。
3
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる