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第36話『俺様と私様』②
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そう。なんやかんやあって忘れていたけれど、ナルシス君は攻略キャラクターなのだ。
タイプ的にはあれね。俺様系王子様。
多分テニスとかやらせたら、俺様の美技に酔いなとか、メッチャ良い声で言ってくれるよ。
知らんけど。
という訳で、俺様キャラ故か、自分が絶対正義という精神を以って、レナちゃんに接しているんだけど。
レナちゃんも結構気が強いタイプだから、バッチバチにぶつかり合っちゃってるんだよね。
「おい。平民。誰の許可を得てこの教室に居る」
「シーラちゃんですけど。というか、人の事を指さしてお前とか言わないで貰えますか? 薄汚い盗賊の生まれじゃあ知らないかも知れないですけど。これ。常識ですよ」
「お前……! 私を愚弄するつもりか!!」
「あぁ、これは申し訳ございませんでした。盗賊の生まれでもまともな人はいますもんね。間違えました。人間以下の人間と同じような言葉を話す害虫さん。不愉快なので、口を開かないで貰えますか?」
「お、おま……お前!」
良いのか? これで?
大丈夫? まだ息してる? 乙女ゲーム。
何だかんだと生まれも良いし、環境も良いナルシス君は悪口の引き出しが貧弱で、レナちゃんの悪意しかない言葉にいつも打ちのめされている。
可哀想……。
「お前のような女は……! 初めてだ!」
「随分と狭い世界に生きていたんですね。同情しますよ。薄っぺらい人生経験しか積めないなんて。これからも何も知らず、無知で、無価値で、無意味な人生を送るんでしょうね。うーん。羨ましい」
「……っ!!」
ナルシス君が一度言葉でレナちゃんを軽く、てい! と叩くと、レナちゃんが無限を描きながら一発一発が必殺技くらいの威力がある暴力の中の暴力というようなパンチを雨の様に浴びせるのだ。
もはや、戦いですらない。
ナルシス君は涙目になりながら、それでもレナちゃんを必死に睨みつけていた。
年齢的にはナルシス君の方が上だし。ゲームでも年上キャラの一人であったのだけれど。
今ここに年上キャラの包容力とかそういうのは完全に消え失せている。
あるのは荒野に咲く、今にも吹き飛ばされそうな互いへの好感度という名の花だけだ。
「あのー。そろそろ授業を始めても良いでしょうか」
「はい! ごめんなさい! シーラちゃん。教室が汚れていたので、ゴミ掃除をしていました」
「は? どういう意味だ」
「……殿下。おそらくは殿下がその掃除の対象だと言っているのではないかと」
「何ィ!? 貴様!! 平民!!」
「騒がしい汚水ですねぇ。今から授業をしたいってシーラちゃんが言ってるじゃないですか。言葉も理解出来ないんですか? この教室では……いいえ。この世界でシーラちゃん以上に優先される事項は無いんですよ?」
あー、ほら。そうやってすぐ挑発する。
世界の中心にいる俺様がそんな事聞く訳無いじゃんねぇ?
タイプ的にはあれね。俺様系王子様。
多分テニスとかやらせたら、俺様の美技に酔いなとか、メッチャ良い声で言ってくれるよ。
知らんけど。
という訳で、俺様キャラ故か、自分が絶対正義という精神を以って、レナちゃんに接しているんだけど。
レナちゃんも結構気が強いタイプだから、バッチバチにぶつかり合っちゃってるんだよね。
「おい。平民。誰の許可を得てこの教室に居る」
「シーラちゃんですけど。というか、人の事を指さしてお前とか言わないで貰えますか? 薄汚い盗賊の生まれじゃあ知らないかも知れないですけど。これ。常識ですよ」
「お前……! 私を愚弄するつもりか!!」
「あぁ、これは申し訳ございませんでした。盗賊の生まれでもまともな人はいますもんね。間違えました。人間以下の人間と同じような言葉を話す害虫さん。不愉快なので、口を開かないで貰えますか?」
「お、おま……お前!」
良いのか? これで?
大丈夫? まだ息してる? 乙女ゲーム。
何だかんだと生まれも良いし、環境も良いナルシス君は悪口の引き出しが貧弱で、レナちゃんの悪意しかない言葉にいつも打ちのめされている。
可哀想……。
「お前のような女は……! 初めてだ!」
「随分と狭い世界に生きていたんですね。同情しますよ。薄っぺらい人生経験しか積めないなんて。これからも何も知らず、無知で、無価値で、無意味な人生を送るんでしょうね。うーん。羨ましい」
「……っ!!」
ナルシス君が一度言葉でレナちゃんを軽く、てい! と叩くと、レナちゃんが無限を描きながら一発一発が必殺技くらいの威力がある暴力の中の暴力というようなパンチを雨の様に浴びせるのだ。
もはや、戦いですらない。
ナルシス君は涙目になりながら、それでもレナちゃんを必死に睨みつけていた。
年齢的にはナルシス君の方が上だし。ゲームでも年上キャラの一人であったのだけれど。
今ここに年上キャラの包容力とかそういうのは完全に消え失せている。
あるのは荒野に咲く、今にも吹き飛ばされそうな互いへの好感度という名の花だけだ。
「あのー。そろそろ授業を始めても良いでしょうか」
「はい! ごめんなさい! シーラちゃん。教室が汚れていたので、ゴミ掃除をしていました」
「は? どういう意味だ」
「……殿下。おそらくは殿下がその掃除の対象だと言っているのではないかと」
「何ィ!? 貴様!! 平民!!」
「騒がしい汚水ですねぇ。今から授業をしたいってシーラちゃんが言ってるじゃないですか。言葉も理解出来ないんですか? この教室では……いいえ。この世界でシーラちゃん以上に優先される事項は無いんですよ?」
あー、ほら。そうやってすぐ挑発する。
世界の中心にいる俺様がそんな事聞く訳無いじゃんねぇ?
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