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第44話『シーラちゃんではない人』(レナ視点)②

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「じゃあとりあえず森で歩くときの歩き方を教えるね」

「歩き方……足の運び方とかか?」

「あー。まぁ、そっちは大丈夫じゃない? 二人はちゃんと意識してるみたいだし」

「ほぅ。では何か別のものか」

「うん。そう。ズバリ森で魔物に出会わない為の方法だよ」

「っ! そ、そんな物があるのですか!! っと、申し訳ございません。お二人の話に入ってしまい」

「気にするなマクシム。我らは三人で一つのチームだろう?」

「そうそう。何か気になる事があるのなら言ってくれた方が嬉しいよ」

「わ、分かりました」

「ん」

私は小さく頷きながら、話を切り替える様に人差し指を立てて、周囲に薄く魔力を飛ばしてゆく。

これはシーラちゃんに教わった索敵の方法で、周囲に満ちている森の魔力に自分の魔力を混ぜ合わせて、どこまでも広げてゆく事で、それが何かにぶつかればその大きさが分かるというものだ。

「どう? 簡単でしょ」

「なるほどな。流石はシーラ様だ」

「こういう感じですね」

「やるじゃん」

簡単だろうと言いつつも、初めて見て出来る人は少ないのだけれど、やはりこの二人は優秀だという事だろう。

容易くそれを再現して、自分の物にしてゆく。

そんな優秀な人間たちと共に居るという事で、私もある程度安心しながら森の中を進んでいたのだが、その油断が良くなかったのか。

私たちは大型の魔物と戦っている最中に、近づいてきた小さな魔物を見つける事ができず、ナルシスが襲われそうになってしまった。

咄嗟に庇ってしまい、その小さな私の腕くらいの蛇に私は腕を噛まれてしまった。

すぐに蛇を殺して、自分の体を確認したけど、どうやら毒は無かったらしい。

「レナちゃん!」

「貴様……! 何故」

「兄さん!」

私は呆然としているナルシスの後ろで腕を振り上げている魔物に向かって、全力で魔法を使い、ソイツを吹き飛ばした。

でも、それだけで私の体は限界を迎えてしまい倒れてしまうのだった。
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